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第一章 「隣国王との出会い」
「ナノの腕前。」
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「アラン??起きて??ドレスと靴が出来上がったんだ!!早速、着てくれないだろうか??」
俺は、まだ薄暗い外の様子を近くの窓で確認すると、薄く開けた目で今度は、ソファで横になる俺の目の前で、ニコニコとほほ笑みを浮かべたナノさんに目を向けた。
そうして朦朧とする意識の中で、俺はナノさんの言葉にムクっと起き上がると、そのままナノさんの持っていたドレスに着替え出したのだった。
俺の行動に、クスクスと笑い声を上げていたナノさんだったが、俺が服を着た姿を見て、目を丸くしていた。
それもそのはず...
「アラン...すごく可愛い...。(まるで...本物の女の子みたいだ。)このまま、俺の手でこのドレスを脱がせたいぐらいだよ...。」
なんて言うのだから...。
俺は、ナノさんの衝撃的な発言に、今まで朦朧としていた意識をハッキリさせると、ニヤニヤするナノさんの方を強く睨みつけて、警戒心を露わにしたのだった。
「...昨日のこと...忘れたわけじゃないからな...??俺は...。(汗)」
とここまで言ったところで、ナノさんは、ケラケラと笑い声を上げて
「あははっ、ちょっとアラン??冗談だって!!何まじになってんの???(...半分以上は本気だけど。)」
と言ってきた。
俺は、その瞬間してやられたと思い、ナノさんの背中を勢いよくバシッと叩くと、足早に洗面所まで向かった。
「あいてて......、アランって、ちょっと...いや、かなり天然??それ最高...面白いじゃん!!」
なんて、俺の消えたリビングで、ナノさんが独り言を言っているなんて、恥ずかしさで胸がいっぱいの俺は、知ることはなかった。
それから俺は、ナノさんにお礼を言い、仕立てて貰ったドレスを着た状態で、なんとナノさんにはメイクまで施してもらい、どこからどう見ても完璧女の子という状態で、舞踏会の開かれるお城まで向かう事となった。
俺がお城に着く頃には、辺りはすっかり暗くなっており、お城は明るい外観で一際目立ち、すぐに分かった。
はぁ...こういう場所って、いちばん緊張するんだよな...俺...緊張に弱いタイプだったっけ...???
いや、まずさ...何この城に近づくにつれて、増えていく警備の数々...ここ...凶悪犯罪者出るんですか???
っていうぐらいの人の数......ははは、人件費の無駄遣い...。(笑)
これを世間の人々は、まるで人がゴミのようだと言うんだろうなぁ...。
なんて、考えを巡らせながら、俺は目の前に構える大きな門へと辿り着いたのだった。
城に入る際、一般人は、ここの出入り口以外の立ち入りを禁止されている。
ルールを破れば、即刻牢獄行きだ...。
まぁね~、こんなに城が大きければ、そりゃそうなるわな...。
一人で、こう思考をめぐらせていると、いつの間にか目の前にいた門番が、俺にひとつの質問をしてきた。
「...ようこそおいで下さいました。本日は、リル王子主催のパーティーへのご参加、誠に感謝致します。...失礼ですが、パーティーへの参加状はお持ちでしょうか??」
あー、あれか...。
そう言えば、ナノさんが言ってたっけ??
まぁ、何はともあれ参加状...ちゃっかり手に入れちゃったんだよね~、あっ、盗んだとは訳が違うからな...これは、あくまで拾ったんだ。
それ以上は、言わないことにする。
「はい、これで間違いないかしら??」
俺は、声変わりを迎えたばかりの低い地声を、何とか裏声を駆使して、女の子の声を作り出し、門番にここへ来る道中に拾った参加状を手渡したのだった。
幸い参加状には、誰のものかという名前の表記がなかったため、やり過ごすことが出来た!
ふぅ...意外と警備は甘いのか??(笑)
なんて思った俺は、門番ににこりと微笑むと、そのまま入城したのだった。
城の中に入ると風景は、外観よりも更に凄い、煌(きら)びやかな世界へと変化した。
おいおいおいおい、ここの電気代はどうなっているんだよ!!
俺ん家なんて、夜になればロウソク1本だぞ??
お偉い様はやっぱ違うよな~。
いや、そもそも...俺の考え方が、庶民すぎるのかもしれないが...。
俺は、真新しいものを目にした子供のようにキョロキョロと辺りを見回しながら、舞踏会が開かれる予定の大広間へと向かった。
大広間に入ると...そこには...
