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第14号 「俺にしなよ...。」
「能天気馬鹿の魔法再び。」
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「それで...琉架......お前が大好きなミルクティーを、秒で飲み干さないなんて...一体どうしちまったんだ???(笑)」
家にたどり着き、坂沢の部屋に入った琉架は、入口のすぐ横にある壁に力なくもたれて座りこんだ。
坂沢は、自らのベットに腰を下ろすと、コンビニの袋を漁り、先程買ったばかりのまだ冷たいエナジードリンクを開け、ひと口煽った。
そうしておもむろに、琉架へと目線を移し、いつものおちゃらけた調子で質問した。
そんな坂沢の様子に琉架は、何を言うでもなく、ただ目から一筋の涙を零れさせた。
「...。(泣)」
「...っ!!(汗)(おいおいおいおい...なんで泣くんだよ...!!(汗)泣かせるつもりじゃなかったのに...!!)」
坂沢は、琉架の様子に自らの失言を思い、慌てて口を引き結んだ。
そうして沈黙のまま、小一時間が過ぎ去ろうとしていた時、琉架がゆっくりと口を開いた。
「その...ミルクティー...ありがとう...。」
静かな部屋にも、聞こえないほどの消え入りそうな声でこう言った琉架に坂沢は、ただうっすらと目を細めて
「...あぁ、いいよ!(笑)...というより、約1時間ぐらい無言だったこの状況で、第一声がそれかよ!!(笑)」
と言って、ケラケラ可笑しそうに笑い返すのだった。
そんな坂沢に琉架は、さらに言葉を続けた。
「...ねぇ、坂沢...。どうして...坂沢は、そんなに明るいんだ...??まるで...太陽のように...。どうして...俺と一緒にいてくれるんだ...??」
琉架は、とても弱々しい声でこう言うと、落としていた視線をゆっくりと上げて、坂沢を見据えた。
そんな琉架の様子に少し悩んでから、坂沢は照れくさそうにこう答えた。
「うーん、何でかな...??こう...琉架と一緒にいるとな...温かいんだ...。(照)なんでか分からないけど...。でもな...他の奴らとは違う何か...何かこう...不思議な温もりに包まれているようで...。って何言ってんだ俺...。(汗)..くそっ....なんか気恥しいな...やっぱり慣れないこと言うもんじゃねぇよな...。(照)俺が、明るく見えてるってのは...きっとお前の思い過ごしだよ...。(笑)俺だって、毎日毎日色んなこと考えて...ヘコんで...それでまた考えて...落ち込んで...まるで、グラフに浮かぶ軸のように、ユラユラと心が揺れている。...もちろん...今もそうだ...お前のことを慰めたっ...いや、なんでもない...今のは...忘れて!!(汗)」
「...温かいもの...に、包まれているような...。確かにそうだった...。俺も、亜衣希さんのそばに居ると、自然と心がホッコリして...。(笑)なぜだか分からないけれど...。それでも、気持ちが落ち着いて...。ひと言で言うと...心地が良いってこういう事なんだって分かるほどに...。『...うん。(汗)』...でも亜衣希さんが倒れる前から...その温かさが、いつしか冷めきって...とても冷たいものへと変わっていった...。(泣)最近...亜衣希さんの近くにいると毎回、心が凍るような冷たさに襲われて...っ!!(汗)...ごっ...ごめん、こんな訳分からない話して...。(汗)坂沢、退屈するよな...!!(汗)もっと面白い話に...!『ううん、俺にとっては十分に興味のある話だから、そのまま続けて???嫌じゃないなら...ね??』...うっ...うん。(汗)」
琉架が坂沢をじっと見つめたまま、視線を離さず...でも、決して坂沢とは目を合わせずに、つらつらと口から言葉を紡いでいた。
だが、しばらくして我を思い出したようにはっとした琉架は、慌てた様子で坂沢に自身の弱さを知られたくなくて...誤魔化す意味でも謝った。
坂沢はそんな琉架を特に気にした様子もなく、じっと真剣な...それでいて優しい表情で琉架を見つめていた。
そんな坂沢に、すっかり凍りついていた心が、ゆっくりと溶かされていく...そんな安心感を感じた琉架は、頷くと続きを話し出した。
「それで...亜衣希さんが、救急車で病院に運ばれたその日の朝についに...俺の心は、氷のように...完全に凍りついてしまって...。(泣)気づけば、亜衣希さんとすれ違ってて...。そこから...そこから...。うっ...ううっ...。(泣)『そっか...。...琉架は、よく頑張ったよ...。俺は...その場にいたわけじゃないし...それに、お前に会いに行ったあの日だって、俺はエスパーじゃないから、何があったのかなんて分からない...。(汗)でも...琉架は、きっと頑張っていたんだと思う...。少なくとも...俺はそう思うよ...。』...。」
