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第5章 「本当の目的と真実。」

「マオちゃん絶体絶命!!!!」

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 「どうした...魔王???お前はこんなに弱い奴じゃ無かっただろ????もっと本気を出してこいよ。それともなんだ???俺がかっこよすぎて、まともに戦えないとか???(笑)」

 「ふん、笑わせてくれるじゃない!!!!えぇ、その通りよ!!」

 「いや、その通りなんかい!!!!!....って、お前のペースに誘いこもうったって、そうはいかないぞ!!」

 「あらぁ、やだ~!!!ばれていたのねぇ~。だってアンタ...単純そうなんだもん。ふざけたら、素直に返してくれるところとかサイコーじゃない!!!!どぅ~ぉ、私とお笑いでもやりましょうか???」

 「ふざけるのも顔だけにしとけ...あとその服もなっ。」

 「あっ、ずるいわ!!!!レディに向かって、いきなり刃物を振るうなんてっ!!!!」

 マオちゃんは、目の前できらりと光る汗が綺麗だけど、性格不細工な魔法使いをからかい楽しんでいると、そんなマオちゃんの隙をつくために、魔法使いは話している最中にもかかわらず、マオちゃんめがけて剣を振り下ろしたのだった。

 またマオちゃんも、最初からこうなることが分かっていたのか、魔法使いの剣をさらりとかわすと、そのまま魔法使いの背後に回り、魔法使いの耳に付いているピアスをとったのだった。

 「あら~やっぱり!!!...これ、前の戦いの時に、私が落としたピアスじゃないのよ!!!なんで持っていたのかしら???」

 「...っ、お前。勘違いされるようなこと言ってんじゃねぇ!!!!....だって、それ携帯型の通信機なんだろ???すごく便利だから、借りてたってわけだ。もう要らないし、お前に返すよ。」

 「こんなものいるわけないじゃない!!!!!だってあなた、まともにお風呂入ってないんでしょ???さっきから、プンプンおじいちゃんの匂いがするわよ???顔はかっこいいのにねぇ。」

 「っるせなぁ!!!!!これは元々の体臭じゃボケッ...!!!!お前も年取りゃ、いずれ独特の匂いがするようになるんだよ!!!!」

 マオちゃんと、魔法使いは剣を交えて攻防の激しい戦いを繰り広げながら、この状況には似つかわしくない話をしていた。

 その姿に、ルグ達は目を点にしながら、二人の様子をただ、じぃーっと見つめているのだった。

 「あの....魔法使いと魔王さんって.....本当に敵同士なんだよな???」

 「当たり前でしょ!!!!!」

 「こいつと仲間とか、死んでも嫌だ!!!!」

 二人の様子に、困った顔をしていたルムは、おなじみの空気が全然読めない性格を活かして、戦っている真っ最中の二人に質問したのだった。

 そのルムの質問に、どちらが早かったのか、全く分からないレベルで、マオちゃんと魔法使いは、同時に全否定の意を述べたのだった。

 そうして、どちらとも譲らず、暫く攻防が続いていたが...魔法使いが、目の前で息を切らしているマオちゃんに対して、容赦なく剣を振るったことにより、戦いが大きく動くこととなった。

 「オラッ!!!!!食らえ!!!!!昔のお前には敵わなかったが、今の俺はあの頃とは違う...!!!!!あの時は、よくも散々好き勝手してくれたな!!!!!!だが、これでお前も終わりだ!!!!」

 「あっ!!!....まっ、まずいっ!!!!!!体が動かない....!!!!!まさかあなた.....こんな戦い方するなんて、あの頃よりも無様でかっこわるいわよ!!!!!.....っ!!!!!!」

 魔法使いは、大きな声で威勢を発しながら、直立しているマオちゃんめがけて、剣を振り下ろしたのだった。

 マオちゃんは、目の前の剣から逃れようと体に力を入れたが、魔法使いが自身の体に魔法を掛けたのか、腕を動かすことさえ出来なかった。

 そんな無防備なマオちゃんに構わず、クズな魔法使いは、マオちゃんの右肩から斜め左下に、大きく剣を振り下ろしたのだった。

 当然、ぴくりとも動かないマオちゃんは、格好の的となり魔法使いの振り下ろした刃物により、大きなダメージを与えられた。

 一瞬のことに、周りで見ていたルグ達も何が起こったのか全く把握出来ていなかったが、マオちゃんの腹から吹き出す血を目にしたことにより、やっと事の重大さに気付いたのだった。

 苦痛に顔を歪めるマオちゃんに魔法使いは、にたにた笑いながら、剣からしたたる赤い液体で、ぽたぽたと地面を汚しながら、1歩また1歩と距離を詰めていった。

 「....くくくっ....あはははははっ!!!!!!魔王よ!!!!どうだ???あの時、お前に与えられた俺の屈辱を自身の身体で味わうのは...???....あ~あ~、そんなに腹から血を流して.....痛いのぉ~???痛いよねぇ~~~???だって、この剣には、お前を殺すには十分の毒が塗ってあるんだからな????せいぜい、俺の目の前で痛がれよ。(笑)」

