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77 解決したのに
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「あの置き物の呪いですよ」
「呪いじゃないです。ノエルお兄さんのせいでーす」
「なんで僕のせいにするんですか?」
君が起こした騒動でしょうが。心底不思議といった顔をするノエル。この子、世間では年齢の割に賢い子として知られているけど、実はそんなことないのかもしれない。確かに大人っぽい対応をすることも多々あるけど、それ以上に言動がヤバい。
とりあえず、ジョナスにはあの置き物怪しくないと伝えておいた。リオラお兄様にもらったやつを、ノエルと一緒に埋めただけと説明すれば、ジョナスは変な顔をした。「どうしてそんなことを」と絶句する彼は、大人であるロルフに責めるような視線を向けていた。「あれを止めるのはちょっと無理でした」と、申し訳なさそうにぺこぺこするロルフが可哀想だった。
わかるよ。あの時のノエルはちょっと怖かったもんね。あそこで制止しても、ノエルが逆ギレするんじゃないかって思ったんだよね。ぼくもそう思った。
事件性がないとわかるなり、ジョナスは慌ただしく戻っていった。庭でざわざわしている騎士たちを止めに行くのだろう。ジョナスも大変だな。
ジョナスに抱っこしてもらうという希望が叶わなかったぼくは、ムスッと静かに頬を膨らませる。無言でロルフに抗議をしていたつもりなのだが、当のロルフはノエルのことを気にしていて、ぼくの抗議に気がつかない。
そんな不思議な空気の中、ノエルが放った他人事のような言葉に、またもやぼくは小さく震える。
ノエルは、今回の騒動を置き物の呪いとして片付けたいらしい。無理があると思う。ノエルの奇行に震えるぼくだが、原作小説でのノエルってこんな感じだった気がする。
主人公であるライアン目線だと、ノエルは突然登場してきて、突然事件が起こって、突然それに主人公たちを巻き込んでいった。
とはいえ、ノエルが直接手を下すようなことはなく、なんとなく事件の中心にいつも居る不思議なお子様という立ち位置であった。
おそらく原作だと今回の件は、ノエルが遊びに来ているオルコット公爵家の屋敷で不審物が発見され、そこにノエルが呪い云々言いながら首を突っ込みライアンとリッキーの仲をかき回すというストーリーなのだろう。意味がわからない。
きっと原作だと犯人が有耶無耶になるやつだよ、これ。ところが今回は、ぼくとロルフという目撃者がいたので、平和的に終わった。終わったはずなのに、ノエルは真剣な顔で考え込んでいる。彼の中では、まだ事件は終わっていないらしい。これ以上ややこしい事態に発展させられても困る。ノエルは、原作を見る限り事態をややこしくするのが得意だから。ぼくがどうにかしないと。
「ノエルお兄さん! ぼくと遊んでくださぁい!」
とりあえず、ノエルをあの置き物から引き離さないと。彼の気を逸らそうと声をあげるが、ノエルは静かに首を左右に振ってしまう。
「ダメですよ、アル様。まずはこの件を解決しないと」
「もうしました。犯人はノエルお兄さんです。リオラお兄様にもらった置き物、勝手に埋めたらダメです」
「あれはきっと呪いですよ。僕があそこに埋めるよう、あの置き物が僕を操ったんですよ」
「……」
これ、どうしよう。
本気でそう考えているのか。それとも悪戯がバレたお子様が適当な言い訳をしているのか。これはどっちだろうか。
おそらく後者なのだろうが、ノエルがあまりにも真剣な顔なので困ってしまう。静かにぼくとノエルのやり取りを聞いていたロルフも、口元を押さえて絶句している。
困ったぼくは、ノエルの袖を引く。そのまま彼を引っ張って、ぼくお気に入りのきらきらの石コレクションを見せてあげる。
「これが一番大きい石です。一番きらきらなのはこっちです」
「これ全部アル様が集めたんですか? すごいですね」
よく見つけましたね、と微笑むノエルは普段通りの優しいお兄さんだ。ようやくこの笑顔を見ることができて、ホッと胸を撫で下ろす。
このままノエルが置き物の件を忘れてくれればいいと思う。そのためには、ぼくも多少の犠牲を払う覚悟だ。
「ノエルお兄さん。好きなのひとつあげます。どれがいいですか?」