こうしてベットから立ち上がると、坂沢は琉架の方へと歩いていき、部屋の壁に体重を預けて隣にそっと腰を落ち着かせた。そんな坂沢に琉架は溢れてくる涙を知られたくなくて...ぐっと唇を噛み締めていた。
だが、坂沢の次の言葉で、琉架のそれは自然と目の奥に引っ込むこととなる。
「琉架...琉架の事を、ずっと見てきた俺だから分かるよ...。こんなタイミングでこんな事言うのもどうかと思うけど...この際だから...言わせてもらう...。...琉架...いいや、姫崎るかちゃん...。(笑)『...っ!!なんでその名前...お前は、気づいてなかったんじゃ...。(汗)』...はははっ、そりゃ気づくよ...。だってお前...あれだけテレビや雑誌に出てて、ず~っと傍にいる俺が、気づかないわけないだろ???(笑)...言ってくれてもよかったのになぁ~!(笑)」
こう言って、驚いた顔を自分に向けてくる琉架の肩を、笑って軽く叩くと坂沢は、琉架に向かってさらに言葉を続けた。
「俺な...お前が俺に言ってくれるまで、黙っとこうと思ってたんだ...。でも、お前は今まで1回も俺に言ってくれたことは無かった...。うん...それは何となく、わかってたんだ...。(笑)性別を偽ってモデルをするってことは...きっと何か、人に言えないような事情を抱えているんだって...。だから、本当は知りたかったけど...それ以上は咎めなかった。(悔)」
隣でどこか寂しそうに笑う坂沢に琉架は、困った顔をしてすっかり乾いてしまった涙のことは忘れて、坂沢を見つめた。
「...坂沢は...坂沢は、いつから俺が姫崎るかだって分かってたんだ...?...一体いつから...俺の素性知りながら、黙って友達でいてくれたんだ...?(汗)」
「...いつからだと思う...??...そんなこと...俺も忘れちまったけど...。でも、お前が亜衣希っていう男に会っていた時には、既に知っていたかな...?(笑)」
「...そんなに早くに...。ごっ『謝んな!!何も悪いことしてないのに、謝る必要なんてないだろ???(笑)どうせなら、俺に最高に可愛い笑顔...見せてくれよ!...な!!(笑)』...うん...ごめっ...!いや、じゃなくて...。(汗)」
「...っ!!!(照)」
琉架は、再度坂沢に謝ろうとして、慌てて口をつぐみ、かわりに満面の笑みを坂沢へと向けた。
その笑顔をダイレクトに受け取った坂沢は、どこか照れたように頬を赤らめて、咄嗟に琉架から目線を外したのだった。
「...。(いやいやいやいや、姫崎さん!??(汗)...それ...全身の穴という穴から出血多量で死ぬやつやで...!!(汗)...ほんとにこの子は...俺のことどうしたいんだか...。(汗))」
家にたどり着き、坂沢の部屋に入った琉架は、入口のすぐ横にある壁に力なくもたれて座りこんだ。
坂沢は、自らのベットに腰を下ろすと、コンビニの袋を漁り、先程買ったばかりのまだ冷たいエナジードリンクを開け、ひと口煽った。
そうしておもむろに、琉架へと目線を移し、いつものおちゃらけた調子で質問した。
そんな坂沢の様子に琉架は、何を言うでもなく、ただ目から一筋の涙を零れさせた。
「...。(泣)」
「...っ!!(汗)(おいおいおいおい...なんで泣くんだよ...!!(汗)泣かせるつもりじゃなかったのに...!!)」
坂沢は、琉架の様子に自らの失言を思い、慌てて口を引き結んだ。
そうして沈黙のまま、小一時間が過ぎ去ろうとしていた時、琉架がゆっくりと口を開いた。
「その...ミルクティー...ありがとう...。」
静かな部屋にも、聞こえないほどの消え入りそうな声でこう言った琉架に坂沢は、ただうっすらと目を細めて
「...あぁ、いいよ!(笑)...というより、約1時間ぐらい無言だったこの状況で、第一声がそれかよ!!(笑)」
と言って、ケラケラ可笑しそうに笑い返すのだった。
そんな坂沢に琉架は、さらに言葉を続けた。
「...ねぇ、坂沢...。どうして...坂沢は、そんなに明るいんだ...??まるで...太陽のように...。どうして...俺と一緒にいてくれるんだ...??」
琉架は、とても弱々しい声でこう言うと、落としていた視線をゆっくりと上げて、坂沢を見据えた。
そんな琉架の様子に少し悩んでから、坂沢は照れくさそうにこう答えた。
「うーん、何でかな...??こう...琉架と一緒にいるとな...温かいんだ...。(照)なんでか分からないけど...。でもな...他の奴らとは違う何か...何かこう...不思議な温もりに包まれているようで...。って何言ってんだ俺...。(汗)..くそっ....なんか気恥しいな...やっぱり慣れないこと言うもんじゃねぇよな...。(照)俺が、明るく見えてるってのは...きっとお前の思い過ごしだよ...。(笑)俺だって、毎日毎日色んなこと考えて...ヘコんで...それでまた考えて...落ち込んで...まるで、グラフに浮かぶ軸のように、ユラユラと心が揺れている。...もちろん...今もそうだ...お前のことを慰めたっ...いや、なんでもない...今のは...忘れて!!(汗)」
