秋良のシェアハウス。(ワケあり)

日向 ずい

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水樹ルート (主に水樹目線。)

追い出し大作戦。

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 俺は、変わらず目の前の秋良さんに抱きついたまま、どうやってこの人を追い出そうか考えていた。
 そんな時、玄関のドアが開いたかと思ったら、やつが帰ってきた。
「...お前...虎太郎!また、学校をサボっただろ...??(怒)いい加減ちゃんと学校行けよな!!(怒)」
と言って俺に罵声を浴びせたこの男は、阿久津 龍(あくつ りゅう)。通称、龍にー。俺は、秋良さんから離れると、龍にーに向かっていつものようにこう言った。
「...なんだよ...龍にーちゃんには、関係ないじゃん!!僕が学校行こうが行くまいが!!(怒)」
と言うと、これがスタート合図のように喧嘩が始まる。(はっきり言って、絡まれると面倒だから手っ取り早く喧嘩に持ってく方が、よい事を俺は知ってるから。)それを止めに来るのは、キッチンから顔を出した加来さんだった。
「こらっ!2人とも!!なんでいつも喧嘩ばっかりするの??(汗)ほら、龍は、さっさと着替えてくること!それから、虎太郎もちゃんと学校行かないとダメでしょ??(汗)」
この声が合図で喧嘩は終わる...。ね!手っ取り早いでしょ??(笑)
 その瞬間
「...分かった...加来さん。着替えてくる。」
と言って自室に向かう龍にーを見送ると俺も
「...うっ...ごめんなさい...分かったよ...ちゃんと学校行く。」
と言って嘘泣き混じりの反省を演じる。
 まぁ、こうしていると大概丸く収まるからね...。
 暫くして、玄関のドアが開きまた厄介な人が帰ってきた...そんなことを考えていると、秋良さんがいきなり立ち上がって帰ってきた男の人に話しかけた...。帰ってきたのは、榛名 青波(はるな あおば)さん。この人は...秋良さんの言葉を無視して真っ直ぐ自室のある2階へと上がっていった。
まぁ、当然無視して二階に上がっていくと思っていたけど、流石に...秋良さんに何か言ってあげないと可哀想か...。
 なんて考えているとリビングで一緒にテレビを観ていた龍にーちゃんが、先に口を開いた。
「まぁ...榛名(はるな)さんは、あんな感じだし...気にしない方が、いいと思うぞ...(笑)」
と言って苦笑いしていた。
...んな事されたら、俺もなんか言わないといけないじゃんか...。
 そう思って、俺は口を開いた。
「うーん、青(あお)にーちゃんは、人見知りだしね...仕方ないかも...ねぇ~、それより、秋良にーちゃん!!あ・そ・ぼ!!!(笑)」
まぁ...こう言って秋良さんの腕でも引っ張ってみたら...流石に嫌な顔するかな...??(笑)
と思っていたら、じっと普通の顔をして俺を見つめてきて...次の瞬間、加来さんが秋良さんに話しかけるもんだから...結局、秋良さんを、追い出すことに失敗してしまった...。
 その後は、みんなでご飯を食べて...食べ終わった後に秋良さんは、加来さんにお風呂に入ってきたらと言われていて秋良さんは、お風呂に向かっていった。
 俺は、今度こそと思い、本当は嫌だが秋良さんが入っているお風呂にわざと向かった。お風呂の取っ手を持ちながら今度こそ秋良さんの裏の顔を掴んでやると決心してドアを開いた。
「...秋良にーちゃん!!僕も、一緒に風呂入る!!」
と言って風呂のドアを開けた俺を見て秋良さんは、びっくりした顔をしていたが、すぐに普通の顔に戻って
「...うっ...うん。」
と言って了承してくれた...なんか...これじゃあ、俺...めっちゃ幼稚な奴じゃん...(汗)
 何とかして俺が今いる立ち位置を守らないと...じゃなきゃまた...また...あの時みたいに...(汗)
 お風呂に入ったあと、秋良さんは、自室に帰ったみたいで...俺は、暫くリビングのソファで秋良さんを、追い出す作戦を一生懸命に考えていた時...いいことを考えついた。これなら、多分...誰しもが嫌がるだろう...。そう思った俺は、実行に移すため秋良さんの部屋に向かった。
 秋良さんの部屋のドアを開け
「...秋良にーちゃん!!僕も一緒に寝る!!!(笑)」
いっつも嫌々着ている猫パジャマ...それと自室から持ってきた枕を手に持って秋良さんの部屋に乗り込んだ。これは、大抵みんな嫌がるから...これしかないと思った...なのに...。何でだよ...こいつ...俺を...受け入れやがって...。
 俺は、秋良さんの隣に寝っ転がりながら...どうすれば秋良さんが出ていってくれるのか...ずっと考えていた。そうして...思った...秋良さんの宝物を奪ってやろうって。
 俺は、秋良さんのベッドから抜け出すと、秋良さんの私物を漁りだした。暫く漁っていると...「あっ...これ...ぐっ...(怒)こいつ...ムカつく...こんなもの...大事に持ってるなんて...(怒)」
 俺が見つけたのは...1枚の写真たてに入った家族写真だった...。
 俺は、秋良さんを睨みつけると...「...何で...お前ばっかり...くそっ...。」と言って暗い部屋で、月の光に照らされた光るものが目から零れていた...。
が、次の瞬間過去の記憶がフラッシュバックし...俺は、顔を強ばらせると秋良さんの荷物から盗った写真たてを、自分のパジャマに隠し、無言で秋良さんの横に戻り、過去のトラウマのせいで小刻みに震える体を、必死に止めようとしていた...。
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