ゲノム～失われた大陸の秘密～

第二章【カバルの村編】

静けさ

ガガリアと数十人の村人たちは、緊張の糸が張り詰める中、村の入り口前に集まり、
巨大な熊の出現に備えていた。
空気は静寂に包まれ、唯一聞こえるのは遠くの森から吹き抜ける風の音だけだった。

偵察のために選ばれた数人の村人が、熊の動向を探るため森の深くへと向かっていった。
彼らの帰りを待つ間、村人たちは緊張と不安で息を詰めていた。

村の入り口を守るため急遽設置された木の柵の陰には、
弓を構えた村人たちが2列に並んで待機していた。
彼らの矢には、熊を仕留めるための神経毒が塗られており、
緊迫した表情でその瞬間を待っていた。

ガガリアとライトは、弓兵の後ろで静かに待機していた。
ガガリアの目は落ち着いており、長年の経験からくる自信が感じられた。
一方、ライトは初めての戦いに臨む緊張を隠せずにいたが、
彼の心は強い決意で満たされていた。

ガガリアはライトに向かって、静かに尋ねた。
「ライト君、炎魔法は使えるかな？」
彼の声には、ライトへの信頼と期待が込められていた。

ライトは、自信を持って
「うん、使えるよ」
と答えた。
彼の声は少し震えていたが、その目は決意の光で輝いていた。

ガガリアは頷き、
「よし、なら君は顔を狙うんだ。私は風魔法で足を狙う」
と戦略を共有した。

そんな中、偵察から戻ってきた村人たちの足音が聞こえ、全員の緊張は一層高まった。
偵察役の村人の一人が伝えた。
「ここから正面500mほど先に熊の存在を確認しました。こちらにゆっくりと歩みを進めています。まもなく見えるはずです」
その報告を受け、待機していた弓兵たちは一層集中し、毒を塗った矢を弓につがえた。
ガガリアとライトも互いに一瞥を交わし、戦いの準備を整えた。