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14歳
綿毛ちゃんの日常5
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「あらあら」
ん? と顔を上げれば、オレのことを見下ろす美人さんが視界に入った。坊ちゃんたちのお母様だ。
長い黒髪を背中に垂らした優雅な人である。なんというか、ものすごく品のある人だ。
『こんにちは』
「ふふ、こんにちは」
小さく微笑んだ彼女は、オレのことをそっと抱き上げる。
オレは今、坊ちゃんが勉強中ということで部屋を追い出されて廊下をうろついていたところであった。玄関先に飾られた花瓶をぼんやり眺めていたのだが、そこへ通りがかったお母様に拾われてしまった。後ろには、お付きのメイドさんもいる。この人は、確かセドリックさんのお姉さんだとルイス坊ちゃんが言っていた。
オレを抱いたまま歩き始めるお母様。いやオレのお母様ではないけどね。でもなんて呼べばいいのかわからないよね。名前もわからないし。とりあえずお母様と呼んでおこう。
オレを連れたまま自室と思われる部屋に入ったお母様は、オレのことを椅子の上にそっとおろしてくれる。
「お菓子は召し上がるのかしら?」
『食べられます!』
人間の食べ物でも大丈夫と伝えれば、すかさずお菓子が用意された。手際の良いメイドさんだ。あのやる気なしセドリックさんのお姉さんとは思えない速さであった。
用意されたクッキーを遠慮なく食べていると、視線を感じた。お母様が、オレのことを凝視している。
「ルイスはお勉強中かしら?」
『そうです。今カル先生がきているので』
なんとなく、オレもつられて敬語になってしまう。
「ルイスは最近頑張っているわね。ユリスも魔法の研究を始めたらしいし。なんだか寂しいわね」
『寂しい?』
「えぇ。子供の成長って嬉しい反面、親としての役割が減っていくようで少し寂しいのよ」
『へぇ』
ホッと息を吐き出すお母様は、「特にルイス」と言い添える。
「あの子、私に甘えてくれるじゃない? ユリスは最近冷たいのよ。ブルースに似て。その点ルイスは、私に相談してくれるから嬉しいのよ」
確かに。ルイス坊ちゃんは、よくお母様の部屋に乗り込んではお話している。おそらく出されるお茶菓子目当てなのではないかと思うのだが、それでも楽しそうにお喋りしている。
それに、可愛いと褒められれば必ず得意気な顔になる。げんなりとした表情になるユリス坊ちゃんとは違い、ルイス坊ちゃんは素直だ。褒められたという事実のみを受け取って、ニヤニヤしている。親からすれば、それが可愛いのだろう。
「だからね、私もこの関係を続けるために努力しているのよ」
『努力?』
いわく、ルイス坊ちゃんは最近反抗期だという。それはオレも知っている。矛先はもっぱらオーガスくんだ。とはいえ、最近はかなり落ち着いたと思う。酷い時は徹底的にオーガスくんのことを無視していたからなぁ。
「私、ルイスに無視されるとか耐えられない。だからあまり口うるさくするのは良くないと思って、もう一人称については諦めたの」
『ほう』
聞けば、ルイス坊ちゃんの一人称を「僕」にしたかったらしい。毎度口うるさく注意していたのだが、一向に改善しない。このまま注意を続ければ、うざがられて無視されるかもしれない。そこで涙を飲んで諦めたらしい。
うん。なんというか、大変だなぁ。
「すぐにブルースの真似したがるんだから」
『う、うん』
彼女の中では、ルイス坊ちゃんがブルースくんの真似をして「俺」と言っているということになっているらしい。多分違うと思うけどな。ブルースくんも妙な責任を押し付けられて苦労していそうだな。
そうして、ひと通りブルースくんへの不満を垂れたお母様は、「そうだ」と突然手を叩いた。
「ルイスにクッキーを持って行ってくれる? 頑張っているみたいだから」
『任せて任せて』
ユリス坊ちゃんは、研究所に行っていて不在なので、ルイス坊ちゃんの分だけで大丈夫だろう。残りのクッキーを手際よく包んでくれたメイドさんは、どこからか薄手のハンカチを持ってくる。
そうして器用にクッキーを包んだメイドさんは、オレの首にハンカチを巻いて上手い具合にクッキーを背負わせてくれた。気分はちょっとしたお使いである。
『ちゃんと届けてきまーす』
「お願いね」
にこやかなお母様に見送られて、オレは廊下に出る。てくてくと進んで、階段だって平気で降りてしまう。