本当はあげたくないけど。これでノエルがおとなしくなるなら仕方がない。ぼくのきらきら、少し分けてあげよう。
「呪いじゃないです。ノエルお兄さんのせいでーす」
「なんで僕のせいにするんですか?」
君が起こした騒動でしょうが。心底不思議といった顔をするノエル。この子、世間では年齢の割に賢い子として知られているけど、実はそんなことないのかもしれない。確かに大人っぽい対応をすることも多々あるけど、それ以上に言動がヤバい。
とりあえず、ジョナスにはあの置き物怪しくないと伝えておいた。リオラお兄様にもらったやつを、ノエルと一緒に埋めただけと説明すれば、ジョナスは変な顔をした。「どうしてそんなことを」と絶句する彼は、大人であるロルフに責めるような視線を向けていた。「あれを止めるのはちょっと無理でした」と、申し訳なさそうにぺこぺこするロルフが可哀想だった。
わかるよ。あの時のノエルはちょっと怖かったもんね。あそこで制止しても、ノエルが逆ギレするんじゃないかって思ったんだよね。ぼくもそう思った。
事件性がないとわかるなり、ジョナスは慌ただしく戻っていった。庭でざわざわしている騎士たちを止めに行くのだろう。ジョナスも大変だな。
ジョナスに抱っこしてもらうという希望が叶わなかったぼくは、ムスッと静かに頬を膨らませる。無言でロルフに抗議をしていたつもりなのだが、当のロルフはノエルのことを気にしていて、ぼくの抗議に気がつかない。
そんな不思議な空気の中、ノエルが放った他人事のような言葉に、またもやぼくは小さく震える。
ノエルは、今回の騒動を置き物の呪いとして片付けたいらしい。無理があると思う。ノエルの奇行に震えるぼくだが、原作小説でのノエルってこんな感じだった気がする。
主人公であるライアン目線だと、ノエルは突然登場してきて、突然事件が起こって、突然それに主人公たちを巻き込んでいった。
とはいえ、ノエルが直接手を下すようなことはなく、なんとなく事件の中心にいつも居る不思議なお子様という立ち位置であった。
おそらく原作だと今回の件は、ノエルが遊びに来ているオルコット公爵家の屋敷で不審物が発見され、そこにノエルが呪い云々言いながら首を突っ込みライアンとリッキーの仲をかき回すというストーリーなのだろう。意味がわからない。
きっと原作だと犯人が有耶無耶になるやつだよ、これ。ところが今回は、ぼくとロルフという目撃者がいたので、平和的に終わった。終わったはずなのに、ノエルは真剣な顔で考え込んでいる。彼の中では、まだ事件は終わっていないらしい。これ以上ややこしい事態に発展させられても困る。ノエルは、原作を見る限り事態をややこしくするのが得意だから。ぼくがどうにかしないと。
「ノエルお兄さん! ぼくと遊んでくださぁい!」
とりあえず、ノエルをあの置き物から引き離さないと。彼の気を逸らそうと声をあげるが、ノエルは静かに首を左右に振ってしまう。
「ダメですよ、アル様。まずはこの件を解決しないと」
「もうしました。犯人はノエルお兄さんです。リオラお兄様にもらった置き物、勝手に埋めたらダメです」
「あれはきっと呪いですよ。僕があそこに埋めるよう、あの置き物が僕を操ったんですよ」
「……」
これ、どうしよう。
本気でそう考えているのか。それとも悪戯がバレたお子様が適当な言い訳をしているのか。これはどっちだろうか。
おそらく後者なのだろうが、ノエルがあまりにも真剣な顔なので困ってしまう。静かにぼくとノエルのやり取りを聞いていたロルフも、口元を押さえて絶句している。
困ったぼくは、ノエルの袖を引く。そのまま彼を引っ張って、ぼくお気に入りのきらきらの石コレクションを見せてあげる。
「これが一番大きい石です。一番きらきらなのはこっちです」
「これ全部アル様が集めたんですか? すごいですね」
よく見つけましたね、と微笑むノエルは普段通りの優しいお兄さんだ。ようやくこの笑顔を見ることができて、ホッと胸を撫で下ろす。
このままノエルが置き物の件を忘れてくれればいいと思う。そのためには、ぼくも多少の犠牲を払う覚悟だ。
「ノエルお兄さん。好きなのひとつあげます。どれがいいですか?」
本当はあげたくないけど。これでノエルがおとなしくなるなら仕方がない。ぼくのきらきら、少し分けてあげよう。
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