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第19号 「旅立ちの琉架。」
グレーの心空。
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琉架は、成田空港の待ち合い所で自分の乗る飛行機の搭乗が開始されるのを、じっと待っていた。
琉架は、ぼーっと何をするでもなく、朝から真っ黒に染まったままの、携帯の画面を見つめていた。
そんな時、琉架の心情を軋ませる...搭乗開始のアナウンスが聞こえてきた。琉架は、アナウンスを聞くと自分の搭乗券を確認してひと息つき、席を立つと隣に置いているスーツケースを手に持ち、重い足取りで搭乗口へと向かったのだった。
「...亜衣希さん...やっぱり伝えるべきだったかな?..いや...ううん...!!!伝えたところで...不安にさせるだけだよね...きっとそうだよ...!!」
琉架は、独り言を呟きながら、さっきからずっと手に持っている携帯を再度見つめると、悩み苦しむ顔をした。
搭乗口に着き、飛行機に乗ろうとした時...『琉架!!!』と背後から大きな...大好きなよく知った声が聞こえてきたため、琉架は慌てて振り返った。
琉架は、自分の目に写っている目の前の人物に、動揺しながら咄嗟に声を掛けていた。
「亜衣希さん...どうして...。だって、俺は、亜衣希さんに話していないは『なんでだよ!!!なんで...こんな大事なこと...俺に言わないんだよ!!!!俺が、琉架のドイツ行きのことを琉架自身の口からではなく、兄さんの口から聞いた時に、何を思ったと思う...。どれだけ悲しかったと思う...!!!まったく...何度言えば...!!!』...っ...ごめん...なさい。ごめんなさい!!亜衣希さん!!!」
琉架は、目の前の亜衣希に対して目に涙を浮かべ、咄嗟に謝罪を口にした。
そんな琉架を亜衣希は、ただ言葉にならないような複雑な表情で見つめていた。
琉架は、歪みかけている顔で、じっと亜衣希の顔を見つめたまま、ただひと言静かにこう告げたのだった。
「亜衣希さん...に相応しい人になって帰ってきます。」
琉架は、それだけ言うとサッと搭乗口へと向かっていった...。
亜衣希は、そんな小さな背中をした琉架を、ただ無言で見つめることしか出来なかった。
「これで...これで良かった...うっ...うぅっ。」
琉架は、背後を気にしながら、これ以上亜衣希の顔を見ていたら、ドイツに行くことをやめてしまいそうだと感じ、名残惜しいとは思ったが、唇を噛み締めて亜衣希に心でお別れを告げていたのだった。
飛行機に乗った琉架の目からは、拭いきれないほどの涙が溢れてきていたのはいうまでもない...。
琉架は、ぼーっと何をするでもなく、朝から真っ黒に染まったままの、携帯の画面を見つめていた。
そんな時、琉架の心情を軋ませる...搭乗開始のアナウンスが聞こえてきた。琉架は、アナウンスを聞くと自分の搭乗券を確認してひと息つき、席を立つと隣に置いているスーツケースを手に持ち、重い足取りで搭乗口へと向かったのだった。
「...亜衣希さん...やっぱり伝えるべきだったかな?..いや...ううん...!!!伝えたところで...不安にさせるだけだよね...きっとそうだよ...!!」
琉架は、独り言を呟きながら、さっきからずっと手に持っている携帯を再度見つめると、悩み苦しむ顔をした。
搭乗口に着き、飛行機に乗ろうとした時...『琉架!!!』と背後から大きな...大好きなよく知った声が聞こえてきたため、琉架は慌てて振り返った。
琉架は、自分の目に写っている目の前の人物に、動揺しながら咄嗟に声を掛けていた。
「亜衣希さん...どうして...。だって、俺は、亜衣希さんに話していないは『なんでだよ!!!なんで...こんな大事なこと...俺に言わないんだよ!!!!俺が、琉架のドイツ行きのことを琉架自身の口からではなく、兄さんの口から聞いた時に、何を思ったと思う...。どれだけ悲しかったと思う...!!!まったく...何度言えば...!!!』...っ...ごめん...なさい。ごめんなさい!!亜衣希さん!!!」
琉架は、目の前の亜衣希に対して目に涙を浮かべ、咄嗟に謝罪を口にした。
そんな琉架を亜衣希は、ただ言葉にならないような複雑な表情で見つめていた。
琉架は、歪みかけている顔で、じっと亜衣希の顔を見つめたまま、ただひと言静かにこう告げたのだった。
「亜衣希さん...に相応しい人になって帰ってきます。」
琉架は、それだけ言うとサッと搭乗口へと向かっていった...。
亜衣希は、そんな小さな背中をした琉架を、ただ無言で見つめることしか出来なかった。
「これで...これで良かった...うっ...うぅっ。」
琉架は、背後を気にしながら、これ以上亜衣希の顔を見ていたら、ドイツに行くことをやめてしまいそうだと感じ、名残惜しいとは思ったが、唇を噛み締めて亜衣希に心でお別れを告げていたのだった。
飛行機に乗った琉架の目からは、拭いきれないほどの涙が溢れてきていたのはいうまでもない...。
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