一階にある坊ちゃんの部屋を目指していれば、アロンさんとすれ違った。
『どうもどうもぉ』
そのままスタスタと横を通り抜けようとしたのだが、さっと前にまわり込まれてしまう。
「その荷物なに?」
『クッキーだよ』
「泥棒?」
失礼なことを口走るアロンさんに『違うよぉ!』と抗議する。だが、疑いを持っているらしいアロンさんは、背中のクッキーに手を伸ばしてくる。
『やめてよ。とらないでぇ』
「おとなしくしててよ」
そう言ってハンカチで作った即席の包みを覗いたアロンさんは、「誰から?」と不思議そうにしている。なので坊ちゃんのお母様だよと教えてあげれば「大公妃様か」と納得したような頷きが返ってきた。
「ちょっと失礼」
『あぁ! ひどいよぉ』
オレから包みを奪い取ったアロンさんの足を踏んでやる。怒ってますアピールするのだが、アロンさんはなにも気にしない。そうしてポケットからキャンディーを取り出したアロンさんは、それをクッキーと一緒に包み直した。
「はい、どうぞ」
『荷物が増えたね』
「ルイス様にでしょ? ちゃんと届けてね」
『任せてぇ』
再び走り出したオレは、坊ちゃんの部屋に駆け込む。ちょうど授業が終わったところらしく、テーブルに突っ伏すルイス坊ちゃんがいた。
素早く帰り支度をするカル先生を見送って、オレは坊ちゃんへと荷物を渡してあげる。
『お届け物でーす』
「誰から?」
背中の包みを取り上げる坊ちゃんは、中身を確認してから「お菓子だ!」と目を輝かせる。
『クッキーはお母様、キャンディーはアロンさんからだよ』
「わーい」
早速食べ始める坊ちゃんであったが、半分ほど食べたところで突然手を止めた。
「あとは綿毛ちゃんとユリスにあげる」
『いいの?』
「うん」
言葉通りにクッキーを一枚くれたのだが、実を言うとオレはもうお母様の部屋で食べた。だからユリス坊ちゃんに渡してあげてと遠慮しておく。
そう? とクッキーを再び包み始めるルイス坊ちゃんは、オレのことをじっと見下ろしてくる。なんだか悪いことを考えていそうな顔である。
「綿毛ちゃん。ブルース兄様からもお菓子奪ってきて」
『えー』
「奪ってきて!」
どうやら味を占めたらしい。お兄さんたちからもお菓子を奪ってこいと指示するルイス坊ちゃんに、オレはやんわりと断る。あと、奪ってきたんじゃなくて、もらったの。オレが泥棒したわけじゃないから。
ん? と顔を上げれば、オレのことを見下ろす美人さんが視界に入った。坊ちゃんたちのお母様だ。
長い黒髪を背中に垂らした優雅な人である。なんというか、ものすごく品のある人だ。
『こんにちは』
「ふふ、こんにちは」
小さく微笑んだ彼女は、オレのことをそっと抱き上げる。
オレは今、坊ちゃんが勉強中ということで部屋を追い出されて廊下をうろついていたところであった。玄関先に飾られた花瓶をぼんやり眺めていたのだが、そこへ通りがかったお母様に拾われてしまった。後ろには、お付きのメイドさんもいる。この人は、確かセドリックさんのお姉さんだとルイス坊ちゃんが言っていた。
オレを抱いたまま歩き始めるお母様。いやオレのお母様ではないけどね。でもなんて呼べばいいのかわからないよね。名前もわからないし。とりあえずお母様と呼んでおこう。
オレを連れたまま自室と思われる部屋に入ったお母様は、オレのことを椅子の上にそっとおろしてくれる。
「お菓子は召し上がるのかしら?」
『食べられます!』
人間の食べ物でも大丈夫と伝えれば、すかさずお菓子が用意された。手際の良いメイドさんだ。あのやる気なしセドリックさんのお姉さんとは思えない速さであった。
用意されたクッキーを遠慮なく食べていると、視線を感じた。お母様が、オレのことを凝視している。
「ルイスはお勉強中かしら?」
『そうです。今カル先生がきているので』
なんとなく、オレもつられて敬語になってしまう。
「ルイスは最近頑張っているわね。ユリスも魔法の研究を始めたらしいし。なんだか寂しいわね」
『寂しい?』
「えぇ。子供の成長って嬉しい反面、親としての役割が減っていくようで少し寂しいのよ」
『へぇ』
ホッと息を吐き出すお母様は、「特にルイス」と言い添える。
「あの子、私に甘えてくれるじゃない? ユリスは最近冷たいのよ。ブルースに似て。その点ルイスは、私に相談してくれるから嬉しいのよ」
確かに。ルイス坊ちゃんは、よくお母様の部屋に乗り込んではお話している。おそらく出されるお茶菓子目当てなのではないかと思うのだが、それでも楽しそうにお喋りしている。