うわー!!!何たる豪勢なご飯だろうか!!!
やばっ、えっ!???
貴族様って、毎日こんな料理食べれてんの!???
ほんとに...いい仕事だな!!!!!
って、ダメだダメだ!!
感心してる場合じゃない。
俺は、辺りを見回し、城の関係者しか立ち入れない場所はないのかと、探りを入れ始めた。
まぁ......ざっと見たところ、ここの大広間からは、皇室に立ち入ることすら難しいな...。
なんて言ったって、まず、この大勢の人目だろ??
それから...あそこのガード...アイツに関節技食らわされたら、骨折れるだけじゃ済まなそうだし...。(汗)
こう考えた俺は、談笑している貴族??のご令嬢方を横目に、バレないように軽く料理に手をつけ、空腹を満たすと、その足で大広間から外の庭へと向かった。
ぐっ...ちょっと食べすぎたかな??
いや、だって...料理上手すぎたし、あれは、料理作った料理人の責任だな、うん。
えっと、庭は、ここと...あともう1箇所あるんだったかな??
あーっと、ざっと見た感じあの薄暗くなってる所から、皇室に入れそうだな。
よし!!
あそこから中に入るっていうことでいいか!!
俺は、計画を綿密に頭の中で立てると、そのまま、再度大広間へと足を戻したのだった。
なんで、さっき部屋に入らなかったのか??って、思うだろうが...今の時間から、皇室に入るのは色々とリスキーなんだよな...。
なんでかっていったら、この時間は、皇族様方が、公衆の面前に出る前の着替えや、メイクなどを整えている時間だからだ...。
当然、慌ただしく城内をウロウロしている使用人たちに見つかる可能性も、うんと高くなるわけ!!
ということで、もう少しお腹を満たしてから、再度来ることにしようかな~。
俺は、男だけどお淑やかに大広間へと戻ると、さっき食べかけていた恐らく卵のお菓子??を、盛大に頬張るのだった。
若干数名には、俺がつまみ食いしていることがバレてたっぽいが...まぁ、今日ぐらいは大丈夫だろう。
そうして時間は、あっという間に流れていき、人々がザワザワとざわめき出した頃、盛大な音楽とともに、これから行われる舞踏会の開催を合図したのだった。
「さぁ、いよいよよ!!!...リル王子は、一体どなたをお后にするのかしらね???」
「ほんとにね、でも、私達も王子の婚約者になれる可能性があるのよ??なら、いいじゃない!!」
「はぁ...緊張するわ...。王子...私と踊って下さるかしら??」
うー、耳をつんざくような盛大な音...つまりは...王子登場~って感じか??
なら、俺もそろそろ準備を始めないとな...。
俺は、盛大な音楽とともに前振りをする司会者の話に、耳を傾けているふうを装い、王子が姿を現すのを今か今かと待っていた。
「...それでは、大変お待たせ致しました!!我がエルミナ国第1王子であるリル王子に、ご登壇頂きたいと思います。どうぞ、盛大な拍手を!!」
まぁ、ここは周りの女の子と一緒に調子を合わせておいて...。
へぇ、王子ってもう20歳なんだ~。
まぁ、俺にはどうでもいいけど??
登壇した王子は、大広間をぐるりと見渡し、司会者から受けとったマイクに向かって、低い声でこう言った。
「...ようこそエルミナ国へ。今日お集まり頂いた、ご令嬢並びにご子息の方々は、7割がアバルントフォーズご出身の方々だとか...。わざわざ、隣国へと足を運んで下さり、心より感謝致します。それでは、皆様...本日という素敵な一夜を、どうぞエルミナ国で、存分に過ごしていってください。」
この声の後、王子のお辞儀も早々に、溢れんばかりの拍手が鳴り響き、王子が壇上から降りて、大広間にいた方々と談笑を始めた。
王子の横には、王子の両親もいる。
どうやら...今回のこのパーティーには、王族みんなが出席しているようだ。
なら、好都合。(笑)
俺は、心でガッツポーズをして、大広間から入ってくる人達に混じりながら、再び外の庭へと向かったのだった。
この時の俺は...不覚だった...。
まさか、王子が俺に目をつけていたなんて...。
会場の雰囲気にすっかり飲まれ、更に金に目がくらんでいた俺は、気づくことが出来なかった。
俺は、まだ薄暗い外の様子を近くの窓で確認すると、薄く開けた目で今度は、ソファで横になる俺の目の前で、ニコニコとほほ笑みを浮かべたナノさんに目を向けた。
そうして朦朧とする意識の中で、俺はナノさんの言葉にムクっと起き上がると、そのままナノさんの持っていたドレスに着替え出したのだった。
俺の行動に、クスクスと笑い声を上げていたナノさんだったが、俺が服を着た姿を見て、目を丸くしていた。
それもそのはず...
