上 下
113 / 147
第15号 「お別れしないか...??」

「殴り合いの喧嘩...しませんか?」

しおりを挟む
 琉架を家に置いて、足早に亜衣希のいる病院へとやって来ていた坂沢は、亜衣希の病室の場所を受付で聞き、真剣な表情で亜衣希の病室へと向かった。
 病室のドアを開くと、そこにはベッドに腰を落ち着けている、亜衣希の姿があった。
 坂沢は、亜衣希に会うことは初めてだが、今はそんな事を気にしている暇もなく...怒りをあらわにしていた。
 そんな坂沢の様子に、訝しげな顔をして亜衣希は、目の前の坂沢におもむろに尋ねた。
「あの...どちら様でしょうか...???もしや...病室を間違われているのでは...???」
こう言う亜衣希の言葉に、怒りを孕(はら)んだ言葉で、坂沢はこう返した。
「いいや...大正解もいいところですよ...。お初にお目にかかりますね...八神亜衣希さん。私は...琉架の旧友であり、今の心友でもある坂沢桃那(さかざわ とうな)と言います。早速ですが...殴り合いの喧嘩...しませんか...??(怒)」
 至って真面目な顔で話しかけてくる坂沢に亜衣希は、訳が分からないといった表情で、言葉を返した。
「えっ...いや...。うーん、殴り合いの喧嘩って...。君ほんとに何言っちゃってるの...??(笑)」
「笑うってことは...琉架のこと、要らないって捉えても、大丈夫ってことですよね??(怒)私は、貴方のような無責任な人間が、殺してやりたいほど憎い...。だから、単刀直入に言いますね...。俺と...琉架を賭けた殴り合いの喧嘩...しますよね???もし...しないのであれば、今後一切、琉架に手を出したりしないでくださいね...???さぁ、どうしますか??...まぁ、今すぐにとは言わないので...。心が決まったら1ヶ月後...メイドアリスから、さほど距離のない廃墟と化した工場跡地...あなたなら分かりますよね。あそこに18時...待ってますよ???」
 こう言うと、坂沢は亜衣希の胸ぐらをぐっと掴み、耳元で「...意気地無しの弱虫。」と声をかけると、乱暴に手を離し、病室を出ていった。
 独り残された亜衣希は、ぐっと唇を噛み締めると...
「...良いわけが無いだろ!上等だよ...桃那...。お前みたいな礼儀のなっていない子供には、少々荒手の躾が必要だ。俺の琉架だぞ...琉架を渡せない...渡してなるものか...!!!その喧嘩...俺が買ってやるよ。」
 と言って、坂沢が出ていった病室のドアを鋭く睨みつけていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【BL】ヒーローが裏切り者を地下に監禁して、ひたすら性的拷問を繰り返す話【ヒーロー高校生×悪の科学者大学生】

ハヤイもち
BL
”どうして裏切ったんだ!?” 地球侵略のために宇宙からやってきた悪の組織”チョコバイダー”。 それに対抗するために作られた人類の秘密組織アスカ―の一員である日向は高校生をしながら 日々宇宙人との戦いに明け暮れていた。 ある日怪人に襲われている大学生、信を助ける。 美しくミステリアスな彼に日向は急激に惹かれていく。 そして彼と仲良くなり、彼を仲間に引き入れるが、 何やら彼には秘密があるようで・・・・。 ※※※ これは表のあらすじで、主人公はミステリアスな大学生の信。 彼は実は悪の組織チョコバイダーの天才科学者だった。 裏切り者の彼に対し、日向は復讐と称して彼を監禁し、快楽地獄で屈服させようとする。 少しずつ信の内側が明らかになっていく。 高校生×大学生 ヒーロー×悪役 の片思いBL。そこはかとなくヤンデレ。

友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
僕の股間枕、キンタマクラ。なんか人をダメにする枕で気持ちいいらしい。

さがしもの

猫谷 一禾
BL
策士な風紀副委員長✕意地っ張り親衛隊員 (山岡 央歌)✕(森 里葉) 〖この気持ちに気づくまで〗のスピンオフ作品です 読んでいなくても大丈夫です。 家庭の事情でお金持ちに引き取られることになった少年時代。今までの環境と異なり困惑する日々…… そんな中で出会った彼…… 切なさを目指して書きたいです。 予定ではR18要素は少ないです。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

俺を助けてくれたのは、怖くて優しい変わり者

くるむ
BL
枇々木尚哉は母子家庭で育ったが、母親は男がいないと生きていけない体質で、常に誰かを連れ込んでいた。 そんな母親が借金まみれの男に溺れたせいで、尚哉はウリ専として働かされることになってしまっていたのだが……。 尚哉の家族背景は酷く、辛い日々を送っていました。ですが、昼夜問わずサングラスを外そうとしない妙な男、画家の灰咲龍(はいざきりゅう)と出会ったおかげで彼の生活は一変しちゃいます。 人に心配してもらえる幸せ、自分を思って叱ってもらえる幸せ、そして何より自分が誰かを好きだと思える幸せ。 そんな幸せがあるという事を、龍と出会って初めて尚哉は知ることになります。 ほのぼの、そしてじれったい。 そんな二人のお話です♪ ※R15指定に変更しました。指定される部分はほんの一部です。それに相応するページにはタイトルに表記します。話はちゃんとつながるようになっていますので、苦手な方、また15歳未満の方は回避してください。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

処理中です...