 目の前で、気味の悪い笑みを浮かべる魔法使いに、マオちゃんは荒い呼吸を繰り返しながら、こう言った。

 「....くそっ、だからか....。俺には刃物が効くはず無いのに、どうしてこんなに大きなダメージを受けたのかと思ったが....。お前....前よりもより、一層卑怯者になって...そんなに俺の事が憎かったのか???」

 「っ...当たり前だろ!!!!!!!お前が、俺の人生をめちゃくちゃにしたせいで、俺に付いていた部下は、みんなお前の支配下に変わり、俺は肩身の狭い思いをしながら、これまで必死に生きてきたんだ!!!おまえにこの屈辱が....辛さが分かるかよ!!!!!!お前には俺の手で痛めつけて、苦痛に顔を歪めながら死んでいってもらわないと割に合わないんだよ!!!!!さぁ、無駄話はこれくらいにして、お遊びの再会といこうかぁ???」

 こう口にした魔法使いは、荒い息を繰り返して、床に力なく座っているマオちゃんにゆっくり近づいていくと、マオちゃんの髪の毛を乱暴に引っ掴んで、その場に無理矢理立たせるとマオちゃんの顔を思い切り殴りつけたのだった。

 「....っ!!!!!」

 「オラッ!!!!どうしたよ????さっきまでの馬鹿騒ぎは、楽しかったかぁ????お前の馬鹿騒ぎは、子供っぽくて実に不愉快だ....。お前が死ねば、晴れて俺のストレスもゼロになるなぁ????くくくっ。」

 容赦ない魔法使いの一方的な攻撃に、周りで必死に身じろぐルグ達は、マオちゃんにこう叫んでいた。

 「魔王さん!!!!!!何とかして、そっちに行くから!!!!!それまでくたばるなよ!!!!!!!」

 「ルムの言うとおりだよ!!!!魔王さん、僕も何とかしてそっちに行くから!!!!!」

 「お前達....やっと、自分のこと以外に、他人のことも考えられるようになったんだな!!!...マオちゃん...これからもコイツらに礼儀を教えてください...だから、死んだらダメだ!!」

 「....マオちゃん!!!!!!この戦いに勝ったら、一緒に人間界でBL観光しましょう!!!!!」

 ルグ達の言葉にマオちゃんではなく、魔法使いが苛立ちにも似た声をあげたのだった。

 「....おい、無力なくせに口だけは達者な奴らめっ!!!!!ビービービービー五月蠅いんだよ!!!!!!そんなに構って欲しいなら、意識失いかけてる魔王よりも、お前らを手っ取り早くあの世に送ってやろうか????」

 「.....っ....やめなさい....あん....た....が、手を出していい子...たち.....じゃ....『お前はお前で無駄口をたたくなよ!!!!このブスが!!!』...っ!!!!!ぐはぁ....!!!!!」

 『マオちゃん!!!!!!!!』

 魔法使いの言葉に、意識がもうろうとする中、マオちゃんは必死にルグ達のことを庇った...。

 だが、これに機嫌を更に悪くした魔法使いは、まだ血がだらだら流れているマオちゃんに対して、わざと腹の傷を抉るように剣を突き立てたのだった。

 突き刺さった剣の、あまりの痛みに悶絶したマオちゃんは、ぐったりとし....口からは、泡らしきものを吹き出し始めていた。

 そんなマオちゃんの様子に、ルグ達は魔法使いにガンを飛ばし、必死に抵抗の意を見せた。

 だが、そんなルグ達の態度に魔法使いはイラつきを全開にさせ、こう叫ぶとある魔法をかけたのだった。

 「....この低級魔族どもが!!!!!!!お前らは、この魔法であの世にいけ!!!!!!」

 もう駄目だ....誰もがそう思ったその時.....

 「アンタは.....世界最高の馬鹿だ....魔王さん。.....おい、お前。俺の仲間によくも手をあげてくれたな???」

 「あ???お前は.....誰だ???」

 「名乗りたいところだけど....ひとまず、ルグさん達には、少しの間、気を失っていてもらわないとね....後々面倒だ...。(汗)」

 こう言うと....魔法使いに声をかけた主は、軽く手を振りルグ達に催眠の魔法をかけた。

そうして、ルグ達が次々に床に倒れる中、声の主は魔法使いに改めてこう言葉を発した。

 「....いやぁ、まさかね....。こんなの誰も分からないだろ...。(汗)まさか、俺のお父さんが....今、そこで泡ふいてるニューハーフだったなんて....。いやぁ、マジ......ちょっと残念だわ....。っと、まぁ、そんなことはどうでもいい。自己紹介が遅れたな...俺は、ボン.....だ。」
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