「アラン...すごく可愛い...。(まるで...本物の女の子みたいだ。)このまま、俺の手でこのドレスを脱がせたいぐらいだよ...。」
なんて言うのだから...。
俺は、ナノさんの衝撃的な発言に、今まで朦朧としていた意識をハッキリさせると、ニヤニヤするナノさんの方を強く睨みつけて、警戒心を露わにしたのだった。
「...昨日のこと...忘れたわけじゃないからな...??俺は...。(汗)」
とここまで言ったところで、ナノさんは、ケラケラと笑い声を上げて
「あははっ、ちょっとアラン??冗談だって!!何まじになってんの???(...半分以上は本気だけど。)」
と言ってきた。
俺は、その瞬間してやられたと思い、ナノさんの背中を勢いよくバシッと叩くと、足早に洗面所まで向かった。
「あいてて......、アランって、ちょっと...いや、かなり天然??それ最高...面白いじゃん!!」
なんて、俺の消えたリビングで、ナノさんが独り言を言っているなんて、恥ずかしさで胸がいっぱいの俺は、知ることはなかった。
それから俺は、ナノさんにお礼を言い、仕立てて貰ったドレスを着た状態で、なんとナノさんにはメイクまで施してもらい、どこからどう見ても完璧女の子という状態で、舞踏会の開かれるお城まで向かう事となった。
俺がお城に着く頃には、辺りはすっかり暗くなっており、お城は明るい外観で一際目立ち、すぐに分かった。
はぁ...こういう場所って、いちばん緊張するんだよな...俺...緊張に弱いタイプだったっけ...???
いや、まずさ...何この城に近づくにつれて、増えていく警備の数々...ここ...凶悪犯罪者出るんですか???
っていうぐらいの人の数......ははは、人件費の無駄遣い...。(笑)
これを世間の人々は、まるで人がゴミのようだと言うんだろうなぁ...。
なんて、考えを巡らせながら、俺は目の前に構える大きな門へと辿り着いたのだった。
城に入る際、一般人は、ここの出入り口以外の立ち入りを禁止されている。
ルールを破れば、即刻牢獄行きだ...。
まぁね~、こんなに城が大きければ、そりゃそうなるわな...。
一人で、こう思考をめぐらせていると、いつの間にか目の前にいた門番が、俺にひとつの質問をしてきた。
「...ようこそおいで下さいました。本日は、リル王子主催のパーティーへのご参加、誠に感謝致します。...失礼ですが、パーティーへの参加状はお持ちでしょうか??」
あー、あれか...。
そう言えば、ナノさんが言ってたっけ??
まぁ、何はともあれ参加状...ちゃっかり手に入れちゃったんだよね~、あっ、盗んだとは訳が違うからな...これは、あくまで拾ったんだ。
それ以上は、言わないことにする。
「はい、これで間違いないかしら??」
俺は、声変わりを迎えたばかりの低い地声を、何とか裏声を駆使して、女の子の声を作り出し、門番にここへ来る道中に拾った参加状を手渡したのだった。
幸い参加状には、誰のものかという名前の表記がなかったため、やり過ごすことが出来た!
ふぅ...意外と警備は甘いのか??(笑)
なんて思った俺は、門番ににこりと微笑むと、そのまま入城したのだった。
城の中に入ると風景は、外観よりも更に凄い、煌(きら)びやかな世界へと変化した。
おいおいおいおい、ここの電気代はどうなっているんだよ!!
俺ん家なんて、夜になればロウソク1本だぞ??
お偉い様はやっぱ違うよな~。
いや、そもそも...俺の考え方が、庶民すぎるのかもしれないが...。
俺は、真新しいものを目にした子供のようにキョロキョロと辺りを見回しながら、舞踏会が開かれる予定の大広間へと向かった。
大広間に入ると...そこには...
