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107 失恋しちゃった
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「リオラお兄様がかわいそう」
「リオラ様がどうかしたんですか?」
部屋に戻ってから、ぼくはロルフに夕食時の出来事を教えてあげた。ふむふむ頷きながら聞いていたロルフであるが「それで? なにがかわいそうなんですか?」と妙な問いかけをしてくる。
なにがって。リオラお兄様が失恋したという話である。可哀想以外に言うことないでしょ。
「お兄様が失恋しちゃった。ライアンめ」
あんなに優しいリオラお兄様を振るなんてどういうつもりだ。いや、別にライアンがリオラお兄様のことを振ったわけではないけどさ。
でもリッキーも優しそう。いかにもBL小説の受けって感じのちょっと儚い雰囲気。けれども彼も騎士である。いざという時にはきっちり自分で動けるタイプだ。ライアンに守られるだけではないふたりの絶妙な関係性が良かった。ものすごく。
そう考えると、ライアンとリッキーが無事に結ばれそうな今の流れは非常にいいと思う。BL的にすごくいい。
原作でのリオラお兄様は裏でこそこそリッキーに嫌がらせをする姑息な悪役だった。そのせいで破滅するんだけど。
「失恋したショックで、お兄様が破滅しちゃう」
悲しくてしゅんと肩を落とせば、ロルフが首を捻った。
「失恋って。そもそもリオラ様は副団長のことがお好きなんですか? それにあのふたりも本当に付き合っているのか微妙ですし」
「ふたりはお付き合いしています。これは間違いない。ぼくにはわかる。ぼくは恋愛のプロだから」
「そんなわけ」
へらへらと否定してくるロルフは相変わらず失礼である。ぼくは前世でよくBL小説読んでたもん。プロだもん。それにここはまさにぼくが読んでいたBL小説の世界である。今後の展開もうっすらとではあるが理解している。現状、ぼくが一番詳しいという点は疑いようがないだろう。
「ロルフの恋愛もぼくがアドバイスしてあげる」
「遠慮します。そんな俺ごときが。アル様の手を煩わせるわけにはいきませんから」
「遠慮しないでいいよ」
ぼくは寛大なので。お世話係さんの恋愛相談にものってあげる。いつでも相談してね、とロルフの背中をポンポン叩いておく。ロルフだって今でこそ平気な顔をしているが、一度リオラお兄様に振られている。お兄様は信念ある人が好きなのに、ロルフにはそれがなかったのだ。ロルフも可哀想。
そこまで考えて、ハッとする。
今のお兄様は失恋して落ち込みモードである。これはなんかロルフにもチャンスがあるのでは?
お兄様の隙につけ込むみたいで悪い気もするが、はやくお兄様を励まさないといけない。このまま放置しておけば、きっとお兄様はリッキーへの嫌がらせを開始する。
ライアンに恋人できたと教えただけで、相手がリッキーであることは教えていない。それでもお兄様は時折すごく鋭いので。もしかしたら早々に相手がリッキーだと勘付くかもしれない。
「大変だよ、ロルフ!」
弟であるぼくの前だったから平静を装っていただけかもしれない。今頃部屋でひとり落ち込んでいたらどうしよう。
「お兄様を励ますにはどうすればいいと思う?」
ロルフに頼れば、彼は「え」と面食らった表情をする。うーんと考え込む彼は、「リオラ様ってなにがお好きなんですか?」と逆に問いかけてきた。
「お兄様は信念ある人が好き」
「いやそういうことじゃなくて」
頬を掻くロルフは、「リオラ様は本当に失恋したのですか?」と真面目に尋ねてくる。
だから。リオラお兄様はライアンのこと好きなんだって。それは間違いないもん。
「リオラ様がどうかしたんですか?」
部屋に戻ってから、ぼくはロルフに夕食時の出来事を教えてあげた。ふむふむ頷きながら聞いていたロルフであるが「それで? なにがかわいそうなんですか?」と妙な問いかけをしてくる。
なにがって。リオラお兄様が失恋したという話である。可哀想以外に言うことないでしょ。
「お兄様が失恋しちゃった。ライアンめ」
あんなに優しいリオラお兄様を振るなんてどういうつもりだ。いや、別にライアンがリオラお兄様のことを振ったわけではないけどさ。
でもリッキーも優しそう。いかにもBL小説の受けって感じのちょっと儚い雰囲気。けれども彼も騎士である。いざという時にはきっちり自分で動けるタイプだ。ライアンに守られるだけではないふたりの絶妙な関係性が良かった。ものすごく。
そう考えると、ライアンとリッキーが無事に結ばれそうな今の流れは非常にいいと思う。BL的にすごくいい。
原作でのリオラお兄様は裏でこそこそリッキーに嫌がらせをする姑息な悪役だった。そのせいで破滅するんだけど。
「失恋したショックで、お兄様が破滅しちゃう」
悲しくてしゅんと肩を落とせば、ロルフが首を捻った。
「失恋って。そもそもリオラ様は副団長のことがお好きなんですか? それにあのふたりも本当に付き合っているのか微妙ですし」
「ふたりはお付き合いしています。これは間違いない。ぼくにはわかる。ぼくは恋愛のプロだから」
「そんなわけ」
へらへらと否定してくるロルフは相変わらず失礼である。ぼくは前世でよくBL小説読んでたもん。プロだもん。それにここはまさにぼくが読んでいたBL小説の世界である。今後の展開もうっすらとではあるが理解している。現状、ぼくが一番詳しいという点は疑いようがないだろう。
「ロルフの恋愛もぼくがアドバイスしてあげる」
「遠慮します。そんな俺ごときが。アル様の手を煩わせるわけにはいきませんから」
「遠慮しないでいいよ」
ぼくは寛大なので。お世話係さんの恋愛相談にものってあげる。いつでも相談してね、とロルフの背中をポンポン叩いておく。ロルフだって今でこそ平気な顔をしているが、一度リオラお兄様に振られている。お兄様は信念ある人が好きなのに、ロルフにはそれがなかったのだ。ロルフも可哀想。
そこまで考えて、ハッとする。
今のお兄様は失恋して落ち込みモードである。これはなんかロルフにもチャンスがあるのでは?
お兄様の隙につけ込むみたいで悪い気もするが、はやくお兄様を励まさないといけない。このまま放置しておけば、きっとお兄様はリッキーへの嫌がらせを開始する。
ライアンに恋人できたと教えただけで、相手がリッキーであることは教えていない。それでもお兄様は時折すごく鋭いので。もしかしたら早々に相手がリッキーだと勘付くかもしれない。
「大変だよ、ロルフ!」
弟であるぼくの前だったから平静を装っていただけかもしれない。今頃部屋でひとり落ち込んでいたらどうしよう。
「お兄様を励ますにはどうすればいいと思う?」
ロルフに頼れば、彼は「え」と面食らった表情をする。うーんと考え込む彼は、「リオラ様ってなにがお好きなんですか?」と逆に問いかけてきた。
「お兄様は信念ある人が好き」
「いやそういうことじゃなくて」
頬を掻くロルフは、「リオラ様は本当に失恋したのですか?」と真面目に尋ねてくる。
だから。リオラお兄様はライアンのこと好きなんだって。それは間違いないもん。
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