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第17号 「曇のち嵐。」
それからの日々...。
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亜衣希が悲惨な事故に遭ってしばらく、街はクリスマス一色に染まっていた。
そんな賑やかな街中を、独りで寂しく歩く琉架は、学校が終わり...今日はクロジカルの撮影も休みということで、亜衣希の待つ病院へと足を向けていた。
病室に着くと、そこには一足先に来ていた大樹が、椅子に腰をかけて静かに呼吸をする亜衣希を、じっと見つめる姿があった。
「...大樹さん。お疲れ様です。あの...亜衣希さんは...。」
「あっ...琉架くん...。学校お疲れ様。そうだね...。今日もやっぱり変化なしかな...??全く...そろそろ起きてもいい頃だと思うけれどね...。この間、こんなことがあったばかりなのに...全く、亜衣希は、運にも見放されているのかな...??」
こう言って、静かに笑う大樹に琉架は、少し寂しい顔をして、ぎこちない笑顔を返した。
そんな琉架に大樹は、『少し事務所の方に帰って仕事を片付けてくる。』と言って、病室を出ていった。
琉架は、きっと自分が来たことで、大樹さんに気を遣わせてしまったのだろう...と思い、申し訳なさを抱えてベットに横たわる亜衣希に近づくと、そっと声をかけた。
「...あの...亜衣希さん...。その...ごめんなさい...。今謝ってもって感じだけど...それでも俺...ずっと謝りたいことがあって...。あの時、亜衣希さんが俺を拒絶したのは、これ以上傷つけたくないからだって、大樹さんに聞いたんだ。それで、俺はこんなにも亜衣希さんに愛されていたのに、あの時...亜衣希さんの前から逃げてしまった...。ほんとにごめん...。亜衣希さんが居なくなってから、ずっと色々考えていたんだ。どうすれば...もう一度亜衣希さんに、写真を撮って貰えるようになるのか...。それを必死に考えていた時に、坂沢と亜衣希さんが喧嘩をするから、それを見に来い。って坂沢から連絡が来て...『喧嘩なんて!』と思って、あの廃工場に行ったんだ。そしたら...亜衣希さんをこんな姿にした知らせが来て...。この間の怪我、やっと治ったのに...。その矢先に...なんで...。亜衣希さん...俺を置いて死ぬなんて、そんな事しないよね...??まだ亜衣希さんに、撮ってもらいたいシュチュエーションの写真...全て撮ってもらえてないんだから...。ここで死ぬなんて、俺が許さないから...。...うっ...ほら、もうクリスマスだよ??ねぇ、ケーキ一緒に食べないの...??早くしないと、クリスマス終わっちゃうよ...。ねぇ、亜衣希さん...起きてよ...。俺...寂しいよ...。」
目の前に静かに眠る亜衣希の上に、顔を伏せた琉架は、泣き声を噛み殺しながら、亜衣希の名前を何度も愛おしそうに呼び続けていた。
それを病室に入ることが出来ず、じっと外で聞いていた、いつ現れたのか分からない坂沢は...
「...琉架は...やっぱり俺じゃなくて...あんたを選んだんだよ...。納得いかないけどな...亜衣希さん...。もう琉架を、俺のものにするのは諦める。でも諦めるために...ケジメをつける為にも...喧嘩をして欲しい...。だから、亜衣希さん...。目を覚ましてくれ。そうでないと、俺...そんな無責任なあんたに対して幻滅するから...。」
と言って、病室のドアの前で、一筋の涙を流しながら、こう静かに一人で呟いていた坂沢なのであった。
そんな賑やかな街中を、独りで寂しく歩く琉架は、学校が終わり...今日はクロジカルの撮影も休みということで、亜衣希の待つ病院へと足を向けていた。
病室に着くと、そこには一足先に来ていた大樹が、椅子に腰をかけて静かに呼吸をする亜衣希を、じっと見つめる姿があった。
「...大樹さん。お疲れ様です。あの...亜衣希さんは...。」
「あっ...琉架くん...。学校お疲れ様。そうだね...。今日もやっぱり変化なしかな...??全く...そろそろ起きてもいい頃だと思うけれどね...。この間、こんなことがあったばかりなのに...全く、亜衣希は、運にも見放されているのかな...??」
こう言って、静かに笑う大樹に琉架は、少し寂しい顔をして、ぎこちない笑顔を返した。
そんな琉架に大樹は、『少し事務所の方に帰って仕事を片付けてくる。』と言って、病室を出ていった。
琉架は、きっと自分が来たことで、大樹さんに気を遣わせてしまったのだろう...と思い、申し訳なさを抱えてベットに横たわる亜衣希に近づくと、そっと声をかけた。
「...あの...亜衣希さん...。その...ごめんなさい...。今謝ってもって感じだけど...それでも俺...ずっと謝りたいことがあって...。あの時、亜衣希さんが俺を拒絶したのは、これ以上傷つけたくないからだって、大樹さんに聞いたんだ。それで、俺はこんなにも亜衣希さんに愛されていたのに、あの時...亜衣希さんの前から逃げてしまった...。ほんとにごめん...。亜衣希さんが居なくなってから、ずっと色々考えていたんだ。どうすれば...もう一度亜衣希さんに、写真を撮って貰えるようになるのか...。それを必死に考えていた時に、坂沢と亜衣希さんが喧嘩をするから、それを見に来い。って坂沢から連絡が来て...『喧嘩なんて!』と思って、あの廃工場に行ったんだ。そしたら...亜衣希さんをこんな姿にした知らせが来て...。この間の怪我、やっと治ったのに...。その矢先に...なんで...。亜衣希さん...俺を置いて死ぬなんて、そんな事しないよね...??まだ亜衣希さんに、撮ってもらいたいシュチュエーションの写真...全て撮ってもらえてないんだから...。ここで死ぬなんて、俺が許さないから...。...うっ...ほら、もうクリスマスだよ??ねぇ、ケーキ一緒に食べないの...??早くしないと、クリスマス終わっちゃうよ...。ねぇ、亜衣希さん...起きてよ...。俺...寂しいよ...。」
目の前に静かに眠る亜衣希の上に、顔を伏せた琉架は、泣き声を噛み殺しながら、亜衣希の名前を何度も愛おしそうに呼び続けていた。
それを病室に入ることが出来ず、じっと外で聞いていた、いつ現れたのか分からない坂沢は...
「...琉架は...やっぱり俺じゃなくて...あんたを選んだんだよ...。納得いかないけどな...亜衣希さん...。もう琉架を、俺のものにするのは諦める。でも諦めるために...ケジメをつける為にも...喧嘩をして欲しい...。だから、亜衣希さん...。目を覚ましてくれ。そうでないと、俺...そんな無責任なあんたに対して幻滅するから...。」
と言って、病室のドアの前で、一筋の涙を流しながら、こう静かに一人で呟いていた坂沢なのであった。
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