ダメな私と吸血鬼

第2章 「私とショコラ。」

絶体絶命...

 二人で屋敷に帰ると...なんだか、屋敷が騒がしいことに気づいた。
 そう...屋敷の入り口には、エピーヌの親族、メイドに執事が勢揃いしていた...。
 その状況に...エピーヌとショコラは、無言で顔を見合わせ、頷き合うと屋敷の裏口に回るため、植栽の背後に隠れながらゆっくりと裏口に足を進めた。
 裏口につくと幸い人の影がなかったので、そこから屋敷に入ろうと植栽から身を出した瞬間
「おい！！お前ら何をしている！！」
と言う声がして、エピーヌとショコラは、咄嗟に動きを止め、声のした方を恐る恐る振り返った。
 そこにいた人物を見た瞬間エピーヌは、目を丸くして
「えっ...アネスティー？？...はぁ、もう驚かさないでよ...。」
そう言ったエピーヌに同じくハッとした表情のショコラは
「え...、アネスティーさん！？...なんでここに？？？」
二人から驚いた顔で見られ、困った顔をしていたアネスティーは、エピーヌを見つめて
「...エピーヌ様...。今、少し大変なことになっておりまして...。その...親族の方が参加なされていた舞踏会の予定終了時間よりも、一時間ほど前に皆様お帰りになられていて...。エピーヌ様とショコラがいない事が...街に出掛けていたことが...バレてしまい...ですが、今ならまだ間に合います...！（汗）はやく、人気のないところにお逃げ下さい...！！でないとですお二人のお命が...！！『おい！見つけたぞ！！』。」
アネスティーの言葉を遮り、声を荒らげてこちらに駆け寄ってきたのは...エピーヌのいとこである兄...ウィットだった。
 彼が声を上げてすぐに、衛兵が駆けつけてきたと思ったら、エピーヌとショコラを、捕らえようと手を伸ばしてきた。
 エピーヌのことを、咄嗟にかばおうとしたショコラは、ウィットに捕まってしまい、エピーヌがショコラに近づこうとした瞬間、ショコラの目がエピーヌを捉えた。
「逃げて下さい！！早く！！！（汗）」
と言ってエピーヌに逃げるように声をかけたのだが、エピーヌは、一向に逃げようとしない。
 そんなエピーヌにショコラは、ぐっと自分の歯を噛み締めてエピーヌを睨みつけると、エピーヌを怒鳴りつけた。
「...全く...お前は、とろいんだよ...。いつもいつも...。俺は、仕事としてあんたと一緒に居ただけで、本心で居たんじゃない...。なんだよ、いつもいつも子供の口調で、正直うざい...！！ウザイってこといい加減気づけよ！！ほんと、鈍感で泣き虫で馬鹿で...。分かったら、さっさとどっか行けよ！！最期ぐらい言われた事まともに守れよ！！この.........出来損ないが...！！！！（泣）」
ショコラに怒鳴られたエピーヌは、目に涙をためて
「...ショコラなんて...大っ嫌い！！！！（泣）」
と言って踵を返すと走り出した。
 そんなエピーヌの後ろ姿を目に、涙をためて愛おしそうに見つめたショコラは、静かに
「...よかった...。こんな最低な執事でしたが、あなたと一緒に今まで過ごせて来て良かったです...。ありがとう...。そして...さよなら...。（泣）」
 こう言ったショコラの首は、ウィットによって、身体と切り離され、冷たく硬い地面に崩れ落ちた。
 そんなショコラの死体を睨みつけるとウィットは
「...この...裏切り者が...恥知らずめ！！お前は、生きている価値すらない...。（怒）」
 そう言ってショコラの横に剣を捨てると
屋敷の入り口に向かって歩き出し
「エピーヌ...。おまえを...今度は、殺してやる...。次は、お前の番だ...。（笑）」
と言うとニヤッと気味の悪い笑みを浮かべて、屋敷の中に入っていった。