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93 誰の味方?
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「あ! 見てください、アル様! あれじゃないですか?」
「ぼくのでーす!」
気合いたっぷりにきらきらの石を探してくれるノエル。前方を指差す彼の視線の先を追えば、地面できらきらと輝く物を発見した。
急いで駆け寄るぼく。
ノエルに奪われる前にと素早く拾い上げた。これはぼくの物ですと主張すれば、ノエルは「よかったですね」とにこにこする。ぼくに石を奪われても、ノエルは怒らない。
「……ノエルお兄さんも石ほしい?」
確認すれば、ノエルが「いらないです」ときっぱり言った。え、いらないの? それはぼくに対する遠慮とかではなく?
「石なんてもらっても。使えないじゃないですか」
「お部屋に飾る。きらきらで嬉しい気持ちになれます」
「僕はあんまり嬉しくないです」
なんだって?
聞き間違いかと思って目を瞬いていれば、ノエルが真っ直ぐにぼくの目を見据えた。
「そんなの飾っても。部屋が散らかるだけですよ」
「散らからないもん」
きらきらで綺麗と再度主張するが、ノエルは「いいえ!」と強気に言い返してくる。
「前から思っていたんですけど。アル様の部屋ってなんで枝とか石とか置いてあるんですか? やめた方がいいですよ」
はぁ?
突然ぼくの悪口を言い始めたノエルに、びっくりしてぽかんと口を開ける。すべてを聞いていたロルフが「いや、そんな。俺はいいと思いますよ!」と、ぼくの味方をしてくれる。
部屋が汚くなるからやめろと酷いことを言い続けるノエルは、お兄さんぶってあれこれとダメ出ししてくる。
君、優しいお兄さんじゃなかったの?
ぼくのこと無茶苦茶に否定するじゃん。
「それもただの石じゃないですか」
「これはきらきらだもん。きらきらの石、すごく人気」
「僕にはよくわかりません」
肩をすくめるノエルは、「まぁ、アル様はまだ五歳だからいいんじゃないですか」と投げやりに話を締めた。
いやいや。勝手に話を終わらせないで。
好き勝手に言われて腹を立てたぼくは、拾ったきらきらの石をポケットに押し込んで仁王立ちをする。ムスッとした顔でノエルと向き合ってみた。
「ぼくに謝ってくださぁい!」
大声で謝罪を要求しておけば、ノエルがちょっぴり眉を寄せた。だが、ノアとは違ってすぐに柔らかい表情を作ったノエルは「すみません」とあっさり謝った。
「好きな物なんて人それぞれですからね。僕が口出しするようなことじゃありませんでした」
「……はーい」
こんな素直に謝罪されるなんて思ってもいなかった。振り上げた拳をそろそろと下ろす。
「でも部屋は片付けたほうがいいですよ。特に枝と土。部屋が汚れて見えるので」
なんで蒸し返すの?
だが、ぼくの味方であったはずのロルフが「確かに。あの土はどうにかしないとですね」とノエルに同調し始めた。これはいけない。ぼくがピンチ。
ふたりの言う土とは、ぼくがお庭の花壇から集めてきたやつのことだろう。お菓子の空き箱があったので、土を詰めて部屋に持ち帰った。その上でダンゴムシさんを育てようと思ったのだが、ロルフに反対されて叶わず。結果、箱に詰められた土だけが部屋の隅に置かれたままになっている。
それをどうにかしろとノエルは言う。確かに、あの土は花壇に戻してもいいかもしれない。
ロルフもノエルに同調している今、ぼくに勝ち目はなかった。
「ぼくのでーす!」
気合いたっぷりにきらきらの石を探してくれるノエル。前方を指差す彼の視線の先を追えば、地面できらきらと輝く物を発見した。
急いで駆け寄るぼく。
ノエルに奪われる前にと素早く拾い上げた。これはぼくの物ですと主張すれば、ノエルは「よかったですね」とにこにこする。ぼくに石を奪われても、ノエルは怒らない。
「……ノエルお兄さんも石ほしい?」
確認すれば、ノエルが「いらないです」ときっぱり言った。え、いらないの? それはぼくに対する遠慮とかではなく?
「石なんてもらっても。使えないじゃないですか」
「お部屋に飾る。きらきらで嬉しい気持ちになれます」
「僕はあんまり嬉しくないです」
なんだって?
聞き間違いかと思って目を瞬いていれば、ノエルが真っ直ぐにぼくの目を見据えた。
「そんなの飾っても。部屋が散らかるだけですよ」
「散らからないもん」
きらきらで綺麗と再度主張するが、ノエルは「いいえ!」と強気に言い返してくる。
「前から思っていたんですけど。アル様の部屋ってなんで枝とか石とか置いてあるんですか? やめた方がいいですよ」
はぁ?
突然ぼくの悪口を言い始めたノエルに、びっくりしてぽかんと口を開ける。すべてを聞いていたロルフが「いや、そんな。俺はいいと思いますよ!」と、ぼくの味方をしてくれる。
部屋が汚くなるからやめろと酷いことを言い続けるノエルは、お兄さんぶってあれこれとダメ出ししてくる。
君、優しいお兄さんじゃなかったの?
ぼくのこと無茶苦茶に否定するじゃん。
「それもただの石じゃないですか」
「これはきらきらだもん。きらきらの石、すごく人気」
「僕にはよくわかりません」
肩をすくめるノエルは、「まぁ、アル様はまだ五歳だからいいんじゃないですか」と投げやりに話を締めた。
いやいや。勝手に話を終わらせないで。
好き勝手に言われて腹を立てたぼくは、拾ったきらきらの石をポケットに押し込んで仁王立ちをする。ムスッとした顔でノエルと向き合ってみた。
「ぼくに謝ってくださぁい!」
大声で謝罪を要求しておけば、ノエルがちょっぴり眉を寄せた。だが、ノアとは違ってすぐに柔らかい表情を作ったノエルは「すみません」とあっさり謝った。
「好きな物なんて人それぞれですからね。僕が口出しするようなことじゃありませんでした」
「……はーい」
こんな素直に謝罪されるなんて思ってもいなかった。振り上げた拳をそろそろと下ろす。
「でも部屋は片付けたほうがいいですよ。特に枝と土。部屋が汚れて見えるので」
なんで蒸し返すの?
だが、ぼくの味方であったはずのロルフが「確かに。あの土はどうにかしないとですね」とノエルに同調し始めた。これはいけない。ぼくがピンチ。
ふたりの言う土とは、ぼくがお庭の花壇から集めてきたやつのことだろう。お菓子の空き箱があったので、土を詰めて部屋に持ち帰った。その上でダンゴムシさんを育てようと思ったのだが、ロルフに反対されて叶わず。結果、箱に詰められた土だけが部屋の隅に置かれたままになっている。
それをどうにかしろとノエルは言う。確かに、あの土は花壇に戻してもいいかもしれない。
ロルフもノエルに同調している今、ぼくに勝ち目はなかった。
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