ダメな私と吸血鬼〜我が屋敷へようこそ〜

日向 ずい

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第2章 「久しぶりの魔界ですね。」

2-7話 「ラグルの言い分。」

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「エピーヌ...あのな、さっきの事なんだが...『言わなくてもいいわ!!だって、ラグルが隠したいことなんでしょ???だったら、無理に聞いたりはしないわ??』...っ、でも。...分かった。エピーヌが、そう言ってくれるのなら、時が来るまでは黙っておくことにする...。(笑)夜分にすまなかったな...。おやすみ、エピーヌ。」
 ラグルは、意を決してエピーヌに自らの過去を話そうと口を開いたが、エピーヌが咄嗟にそれを言葉で制したため、ラグルは口を閉ざした。
 エピーヌの言葉に、初めは険しい表情をしていたラグルだったが、やがて微笑むとエピーヌに軽く頭を下げて、ソファを立ち上がると部屋を出ていった。
 そんなラグルを見送ったあと、エピーヌは小さな声でこう呟いていた。
「はぁ...びっくりした。まさか、ラグルが入ってくるなんて思ってなかったわ。...でも、まぁ、ラグルが言いたくないのなら無理には聞かないわ。それに、ニーソンに聞いたから、もう聞く必要も無いのよね!(笑)」
 エピーヌは、いたずらっ子の顔をより一層濃くして、ラグルの座っていたソファを眺めると、おもむろにソファを立ち上がり、ポチたちのところに向かわないといけないことを思い出し、部屋を出ていった。
 そのあと、エピーヌはポチとラボンとともに玄関の手入れを無事に終え、今日は、もう夜が遅いということもあり、各自部屋に戻ったのだった。エピーヌは、部屋に戻ると自らのベッドの上に座り込み、青い魔石を手にするとそれにいつものように祈りを込めだしたのだった。今は亡き、敵だらけだった過去のお屋敷生活の中で唯一味方だった、大切な家族をいつまでも忘れないために...。
~ショコラへ~
 元気にしているかしら??
 私はこのとおり元気よ!!天界の世界は、どんな所なのかしらね??...あっ!そう言えば、前にニーソンのもう1つの存在であるリバティが『我は神の使いである。』って言っていたから、ショコラは、きっとニーソンには、会ったことあるのよね???最近、『FREND MAGIC Stone!』というお店を始めて、ラグルとニーソンとお客さんをもてなしているの!!(笑)
 ショコラとの約束、やっと果たせたわよ!!(笑)って、『どれだけかかってるんだ!』ってショコラは、怒りそうよね...。(汗)...まぁ、いいわ!私は、私なりに頑張っているからショコラも、天界で頑張ってね!応援しているわ!
~エピーヌより~
 エピーヌは、ラグルたちと出会う前にいた屋敷で敵ばかりだった環境の中で、自分の唯一の理解者であった執事のショコラからの最初で最後のプレゼントである青い魔石に時折、祈りを込めて話をするのである。彼を片時も忘れないために...。
「...ショコラ。本当は...今でも、時々夢に出てくるのよ...。あなたの優しい太陽のようにキラキラとした笑顔。そんなショコラとの日々...忘れられるわけないじゃないのよ...。(泣)もう一度、あなたに会いたい。何年かかっても構わない。だって、まだお別れの言葉も交わしてない...。叶うことなら...。(泣)」
 エピーヌは、こう独り言をこぼすと、ふぅっと息を吐きベッドに寝転び、暫く天井を見つめていたが、やがて眠気に襲われると静かに目を閉じたのだった。
 ...次の日、お腹に重みを感じて目を覚ましたエピーヌは、いつかのようにお腹へと視線を向けた。
「きゃー!!!!!」
 エピーヌの叫び声に慌てた様子のニーソンとラグルが、エピーヌの部屋へと駆け込んできた。
「エピーヌ!???どうした!???(汗)...って、またお前か!!!(怒)」
「んにゃ~!よく寝たにゃ~!!」
 ニーソンがエピーヌのお腹あたりにいた黒いモフモフの毛をまとった猫...を目に留めた瞬間、呆れた顔をして黒猫に声をかけた。
