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籠城するつもりがオーガス兄様に裏切られた。酷すぎる。長男のくせに弟を売るとは何事だ。
俺を裏切ったのはオーガス兄様だけではない。アロンもだ。クソ野郎め。近々、俺の子分その3にしてやろうと思っていたのだがやめた。裏切りクソ野郎はいらん。
突然、キャンベルと結婚すると宣言したアロン。その瞬間、オーガス兄様が素早く動いた。止める暇もなく鍵を開けてアロンに掴みかかろうとしていた。オーガス兄様はキャンベルのことがとても好きみたいだ。キャンベルと俺、どっちが大事なのか一度問い詰めたい。
ドアの向こうには怖い顔をしたブルース兄様がいた。慌てて逃げ回ったがアロンに捕まった。酷い裏切りだ。
「なにをしてるんだ、この馬鹿」
「馬鹿じゃないもん」
アロンによってブルース兄様の前に引きずり出される。眉間に皺を寄せた兄様は間違いなく怒っていた。
そもそも兄様に告げ口するなんて卑怯だ。黙って事の成り行きを見守っているタイラーを睨み付けてやるが、ブルース兄様の額に青筋が浮かんだためにやめた。まるで俺が悪いみたいである。犯人は本物ユリスなのに。
その真犯人はなぜかジャンの腕の中でにやにやしている。おかしい。部屋に置いてきたはずなのに、なんでジャンが持っているんだ。
「花瓶で頭殴るとかなに考えてんだ」
「え? マジで言ってる? なんで君とキャンベルが結婚なんてとんでもない話になってんの?」
「……兄上、その件は後にしてくれませんか」
いきなり俺に説教を始めたブルース兄様であったが、隣ではそれに負けない声量でオーガス兄様がアロンに詰め寄っている。じっとオーガス兄様に注目していれば、ブルース兄様が決まりが悪そうに声をかける。しかしオーガス兄様は止まらない。それを煽るようにアロンが畳み掛けている。
「キャンベル嬢から俺に縁談がきまして。結婚してもいいですか?」
「絶対ダメ! ブルースはまだ許せるけど君はダメ」
「なぜです?」
「君と結婚させられるキャンベルが可哀想だろ!」
それは同意だな。
アロンはクソ野郎だしな。
しかしそれにアロンが怪訝な顔をする。
「可哀想? よくわかりませんね」
どうやら己がクソ野郎だという自覚がないらしい。タチ悪いな。
じっとオーガス兄様とアロンの争いを眺めていれば、「おい」とブルース兄様に肩を掴まれた。
「……オーガス兄様も大変だね」
「大変っていうか、いや、今は兄上のことはどうでもいい」
気を取り直すように咳払いをしたブルース兄様が、なにやら俺を睨み付けてくる。
「いいか? 相手がタイラーだろうとこれはダメだ」
「今すぐ断れ! なんでよりによって君なんだよ! 一番の悪手だろ!」
オーガス兄様の絶叫に釣られて視線を向ければ、ブルース兄様が「あっちじゃなくてこっちを見ろ」と無茶を言う。
「だからいいか? 暴力はダメだ。なにか不満があるなら話し合いで解決しろ」
「話し合いでは無理だった」
「話し合いって、まさかあのストレス主張のことか? あんなの話し合いとは言わん」
「今すぐ断れ! 君らの結婚は認めない!」
「なんで俺とキャンベル嬢の話にオーガス様が首を突っ込んでくるんですか」
アロンとオーガス兄様の口論がヒートアップしていく。ついつい目を向ければ、ブルース兄様が小さく舌打ちした。
「あいつらうるせぇな」
本当だよ。長男がすげぇうるさい。
「そこまで言うならオーガス様もキャンベル嬢に結婚申し込めばいいじゃないですか。そんな受け身でどうしますよ」
なにやらアロンがオーガス兄様を焚き付けている。それに焦ったのはブルース兄様だ。
「おいアロン! 余計なことを言うな」
しかしもはやオーガス兄様の耳にブルース兄様の言葉は入っていなかった。
「そこまで言うなら! そうする! 君にキャンベルは譲らない!」
