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第2章 「愛のカタチは、複雑である。」
「さよなら、拓三。(愛音視点)」
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俺は、拓三との激しい一夜を過した翌日、拓三の前から姿を消した。
あれから1ヶ月間...拓三には、会っていない。
家にも帰っていない。
連絡も......。
いいんだ、これで。
俺があの時、自分の思いを拓三に告げなければ、俺と拓三の仲を壊さなくて済んだはずなのに....そんなこと、最初から分かっていただろう???
欲を張れば、今あるものを壊しかねないと....昔からそうだったじゃないか...何度も自分に言い続けていただろう。
なのに、もしかしたら...なんて......。
なんで、同じ過ちを何回も何回も繰り返してしまうんだ...。
俺は胸の中で蠢(うごめ)いているモヤモヤが無性に気持ち悪く感じてしまい、最近ずっと通っていたバーのカウンターで、独り大きなため息をついていた。
そんな俺の背後から声を掛けてきたのは、ある一人の男だった。
「なぁ....お前、どうした???最近ずっと浮かない顔しているみたいだけど...。もしあれなら、俺とお互い抜きあいっこしてスッキリしにいくか???(笑)」
俺の背後からこう声を掛けてきたのは、俺が拓三の元を去ってから最初に立ち寄ったこのバーで、丁度呑み仲間を探していた賢治という男であった。
「えっ...あ、賢治(けんじ)...。仕事お疲れ様...はははっ、最近どうしてかな???ずっとこんな調子なんだよね...。グイッ...ゴクゴクゴクッ!」
「って...うわぁ、お前...案外酒強いのな。ロックいっき呑みなんて......肝臓化物かよ。調子乗って...あんま呑み過ぎんなよ、そのうち酒に呑まれるぞ!(笑)」
俺は、苦笑いを零しつつ俺の肩に手を置く賢治にこう声を掛けていた。
賢治は今年30歳らしく、昨年まで女の人と結婚していたらしいが、ある日勇気を出して奥さんに自分が同性愛者であることを打ち明けた途端、その女の人と上手くいかなくなり、結果今は独り身なんだと...。
やっぱり...欲を張ると、今あるものを壊すことになるんだな...。
賢治はほぼ毎日来ているのか、俺がこのバーを訪れると、きまって俺に絡んでくるようになった...。
正直、男遊びはあまり得意ではないため最初の頃は賢治に冷たく当たっていたのだが、何故か賢治は俺がどれだけ冷たく接しても、俺の側から離れなかった。
何故俺の側を離れないのかと仕方なく理由を聞けば、彼は俺のことが好きなんだと...俺と体の関係を持ちたいのだと、こう打ち明けてくれた。
俺はその日から拓三との辛い思い出を忘れたくて、賢治という男と体の関係を持つ...いわゆるセフレという関係に発展したのだった。
賢治には、決して罪悪感が無いわけじゃない....でも、これで拓三を忘れることが出来る。
やっぱり拓三には、普通の恋をさせてあげるべきなんだよな...俺の身勝手な意思で振り回してはいけないよな...。
はぁ...でも、賢治とヤッているときも、何故か心の片隅には拓三がいて...『拓三は先にキスをくれる』とか....『拓三の方が上手だな』、『拓三の方が俺の弱いところを沢山知っているんだな』....とか、無意識のうちに拓三と比べてしまっているんだ...。
分かってる...俺は、まだ拓三に未練があるのだと...。
一体、どうすれば拓三を忘れることが出来るのだろうか...。
まぁ、きっと時間が解決してくれるよな。
大丈夫だ....きっと忘れることが出来る、辛いのは今だけだ。
賢治とも、拓三を忘れることが出来るまでの付き合いにするつもりだし。
俺は無理やりこう考えると、賢治の与える大人な愛に身を委ねるのだった。
あれから1ヶ月間...拓三には、会っていない。
家にも帰っていない。
連絡も......。
いいんだ、これで。
俺があの時、自分の思いを拓三に告げなければ、俺と拓三の仲を壊さなくて済んだはずなのに....そんなこと、最初から分かっていただろう???
欲を張れば、今あるものを壊しかねないと....昔からそうだったじゃないか...何度も自分に言い続けていただろう。
なのに、もしかしたら...なんて......。
なんで、同じ過ちを何回も何回も繰り返してしまうんだ...。
俺は胸の中で蠢(うごめ)いているモヤモヤが無性に気持ち悪く感じてしまい、最近ずっと通っていたバーのカウンターで、独り大きなため息をついていた。
そんな俺の背後から声を掛けてきたのは、ある一人の男だった。
「なぁ....お前、どうした???最近ずっと浮かない顔しているみたいだけど...。もしあれなら、俺とお互い抜きあいっこしてスッキリしにいくか???(笑)」
俺の背後からこう声を掛けてきたのは、俺が拓三の元を去ってから最初に立ち寄ったこのバーで、丁度呑み仲間を探していた賢治という男であった。
「えっ...あ、賢治(けんじ)...。仕事お疲れ様...はははっ、最近どうしてかな???ずっとこんな調子なんだよね...。グイッ...ゴクゴクゴクッ!」
「って...うわぁ、お前...案外酒強いのな。ロックいっき呑みなんて......肝臓化物かよ。調子乗って...あんま呑み過ぎんなよ、そのうち酒に呑まれるぞ!(笑)」
俺は、苦笑いを零しつつ俺の肩に手を置く賢治にこう声を掛けていた。
賢治は今年30歳らしく、昨年まで女の人と結婚していたらしいが、ある日勇気を出して奥さんに自分が同性愛者であることを打ち明けた途端、その女の人と上手くいかなくなり、結果今は独り身なんだと...。
やっぱり...欲を張ると、今あるものを壊すことになるんだな...。
賢治はほぼ毎日来ているのか、俺がこのバーを訪れると、きまって俺に絡んでくるようになった...。
正直、男遊びはあまり得意ではないため最初の頃は賢治に冷たく当たっていたのだが、何故か賢治は俺がどれだけ冷たく接しても、俺の側から離れなかった。
何故俺の側を離れないのかと仕方なく理由を聞けば、彼は俺のことが好きなんだと...俺と体の関係を持ちたいのだと、こう打ち明けてくれた。
俺はその日から拓三との辛い思い出を忘れたくて、賢治という男と体の関係を持つ...いわゆるセフレという関係に発展したのだった。
賢治には、決して罪悪感が無いわけじゃない....でも、これで拓三を忘れることが出来る。
やっぱり拓三には、普通の恋をさせてあげるべきなんだよな...俺の身勝手な意思で振り回してはいけないよな...。
はぁ...でも、賢治とヤッているときも、何故か心の片隅には拓三がいて...『拓三は先にキスをくれる』とか....『拓三の方が上手だな』、『拓三の方が俺の弱いところを沢山知っているんだな』....とか、無意識のうちに拓三と比べてしまっているんだ...。
分かってる...俺は、まだ拓三に未練があるのだと...。
一体、どうすれば拓三を忘れることが出来るのだろうか...。
まぁ、きっと時間が解決してくれるよな。
大丈夫だ....きっと忘れることが出来る、辛いのは今だけだ。
賢治とも、拓三を忘れることが出来るまでの付き合いにするつもりだし。
俺は無理やりこう考えると、賢治の与える大人な愛に身を委ねるのだった。
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