 するとエピーヌのお腹の上にいた黒猫は、欠伸をすると呑気に伸びをしてベッドから飛び降りると、ニーソンに目を向けた。
「んにゃ???あー、ニーソンさん!!おはようございます!!(笑)」
「...おはよう...ございます。じゃないでしょ???(汗)...こんなことして、前回ラグルにこっぴどくしごかれたんじゃ...!!『お~ぃ、ラボン???(怒)なぁ~に、勝手にエピーヌの部屋で、眠ってるんだ~???(怒)』...ほら、言わんこっちゃない!!!(汗)」
 ニーソンは、目の前のラボンに慌てて忠告したが時すでに遅し、エピーヌのベッド横に居たラボンに目を留めたラグルは、次の瞬間、物凄い形相になりラボンに対して一歩また一歩と距離を詰めていった。
 その様子にまずいと思ったニーソンは、エピーヌをベッドから連れ出すと足早に部屋を出ていったのだった。
 ニーソンがエピーヌを連れて部屋を出た途端、部屋の中からものが破損するような鈍い音がしたと思ったら、ラボンの絶叫が聞こえ、ニーソンは、静かに両手を合わせるのだった。
 「だから、ラグルさん!???何も殴ることないでしょ????(汗)」
「うるさい!!!(怒)だいたいお前が、俺たちの大事な仲間でもあるエピーヌの部屋に...しかも夜に忍び込んで一夜を明かすなんて...このエロ猫が!!!(怒)」
「痛い...痛いよラグルさん!!!(汗)そんなに殴ったら、毛がなくなって禿げ猫になるでしょ???(汗)『うるさい!!!もうお前は、何回注意しても言うことを聞かないんだ。禿げ猫でも、ツルッぱげぱげにでもなっちまえ!!!!(怒)』...ちょっ!!!ラグルさん!?(汗)そんな物騒なものどっから出したの!?ちょっと待って!!!!...バリカンは駄目だよ!!!嫌だ!!(汗)助けてーーーーー!!!!!!(汗)」
 エピーヌを連れて部屋の外で、二人の様子を伺っていたニーソンは、室内の声を聞き酷く顔を歪めて一言...「うわー、凄い...。(汗)」と言って、エピーヌの耳を塞ぐのであった。
 ラグルに朝からこっぴどくしごかれたラボンは朝食の準備を整えながら、ラグルに殴られた頭をさすっていた。
 ラグルに料理の入ったお皿を提供しながら、ラボンはわざとらしくラグルに声をかけた。
「何も、あんなに殴らなくても...。しかも、魔法で隠してるけど、バリカンで毛を剃るなんて、人間としてどうなんですかねぇ???」
 そんなラボンの様子を、当たり前だと言わんばかりの不機嫌な顔で、ラグルは、言葉を返した。
「...だったら、初めっからエピーヌにちょっかいをかけなければいいだろ???...それに、生憎俺は人間じゃないからな。情なんてものは、持ち合わせていないんだ。(笑)悪いな。(笑)」
 そんな二人の話を、苦笑いしながら聞いていたニーソンは、ラボンの頭に出来た大きなたんこぶをじっと見つめていた。
「あんなに大きなたんこぶ...漫画とかでしか見たことないんだけど。(汗)実際に作り出す事って出来るんだ...。」
 ニーソンの言葉は届いていない目の前の二人は、いつものように言い争いを始めていた。
 「全く、お前も懲りないやつだな!!!(怒)何回言えば...!!!『そういうラグルさんだって、エピーヌのこと大好きで大好きでたまらないんでしょう???(笑)』っ!!!何を!!?アホかお前は!!!(怒)まぁ、確かに好きだが...俺の好きは...そういう好きとは...。(照)」
 こんなふたりのやり取りを、全く知らないエピーヌは、いつかの時のように首についていた赤い跡を手でさすりながら、独り言を呟いていた。
 「この家...やっぱり虫がいるのね???でも、この前と同じで全く痒くないのよね...。一体なんでなのかしら??...まさか、虫も魔法が使えるなんてこと...。(汗)」

※リバティとは
 前作の話の中で、ニーソンは、元々神の世界の使いであったがとある重大な罪を犯して、神の世界を追放され人間界に降りてくることに...。簡単に言えば、ニーソンが神の使いであった頃の名前である。なお現在は、神の世界を追放されたため、今後一切神の世界に戻ることはない。
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