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第六章 「リル王子とリオン王妃の日常」

「晩餐会は大変だった...。」

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 「はぁ....疲れたなぁ。アル???よく頑張ったな。」

 「うん、疲れた....リルもよくあんな難しい話を一回りも二回りも年が離れている人たちと話が出来るよね???俺なんか、シエナさんと恋バナしかしていなかったし....。」

 「当たり前だろ???俺はこの国の国王で、小さい頃から教養から作法に至るまで、全てのことを修得してきたんだから。アルよりも出来るのは当たり前。アルも、くせの強いことで噂のシエナさんに気に入られていたことは凄いと思うぞ???シエナさんは、敵に回すべき人ではないからな。」

 「....えっ!!!そうなの!???全然そんな雰囲気なかったけど....むしろ、凄く優しい感じしたよ???」

 こう言って、背後に立っているリルにアランは驚いた表情を向けた。

 そんなアランの様子にリルは、クスリと微笑むと自身の着ていた上着を脱ぎ、アランの方を向くと、アランに両手を広げておいでと合図した。

 リルの行動にアランはどきっとして一瞬躊躇ったが、リルがなかなか来てくれないアランにもう一度両手を上下させ

 「アル、おいで。」

 と言い、公務の時とは異なる甘い声色で、アランのことを呼んだ。

 アランは、少し照れた様子で、渋々リルの元に近づいていくと、待ちくたびれたリルに腕を勢いよくひかれ、バランスを崩したアランは、リルの腕の中に収まった。

 自身の腕の中に収まったアランをギュッと抱きしめたリルは、アランの耳元に唇を寄せると

 「アル、大好きだ。...お前は、男のはずなのに相変わらず華奢だな....。ほんと、心配になるよ。...いつも心配しているんだ。アルが他の男に連れて行かれたら...もし、アルが他の男のことを好きになってしまったら....色々考えてしまって....。だから、こうしてアルのことを抱きしめられると、アルは俺のものなんだなって実感できて安心する。」

 と言い、リルは震える声色を悟られたくなかったのか、アランの首筋に顔を埋めたのだった。

 そんなリルの様子に、薄く微笑みを浮かべたアランは

 「リル....大丈夫だよ。何も酷いことをしていないリルを嫌いになる理由なんて無いんだから。....俺はいつでもリルのことを第一に考えているよ。.....あっ、それと母さんのこともね。」

 と言い、リルの背中を優しくさすったのだった。

 アランの行動に小さく頷いたリルは、暫くアランに抱きついていたが、ふいに先ほどアランが言った言葉を思い返し、バッとアランの肩に埋めていた顔を上げると

 「....って、おい。よくよく考えてみれば、お前....さらっとアベリア様のことも、含めているではないか....。くそっ、こうなったら....アルに俺の愛を再認識させてやらないといけないな。」

 と言い、戸惑った表情をするアランをさっと横抱きにすると、じたばたするアランを無視して、そのままベッドにアランを降ろすとその上に馬乗りになり、アランが何か発言する前に強引にアランの唇を奪ったのだった。

 激しく抵抗するアランに構わず、リルはアランの着ている服をどんどん脱がせると、アランの露わになった体に唇を這わせ始めたのだった。

 その瞬間アランは甘い吐息を漏らし始め、徐々に迫り来る甘い快楽に抗うため、リルの背中に細い腕を回したのだった。

 そうして、アランはそのままリルのことを受け入れたのだった。

 またリルは、自身の不安な気持ちをアランにぶつけるかのように、必死にアランを求めたのだった。

 こんな幸せな日々がずっと続けば良いのだが....人生は、そんなに平和なものではない。

 幸せな時間に浸っている二人は、これから起こる不安定な日々に気が付くことはまだ出来ないのである。
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