うわー!!!何たる豪勢なご飯だろうか!!!
やばっ、えっ!???
貴族様って、毎日こんな料理食べれてんの!???
ほんとに...いい仕事だな!!!!!
って、ダメだダメだ!!
感心してる場合じゃない。
俺は、辺りを見回し、城の関係者しか立ち入れない場所はないのかと、探りを入れ始めた。
まぁ......ざっと見たところ、ここの大広間からは、皇室に立ち入ることすら難しいな...。
なんて言ったって、まず、この大勢の人目だろ??
それから...あそこのガード...アイツに関節技食らわされたら、骨折れるだけじゃ済まなそうだし...。(汗)
こう考えた俺は、談笑している貴族??のご令嬢方を横目に、バレないように軽く料理に手をつけ、空腹を満たすと、その足で大広間から外の庭へと向かった。
ぐっ...ちょっと食べすぎたかな??
いや、だって...料理上手すぎたし、あれは、料理作った料理人の責任だな、うん。
えっと、庭は、ここと...あともう1箇所あるんだったかな??
あーっと、ざっと見た感じあの薄暗くなってる所から、皇室に入れそうだな。
よし!!
あそこから中に入るっていうことでいいか!!
俺は、計画を綿密に頭の中で立てると、そのまま、再度大広間へと足を戻したのだった。
なんで、さっき部屋に入らなかったのか??って、思うだろうが...今の時間から、皇室に入るのは色々とリスキーなんだよな...。
なんでかっていったら、この時間は、皇族様方が、公衆の面前に出る前の着替えや、メイクなどを整えている時間だからだ...。
当然、慌ただしく城内をウロウロしている使用人たちに見つかる可能性も、うんと高くなるわけ!!
ということで、もう少しお腹を満たしてから、再度来ることにしようかな~。
俺は、男だけどお淑やかに大広間へと戻ると、さっき食べかけていた恐らく卵のお菓子??を、盛大に頬張るのだった。
若干数名には、俺がつまみ食いしていることがバレてたっぽいが...まぁ、今日ぐらいは大丈夫だろう。
そうして時間は、あっという間に流れていき、人々がザワザワとざわめき出した頃、盛大な音楽とともに、これから行われる舞踏会の開催を合図したのだった。
「さぁ、いよいよよ!!!...リル王子は、一体どなたをお后にするのかしらね???」
「ほんとにね、でも、私達も王子の婚約者になれる可能性があるのよ??なら、いいじゃない!!」
「はぁ...緊張するわ...。王子...私と踊って下さるかしら??」
うー、耳をつんざくような盛大な音...つまりは...王子登場~って感じか??
なら、俺もそろそろ準備を始めないとな...。
俺は、盛大な音楽とともに前振りをする司会者の話に、耳を傾けているふうを装い、王子が姿を現すのを今か今かと待っていた。
「...それでは、大変お待たせ致しました!!我がエルミナ国第1王子であるリル王子に、ご登壇頂きたいと思います。どうぞ、盛大な拍手を!!」
まぁ、ここは周りの女の子と一緒に調子を合わせておいて...。
へぇ、王子ってもう20歳なんだ~。
まぁ、俺にはどうでもいいけど??
登壇した王子は、大広間をぐるりと見渡し、司会者から受けとったマイクに向かって、低い声でこう言った。
「...ようこそエルミナ国へ。今日お集まり頂いた、ご令嬢並びにご子息の方々は、7割がアバルントフォーズご出身の方々だとか...。わざわざ、隣国へと足を運んで下さり、心より感謝致します。それでは、皆様...本日という素敵な一夜を、どうぞエルミナ国で、存分に過ごしていってください。」
この声の後、王子のお辞儀も早々に、溢れんばかりの拍手が鳴り響き、王子が壇上から降りて、大広間にいた方々と談笑を始めた。
王子の横には、王子の両親もいる。
どうやら...今回のこのパーティーには、王族みんなが出席しているようだ。
なら、好都合。(笑)
俺は、心でガッツポーズをして、大広間から入ってくる人達に混じりながら、再び外の庭へと向かったのだった。
この時の俺は...不覚だった...。
まさか、王子が俺に目をつけていたなんて...。
会場の雰囲気にすっかり飲まれ、更に金に目がくらんでいた俺は、気づくことが出来なかった。
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