なんか面白いことになった。
俺を裏切ったのはオーガス兄様だけではない。アロンもだ。クソ野郎め。近々、俺の子分その3にしてやろうと思っていたのだがやめた。裏切りクソ野郎はいらん。
突然、キャンベルと結婚すると宣言したアロン。その瞬間、オーガス兄様が素早く動いた。止める暇もなく鍵を開けてアロンに掴みかかろうとしていた。オーガス兄様はキャンベルのことがとても好きみたいだ。キャンベルと俺、どっちが大事なのか一度問い詰めたい。
ドアの向こうには怖い顔をしたブルース兄様がいた。慌てて逃げ回ったがアロンに捕まった。酷い裏切りだ。
「なにをしてるんだ、この馬鹿」
「馬鹿じゃないもん」
アロンによってブルース兄様の前に引きずり出される。眉間に皺を寄せた兄様は間違いなく怒っていた。
そもそも兄様に告げ口するなんて卑怯だ。黙って事の成り行きを見守っているタイラーを睨み付けてやるが、ブルース兄様の額に青筋が浮かんだためにやめた。まるで俺が悪いみたいである。犯人は本物ユリスなのに。
その真犯人はなぜかジャンの腕の中でにやにやしている。おかしい。部屋に置いてきたはずなのに、なんでジャンが持っているんだ。
「花瓶で頭殴るとかなに考えてんだ」
「え? マジで言ってる? なんで君とキャンベルが結婚なんてとんでもない話になってんの?」
「……兄上、その件は後にしてくれませんか」
いきなり俺に説教を始めたブルース兄様であったが、隣ではそれに負けない声量でオーガス兄様がアロンに詰め寄っている。じっとオーガス兄様に注目していれば、ブルース兄様が決まりが悪そうに声をかける。しかしオーガス兄様は止まらない。それを煽るようにアロンが畳み掛けている。
「キャンベル嬢から俺に縁談がきまして。結婚してもいいですか?」
「絶対ダメ! ブルースはまだ許せるけど君はダメ」
「なぜです?」
「君と結婚させられるキャンベルが可哀想だろ!」
それは同意だな。
アロンはクソ野郎だしな。
しかしそれにアロンが怪訝な顔をする。
「可哀想? よくわかりませんね」
どうやら己がクソ野郎だという自覚がないらしい。タチ悪いな。
じっとオーガス兄様とアロンの争いを眺めていれば、「おい」とブルース兄様に肩を掴まれた。
「……オーガス兄様も大変だね」
「大変っていうか、いや、今は兄上のことはどうでもいい」
気を取り直すように咳払いをしたブルース兄様が、なにやら俺を睨み付けてくる。
「いいか? 相手がタイラーだろうとこれはダメだ」
「今すぐ断れ! なんでよりによって君なんだよ! 一番の悪手だろ!」
オーガス兄様の絶叫に釣られて視線を向ければ、ブルース兄様が「あっちじゃなくてこっちを見ろ」と無茶を言う。
「だからいいか? 暴力はダメだ。なにか不満があるなら話し合いで解決しろ」
「話し合いでは無理だった」
「話し合いって、まさかあのストレス主張のことか? あんなの話し合いとは言わん」
「今すぐ断れ! 君らの結婚は認めない!」
「なんで俺とキャンベル嬢の話にオーガス様が首を突っ込んでくるんですか」
アロンとオーガス兄様の口論がヒートアップしていく。ついつい目を向ければ、ブルース兄様が小さく舌打ちした。
「あいつらうるせぇな」
本当だよ。長男がすげぇうるさい。
「そこまで言うならオーガス様もキャンベル嬢に結婚申し込めばいいじゃないですか。そんな受け身でどうしますよ」
なにやらアロンがオーガス兄様を焚き付けている。それに焦ったのはブルース兄様だ。
「おいアロン! 余計なことを言うな」
しかしもはやオーガス兄様の耳にブルース兄様の言葉は入っていなかった。
「そこまで言うなら! そうする! 君にキャンベルは譲らない!」
なんか面白いことになった。
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