それに、可愛いと褒められれば必ず得意気な顔になる。げんなりとした表情になるユリス坊ちゃんとは違い、ルイス坊ちゃんは素直だ。褒められたという事実のみを受け取って、ニヤニヤしている。親からすれば、それが可愛いのだろう。
「だからね、私もこの関係を続けるために努力しているのよ」
『努力?』
いわく、ルイス坊ちゃんは最近反抗期だという。それはオレも知っている。矛先はもっぱらオーガスくんだ。とはいえ、最近はかなり落ち着いたと思う。酷い時は徹底的にオーガスくんのことを無視していたからなぁ。
「私、ルイスに無視されるとか耐えられない。だからあまり口うるさくするのは良くないと思って、もう一人称については諦めたの」
『ほう』
聞けば、ルイス坊ちゃんの一人称を「僕」にしたかったらしい。毎度口うるさく注意していたのだが、一向に改善しない。このまま注意を続ければ、うざがられて無視されるかもしれない。そこで涙を飲んで諦めたらしい。
うん。なんというか、大変だなぁ。
「すぐにブルースの真似したがるんだから」
『う、うん』
彼女の中では、ルイス坊ちゃんがブルースくんの真似をして「俺」と言っているということになっているらしい。多分違うと思うけどな。ブルースくんも妙な責任を押し付けられて苦労していそうだな。
そうして、ひと通りブルースくんへの不満を垂れたお母様は、「そうだ」と突然手を叩いた。
「ルイスにクッキーを持って行ってくれる? 頑張っているみたいだから」
『任せて任せて』
ユリス坊ちゃんは、研究所に行っていて不在なので、ルイス坊ちゃんの分だけで大丈夫だろう。残りのクッキーを手際よく包んでくれたメイドさんは、どこからか薄手のハンカチを持ってくる。
そうして器用にクッキーを包んだメイドさんは、オレの首にハンカチを巻いて上手い具合にクッキーを背負わせてくれた。気分はちょっとしたお使いである。
『ちゃんと届けてきまーす』
「お願いね」
にこやかなお母様に見送られて、オレは廊下に出る。てくてくと進んで、階段だって平気で降りてしまう。
一階にある坊ちゃんの部屋を目指していれば、アロンさんとすれ違った。
『どうもどうもぉ』
そのままスタスタと横を通り抜けようとしたのだが、さっと前にまわり込まれてしまう。
「その荷物なに?」
『クッキーだよ』
「泥棒?」
失礼なことを口走るアロンさんに『違うよぉ!』と抗議する。だが、疑いを持っているらしいアロンさんは、背中のクッキーに手を伸ばしてくる。
『やめてよ。とらないでぇ』
「おとなしくしててよ」
そう言ってハンカチで作った即席の包みを覗いたアロンさんは、「誰から?」と不思議そうにしている。なので坊ちゃんのお母様だよと教えてあげれば「大公妃様か」と納得したような頷きが返ってきた。
「ちょっと失礼」
『あぁ! ひどいよぉ』
オレから包みを奪い取ったアロンさんの足を踏んでやる。怒ってますアピールするのだが、アロンさんはなにも気にしない。そうしてポケットからキャンディーを取り出したアロンさんは、それをクッキーと一緒に包み直した。
「はい、どうぞ」
『荷物が増えたね』
「ルイス様にでしょ? ちゃんと届けてね」
『任せてぇ』
再び走り出したオレは、坊ちゃんの部屋に駆け込む。ちょうど授業が終わったところらしく、テーブルに突っ伏すルイス坊ちゃんがいた。
素早く帰り支度をするカル先生を見送って、オレは坊ちゃんへと荷物を渡してあげる。
『お届け物でーす』
「誰から?」
背中の包みを取り上げる坊ちゃんは、中身を確認してから「お菓子だ!」と目を輝かせる。
『クッキーはお母様、キャンディーはアロンさんからだよ』
「わーい」
早速食べ始める坊ちゃんであったが、半分ほど食べたところで突然手を止めた。
「あとは綿毛ちゃんとユリスにあげる」
『いいの?』
「うん」
言葉通りにクッキーを一枚くれたのだが、実を言うとオレはもうお母様の部屋で食べた。だからユリス坊ちゃんに渡してあげてと遠慮しておく。
そう? とクッキーを再び包み始めるルイス坊ちゃんは、オレのことをじっと見下ろしてくる。なんだか悪いことを考えていそうな顔である。
「綿毛ちゃん。ブルース兄様からもお菓子奪ってきて」
『えー』
「奪ってきて!」
どうやら味を占めたらしい。お兄さんたちからもお菓子を奪ってこいと指示するルイス坊ちゃんに、オレはやんわりと断る。あと、奪ってきたんじゃなくて、もらったの。オレが泥棒したわけじゃないから。
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