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第14号 「俺にしなよ...。」
「能天気馬鹿の魔法。」
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「...その...さっきは、取り乱してすまなかった...。(汗)ところで、琉架くん...今日は...そのまま家に帰るのかい...??」
目を真っ赤にした大樹が、琉架へと質問をすると琉架は、閉じていた目をゆっくりと開き、大樹の方に目を向けた。
「...今日は...友達の家にでも泊めてもらいます...。(汗)まだ、兄貴はロケから帰ってきていないようですし...。しばらくは、あの家にも帰りたくないので...。(汗)」
「...そうか...。その友達の家まで送ろうか...??」
「いいえ、大丈夫です...。今は、ゆっくり歩いて色々考えたいので...。それでは...。」
こういうと琉架は、おもむろに椅子から立ち上がり、隣に座る大樹に頭を下げると、サッと病院の出口を目指して歩き出した。
その後ろ姿を、何も言えず、ただじっと見つめていた大樹なのであった。
病院を出て、すっかり暗くなった外の景色を、じっと見つめ、ゆったりと歩いている琉架の目には、外の黒だけが映っていた。
琉架が去ったあと大樹は、ひとりため息をつくと、ぐっと組んだ手を握り、小さくこう呟いた。
「...亜衣希...早く目を覚ませ...。お前は...このまま起きずに...琉架くんを悲しませる気か...??亜衣希には、琉架が必要だろう...??それと同じで、琉架くんにも亜衣希が必要なんだ...。早く目を覚まさないと...琉架くんは...。(汗)」
こう言っている大樹は、どこか焦った顔をしていた。
琉架は、しばらく歩いて気がつけば坂沢の家の前に来ていた。
「...俺...なんで...坂沢の家に...??...やっぱり...今日は、どこか他のところで...『だから、ちょっとコンビニにjTunesカード買いに行くだけだって!!くそっ...ゲームのガチャが出なさすぎてもう諭吉さん3匹は飛んだよ......って...えっ...琉架????なんでここに...というより、こんな時間にどうしたんだよ...???(汗)』......いや、なんでもない...たまたま通り掛かっただけだよ...。...じゃっ。(汗)」
琉架が、坂沢の家の前から去ろうと踵を返した時、それと同時に、坂沢の家のドアが勢いよく開き、中から本人が現れた。
琉架の姿を目にとめた瞬間、坂沢は血相を変え、琉架に話しかけた。
そんな坂沢の質問に、曖昧に応えると、さっさとその場を去ろうとした琉架は、いつの間にか近くに来ていた坂沢に肩を掴まれて、動きを制されてしまった。
仕方なく足をとめた琉架は、坂沢の方を振り返ることなく、じっと前を見つめていた。
そんな琉架に、ただ優しい声で坂沢は、こう話しかけた。
「琉架...久々に琉架の面白い話聞きたいな~...だからさ、俺の家...寄っていけよ...なぁ...??あっ...でも、俺これからコンビニにjTunesカード買いに行くところだったんだ...いやな??かれこれ諭吉さん3匹飛ばしたのに、俺の好きな『今から出勤...転がれ!!おにぎり係長!』の一推しキャラであるおにぎりOLが出ないんだよ......。(泣)まぁ...丁度いいし...琉架もついてこいよ!(笑)」
こういうと坂沢は、琉架の肩を二回ぽんぽんと乱暴に叩くと、琉架を置いてさっさと歩き出した。
琉架は、何も言わずに、ただ坂沢の後を追って、とぼとぼと後ろをついて行った。
何を話すでもなく、ただ暗く冷たい風が二人の間を流れていくだけで...気づけばコンビニについていた。
店には入らずに、外で坂沢を待っていた琉架は、店の透明なガラスから見える店内の雑誌をじっと眺めていた。
「『メイドアリス』の雑誌眺めて...どうした??もしかして...俺と一緒でお前もついに恋愛に目覚めたか!!!ってな...。(笑)」
「...。」
「冗談だよ!!(笑)真に受けんなって...!(汗)ゴメンな...待たせて...ほら、これ。やるよ!!付き合ってくれたお礼だ。(笑)『...あつっ...!!(驚)...んにすんだよ...。(怒)』」
いつの間にか、コンビニから出てきていた坂沢は、琉架の背後から顔を覗かせ、持ち前のいつもの明るさで琉架のことをからかっていた。
何も言わない琉架に坂沢は、琉架の身体を自分の方に向け、おもむろにコンビニの薄いビニール袋を漁ると、小さいペットボトルに入っている温かいミルクティーを琉架の頬に当てて、ニヤッと笑った。
