ゲノム～失われた大陸の秘密～

第一章【イファスアの街編】

街の朝

朝の光が窓から差し込む中、村田は目を擦りながらグレイスに挨拶をした。
「グレイスさん、おはようございます」と彼はやや眠そうな声で言った。

グレイスは朝のキッチンで忙しく動き回りながらも、彼に向かって温かく
「おはようございます。昨晩はゆっくりと眠れましたか？」と返した。
その声には、新しい一日が始まる期待と、ゲストに対する優しい配慮が込められていた。

「はい、おかげさまで」と村田は感謝の意を示し、伸びを一つして体を目覚めさせる。
彼はまだこの場所の習慣に完全に馴染んでいないようで、
少し緊張した様子を見せながらも、グレイスの優しさに心を開いていた。

「それはよかったです。そうだ村田さん、私の服をお貸しします。今の恰好ですと目立つでしょうから」
とグレイスは提案し、収納からいくつかの服を取り出した。

村田は
「ありがとうございます。確かに昨日ここに来るまでにかなり目立ちましたね..」
おそらく目立った原因は砂浜から家までのダッシュによるものだがと苦笑いをしながら服を受け取った。

「この中から適当に選んでおいてください。あとライトを起こしてきますね、ここから声かけてもまず起きないので」
と言いながら階段を上っていった。
村田は紺色のシャツとベージュのズボンを選んだ後、もともと着ていたワイシャツを丁寧にたたんでおいた。

やがて、グレイスとライトが階段を下りてきた。
ライトはぼんやりとしており、眠そうな声で
「おはよー」
と言った。
彼の目はまだ完全に覚めていないようで、
眠りから覚めたばかりのぼやけた表情が見て取れた。

村田は微笑みながら
「おはようライト」
と返し、ライトの無邪気さに心温まるものを感じた。

ライトは少し目をこすりながら、村田の変わった服装に気づき、
「あれ、ムラタ服変えたの？」
と素朴な好奇心を持って尋ねた。

「あぁ、グレイスさんの服を貸してもらったんだ」
と村田はライトに答え、
新しい服に少し戸惑いながらも感謝の気持ちを込めた。

グレイスは優しく微笑みながら
「よく似合っていますよ」
と褒めた。

その後、グレイスは診療所が定休日であることを告げ、
「今日はライトと一緒に街を散策してみてください、私は家事があるので行けませんが」

村田は驚きつつも、
「わ、わかりました」
と答え、新しい一日の計画に心を切り替えた。

ライトはまだ半分寝ぼけた状態で、
「..zzz」
と小さくつぶやきながら立っていた。

グレイスは笑いながら
「ライト、立ちながら寝ないでください、ほらもう朝ご飯食べますよ」
と声をかけた。

「..ふぁあい」
とライトは何とか返事をし、朝食の準備に向かった。

簡単な朝食を済ませた後、急遽ライトと村田は街の散策をすることとなった。
朝の光がキッチンを温かく照らし、新たな一日が始まった。
村田はこの新しい世界での役割に少しの緊張を感じつつも、
新たな冒険への期待で心が満たされていた。