嫌われ令息に成り代わった俺、なぜか過保護に愛でられています

岩永みやび

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16歳

644 一緒に

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「それでね、カミールが誕生日パーティーするらしいんだけど。フランシスは招待された?」
「うん。手紙は来てたけど」

 顎に手をやるフランシスは、曖昧に笑う。もしかして断ったのか?

 俺の予想通り、フランシスは「僕も忙しいからね」と苦笑する。意外だ。フランシスのことだから誘われたら行くのだとばかり思っていた。

 デニスも行かないらしいし。え、なんでみんな行かないの?

 ちょっと驚いていれば、フランシスが「まさかルイスくんも誘われたの?」とおそるおそるといった様子で問いかけてきた。

「ううん。俺は誘われてないよ」
「だよね。びっくりした」

 軽く肩をすくめるフランシスは、今回のパーティーは本当に小規模なものだからカミールと仲のいい子たちしか参加しないよと説明してくる。

 だったらどうしてデニスやフランシスに招待状が届いたんだと思わなくもないが、これは彼らの顔を立てただけであって本気で誘っているわけではないらしい。なにその難しいやり取り。

 ぽかんとしていれば「いや、別に参加したらダメってことでもないんだけど」とフランシスは頬をかく。

 どうやら誘われたメンバーを確認してから行くかどうかを決めるらしい。今回はカミールの友達ばかりだったので参加を遠慮したのだという。

「みんな色々噂するからね。誰が参加するとかしないとか。割とすぐ耳に入るから」
「ふーん?」

 今回は早々にデニスが不参加という情報が入ってきたらしい。デニスが参加するのであれば、フランシスも行くつもりだったのだとか。

「でも今回は男爵家とか子爵家とか。そこら辺の参加が多かったからね。僕は遠慮したんだよ」
「なるほど?」

 パーティーひとつ参加するにもそこまで考えないといけないのか? これはフランシスが考え過ぎなだけ?

 デニスは多分そこまで深く考えてなさそうだった。

「でも俺も参加したい」
「え? ルイスくんが?」

 目を瞬くフランシスは、ティアンとアロンに目をやった。それを受けて困ったように頷くティアンは、「ルイス様は参加しなくていいですよ」と言ってくる。なんでだよ。俺も参加したい。

「だからフランシスも一緒に行こう」

 ね? と向かいの彼を見上げれば、困ったような呻き声が返ってくる。

「でもルイスくん、誘われてないんだろう?」
「俺も行くってカミールに手紙出すから大丈夫。断られたら諦めるけど」
「ルイスくんのお願いを断れる度胸がカミールにあるとは思えないけどね」

 割と正直にものを言うフランシス。しかし「ルイスくんが行くなら僕もついて行こうかな」と嬉しいことを言ってくれた。

「じゃあ一緒に行こう! てかいつなの?」
「あぁ。日程も知らずに行くって言ってたの?」

 ちょっぴり呆れたような表情を作るフランシスは「ルイスくん。会場はカミールの家だってことは知ってる? ここから遠いよ。途中で宿かなにかに泊まらないと」と付け足した。

 え、そんなに遠いの?

 びっくりしてティアンを振り返れば、「まぁ。そうですね。馬で二日くらいですかね」と衝撃の答えを寄越してきた。待って。思っていたよりかなり遠い。

 あとカミールの誕生日は俺より後だと判明した。じゃあ俺のほうが歳上じゃん。ちょっとだけど。

「俺も一緒に行きますよ。ルイス様、せいぜい一日くらいの距離しか移動したことないですもんね」

 すかさず手をあげるアロンは、確かに馬だと二日だが、馬車となれば下手すると三日ほどかかると言う。途中で休憩も挟むから尚更だ。

 あれ? なんか思っていたよりも大事になってしまった。

 計画立てるのはどうせブルース兄様だろうから俺は特にやることないけど、なんか大変だぞ。しかし宿とか泊まったことないからちょっと楽しみでもある。アロンの実家にお泊まりしたことはあるけど。

 冒険みたいですごく楽しそう。

 でもまずは兄様たちの許可をとらないといけない。もしかしたら反対されるかも。遠いからユリスは行かないって言うかもな。

 あれこれ考えていれば、ティアンが「本当に行くんですか?」と囁いてきた。

「あちらに迷惑かけることになりません?」

 心配そうなティアンに、「うーん」と首を傾げる。やっぱり迷惑なのだろうか。俺としては本当にカミールは友達だと思っている。

 しかしフランシスは、にこやかに「いいんじゃない?」と言い切った。

「正直ね、ちょうどいいと思うよ。これから先、ルイスくんだって公の場に出ることも増えると思う。その練習としては最適だと思うけどね」

 フランシスの意見に、ティアンが「それはそうですけど」とちょっと不満そうに応じる。アロンは完全に静観している。

 何はともあれ、まずは兄様や両親の許可をもらわなければならない。それにカミールも。

「楽しみだね」

 にこっとティアンに笑顔を向ければ、一瞬だけ悩んだティアンが「そうですね」と小さく頷く。どうやら本心ではあまり賛成したくないようだ。そんなに心配しなくても。
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