「...温かいもの...に、包まれているような...。確かにそうだった...。俺も、亜衣希さんのそばに居ると、自然と心がホッコリして...。(笑)なぜだか分からないけれど...。それでも、気持ちが落ち着いて...。ひと言で言うと...心地が良いってこういう事なんだって分かるほどに...。『...うん。(汗)』...でも亜衣希さんが倒れる前から...その温かさが、いつしか冷めきって...とても冷たいものへと変わっていった...。(泣)最近...亜衣希さんの近くにいると毎回、心が凍るような冷たさに襲われて...っ!!(汗)...ごっ...ごめん、こんな訳分からない話して...。(汗)坂沢、退屈するよな...!!(汗)もっと面白い話に...!『ううん、俺にとっては十分に興味のある話だから、そのまま続けて???嫌じゃないなら...ね??』...うっ...うん。(汗)」
琉架が坂沢をじっと見つめたまま、視線を離さず...でも、決して坂沢とは目を合わせずに、つらつらと口から言葉を紡いでいた。
だが、しばらくして我を思い出したようにはっとした琉架は、慌てた様子で坂沢に自身の弱さを知られたくなくて...誤魔化す意味でも謝った。
坂沢はそんな琉架を特に気にした様子もなく、じっと真剣な...それでいて優しい表情で琉架を見つめていた。
そんな坂沢に、すっかり凍りついていた心が、ゆっくりと溶かされていく...そんな安心感を感じた琉架は、頷くと続きを話し出した。
「それで...亜衣希さんが、救急車で病院に運ばれたその日の朝についに...俺の心は、氷のように...完全に凍りついてしまって...。(泣)気づけば、亜衣希さんとすれ違ってて...。そこから...そこから...。うっ...ううっ...。(泣)『そっか...。...琉架は、よく頑張ったよ...。俺は...その場にいたわけじゃないし...それに、お前に会いに行ったあの日だって、俺はエスパーじゃないから、何があったのかなんて分からない...。(汗)でも...琉架は、きっと頑張っていたんだと思う...。少なくとも...俺はそう思うよ...。』...。」
こうしてベットから立ち上がると、坂沢は琉架の方へと歩いていき、部屋の壁に体重を預けて隣にそっと腰を落ち着かせた。そんな坂沢に琉架は溢れてくる涙を知られたくなくて...ぐっと唇を噛み締めていた。
だが、坂沢の次の言葉で、琉架のそれは自然と目の奥に引っ込むこととなる。
「琉架...琉架の事を、ずっと見てきた俺だから分かるよ...。こんなタイミングでこんな事言うのもどうかと思うけど...この際だから...言わせてもらう...。...琉架...いいや、姫崎るかちゃん...。(笑)『...っ!!なんでその名前...お前は、気づいてなかったんじゃ...。(汗)』...はははっ、そりゃ気づくよ...。だってお前...あれだけテレビや雑誌に出てて、ず~っと傍にいる俺が、気づかないわけないだろ???(笑)...言ってくれてもよかったのになぁ~!(笑)」
こう言って、驚いた顔を自分に向けてくる琉架の肩を、笑って軽く叩くと坂沢は、琉架に向かってさらに言葉を続けた。
「俺な...お前が俺に言ってくれるまで、黙っとこうと思ってたんだ...。でも、お前は今まで1回も俺に言ってくれたことは無かった...。うん...それは何となく、わかってたんだ...。(笑)性別を偽ってモデルをするってことは...きっと何か、人に言えないような事情を抱えているんだって...。だから、本当は知りたかったけど...それ以上は咎めなかった。(悔)」
隣でどこか寂しそうに笑う坂沢に琉架は、困った顔をしてすっかり乾いてしまった涙のことは忘れて、坂沢を見つめた。
「...坂沢は...坂沢は、いつから俺が姫崎るかだって分かってたんだ...?...一体いつから...俺の素性知りながら、黙って友達でいてくれたんだ...?(汗)」
「...いつからだと思う...??...そんなこと...俺も忘れちまったけど...。でも、お前が亜衣希っていう男に会っていた時には、既に知っていたかな...?(笑)」
「...そんなに早くに...。ごっ『謝んな!!何も悪いことしてないのに、謝る必要なんてないだろ???(笑)どうせなら、俺に最高に可愛い笑顔...見せてくれよ!...な!!(笑)』...うん...ごめっ...!いや、じゃなくて...。(汗)」
「...っ!!!(照)」
琉架は、再度坂沢に謝ろうとして、慌てて口をつぐみ、かわりに満面の笑みを坂沢へと向けた。
その笑顔をダイレクトに受け取った坂沢は、どこか照れたように頬を赤らめて、咄嗟に琉架から目線を外したのだった。
「...。(いやいやいやいや、姫崎さん!??(汗)...それ...全身の穴という穴から出血多量で死ぬやつやで...!!(汗)...ほんとにこの子は...俺のことどうしたいんだか...。(汗))」
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