琉架はビックリして反射的に言葉を発したが、それ以上は何も言わずに、ただ坂沢からペットボトルを受け取ると、少しムスッとした顔で、再び前を歩く坂沢の後ろを、店についた時と同じように、ただとぼとぼとついて行くのだった。
目を真っ赤にした大樹が、琉架へと質問をすると琉架は、閉じていた目をゆっくりと開き、大樹の方に目を向けた。
「...今日は...友達の家にでも泊めてもらいます...。(汗)まだ、兄貴はロケから帰ってきていないようですし...。しばらくは、あの家にも帰りたくないので...。(汗)」
「...そうか...。その友達の家まで送ろうか...??」
「いいえ、大丈夫です...。今は、ゆっくり歩いて色々考えたいので...。それでは...。」
こういうと琉架は、おもむろに椅子から立ち上がり、隣に座る大樹に頭を下げると、サッと病院の出口を目指して歩き出した。
その後ろ姿を、何も言えず、ただじっと見つめていた大樹なのであった。
病院を出て、すっかり暗くなった外の景色を、じっと見つめ、ゆったりと歩いている琉架の目には、外の黒だけが映っていた。
琉架が去ったあと大樹は、ひとりため息をつくと、ぐっと組んだ手を握り、小さくこう呟いた。
「...亜衣希...早く目を覚ませ...。お前は...このまま起きずに...琉架くんを悲しませる気か...??亜衣希には、琉架が必要だろう...??それと同じで、琉架くんにも亜衣希が必要なんだ...。早く目を覚まさないと...琉架くんは...。(汗)」
こう言っている大樹は、どこか焦った顔をしていた。
琉架は、しばらく歩いて気がつけば坂沢の家の前に来ていた。
「...俺...なんで...坂沢の家に...??...やっぱり...今日は、どこか他のところで...『だから、ちょっとコンビニにjTunesカード買いに行くだけだって!!くそっ...ゲームのガチャが出なさすぎてもう諭吉さん3匹は飛んだよ......って...えっ...琉架????なんでここに...というより、こんな時間にどうしたんだよ...???(汗)』......いや、なんでもない...たまたま通り掛かっただけだよ...。...じゃっ。(汗)」
琉架が、坂沢の家の前から去ろうと踵を返した時、それと同時に、坂沢の家のドアが勢いよく開き、中から本人が現れた。
琉架の姿を目にとめた瞬間、坂沢は血相を変え、琉架に話しかけた。
そんな坂沢の質問に、曖昧に応えると、さっさとその場を去ろうとした琉架は、いつの間にか近くに来ていた坂沢に肩を掴まれて、動きを制されてしまった。
仕方なく足をとめた琉架は、坂沢の方を振り返ることなく、じっと前を見つめていた。
そんな琉架に、ただ優しい声で坂沢は、こう話しかけた。
「琉架...久々に琉架の面白い話聞きたいな~...だからさ、俺の家...寄っていけよ...なぁ...??あっ...でも、俺これからコンビニにjTunesカード買いに行くところだったんだ...いやな??かれこれ諭吉さん3匹飛ばしたのに、俺の好きな『今から出勤...転がれ!!おにぎり係長!』の一推しキャラであるおにぎりOLが出ないんだよ......。(泣)まぁ...丁度いいし...琉架もついてこいよ!(笑)」
こういうと坂沢は、琉架の肩を二回ぽんぽんと乱暴に叩くと、琉架を置いてさっさと歩き出した。
琉架は、何も言わずに、ただ坂沢の後を追って、とぼとぼと後ろをついて行った。
何を話すでもなく、ただ暗く冷たい風が二人の間を流れていくだけで...気づけばコンビニについていた。
店には入らずに、外で坂沢を待っていた琉架は、店の透明なガラスから見える店内の雑誌をじっと眺めていた。
「『メイドアリス』の雑誌眺めて...どうした??もしかして...俺と一緒でお前もついに恋愛に目覚めたか!!!ってな...。(笑)」
「...。」
「冗談だよ!!(笑)真に受けんなって...!(汗)ゴメンな...待たせて...ほら、これ。やるよ!!付き合ってくれたお礼だ。(笑)『...あつっ...!!(驚)...んにすんだよ...。(怒)』」
いつの間にか、コンビニから出てきていた坂沢は、琉架の背後から顔を覗かせ、持ち前のいつもの明るさで琉架のことをからかっていた。
何も言わない琉架に坂沢は、琉架の身体を自分の方に向け、おもむろにコンビニの薄いビニール袋を漁ると、小さいペットボトルに入っている温かいミルクティーを琉架の頬に当てて、ニヤッと笑った。
琉架はビックリして反射的に言葉を発したが、それ以上は何も言わずに、ただ坂沢からペットボトルを受け取ると、少しムスッとした顔で、再び前を歩く坂沢の後ろを、店についた時と同じように、ただとぼとぼとついて行くのだった。
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