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第14号 「俺にしなよ...。」
「真実は突然に...。」
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そうして車に戻った琉架は、大樹に小さく声をかけた。
「あの...大樹さん...。大樹さんって...猫好きだったんですね...。」
「ん???それがなぁ...だいぶオープンにしているつもりなんだが...。やはり皆口を揃えてそういうんだよなぁ...。私は...もしかしなくても、動物が好きそうには見えないのか...???(汗)」
「はい、それはもう...っ...いいえ!!(汗)そういう訳では無いと思いますけど...。あっ、すみません...バレてますよね...その...はい、正直俺もビックリしました。だって...大樹さんは、いつもビシッとしてて、抜かりがないように見えていたから...。」
なんて会話をしていたら、今度はカフェに辿り着いていた。
「...???」
「すまなかった...。さっきのは、ただ私が行きたくて仕方なく...気づけば勝手に向かっていた...。(照)一度、猫に会いたいという衝動に駆られると、最後は猫に会わないと気が済まない性分で...。(照)ほんとに申し訳なかった...。(汗)カフェでは、遠慮しないで好きなものを頼んでくれていい。さっきのお詫びだ...。付き合ってくれてありがとう。」
「...いえいえ、そんな...。(汗)...頭上げてください...。分かりますよ...好きなものがあるときって、気がつけばそればかりを目で追ってることも...俺も...経験があるので...いや、じゃなかった!!(汗)...すみません、早く行きましょうか!!(照)」
琉架は、自分の思考が大樹にバレたくなくて...慌てた様子で、カフェの入り口へと向かっていった。
そんな琉架の様子に、琉架の考えていることが分かり、小さくクスッと笑うと、大樹は目の前を歩く琉架の後ろ姿を追いかけるのだった。
店に入り、席に着くと店員さんが注文を取りに来た。
二人は飲み物を適当に頼み、店員さんが去っていったあと、暫く沈黙に包まれていたが...そんな沈黙を撃ち破ったのは、他でもない大樹だった。
「なぁ、琉架くん...。琉架くんは、どうして亜衣希に、写真を撮ってもらうようになったんだ...??私は...まだそれを聞いたことがなくてね...。もし良かったら、この機会にでも教えて欲しいのだが...。」
「......亜衣希さんからは、何も聞いていないんですね...。分かりました、全てお話します。」
琉架は、真新しい水滴の付いた水のコップを手に取ると、それをひと口含み、話し始めた。
最後まで話を聞き終わった大樹は、目を丸くして琉架にこういった。
「...亜衣希がね...なるほど。琉架くん...それは、亜衣希の気まぐれなんかではないよ...。亜衣希は、昔から特定の誰かをそばに置いておく性分じゃなかった...。母さんが死んで、父さんが残ったあの頃...あの頃の我が家には、温もりという言葉は、似合わないほど冷め切っていた。...家族のね...会話がなかったんだ...。(汗)最初は、亜衣希のやつ...なんともなかったんだ...。学校でも友達と遊んで、それなりに充実していたみたいだった。だが、そんなある日、亜衣希は学校帰りに友達から突然縁を切られて家に帰ってきたんだ...。おそらく原因は、父親の会社がかなり不景気に立たされて行った...大幅なリストラによる、世間からの非難のせいだと思う...。(汗)その事件以来、学校の友達、クラスメイト...挙句の果てには、先生までもが...亜衣希を邪魔者扱いしたんだ...。(怒)そのせいで、あいつは居場所を失い...いつしか、自分の周りに人を置かなくなった...。また、裏切られ失望させられるのが、怖かったんだと思う...。(悔)だから、亜衣希が琉架くんに自分から声をかけたってことは、本来のあいつからは考えられないことだったんだ...。」
「...でも、それは亜衣希さんの中ではもう...『いいや、あの時の亜衣希は、魂が抜けた抜け殻のようだった。そんな状態で大人になるまで、毎日をただ...ぼーっと過ごしていたんだ...。でもそんなある日、いつものように父親が自社の雑誌を、家に沢山持って帰ってきた日があってね。父親は、相当疲労が溜まっていたようで、リビングの机に雑誌を置いたまま、寝室に向かっていってしまった。その雑誌をリビングに来た亜衣希は、いつもなら絶対に手を出しはしないのに...その日は何故か、何も言わずに雑誌を手に取り読み出したんだ...。数ページめくった後...亜衣希の顔に急に色が戻って、仕事から帰ってきた俺に対して、ニッコリとした笑みを向け一言「俺...写真撮るよ!!!俺...この子の写真が撮りたい!!!(笑)」...と言って、琉架くんのページを、私に見せてきた。』......それってつまり...『あぁ、あの頃から亜衣希を変えてくれていたのは...紛れもない琉架くんだったんだ。』...そんな...でも、その頃の亜衣希さんは、俺が男だってこと知らないはず...なのに、なんで...。(汗)」
そこでようやく各自が注文していたものが届き、一旦話が途切れた。
店員さんが注文した品を机に置き、さっと頭を下げて去っていったあと...運ばれてきたコーヒーを、一口飲んだ大樹がふぅっと息を吐くと動揺する琉架に目を向け、話を続けた。
「あの...大樹さん...。大樹さんって...猫好きだったんですね...。」
「ん???それがなぁ...だいぶオープンにしているつもりなんだが...。やはり皆口を揃えてそういうんだよなぁ...。私は...もしかしなくても、動物が好きそうには見えないのか...???(汗)」
「はい、それはもう...っ...いいえ!!(汗)そういう訳では無いと思いますけど...。あっ、すみません...バレてますよね...その...はい、正直俺もビックリしました。だって...大樹さんは、いつもビシッとしてて、抜かりがないように見えていたから...。」
なんて会話をしていたら、今度はカフェに辿り着いていた。
「...???」
「すまなかった...。さっきのは、ただ私が行きたくて仕方なく...気づけば勝手に向かっていた...。(照)一度、猫に会いたいという衝動に駆られると、最後は猫に会わないと気が済まない性分で...。(照)ほんとに申し訳なかった...。(汗)カフェでは、遠慮しないで好きなものを頼んでくれていい。さっきのお詫びだ...。付き合ってくれてありがとう。」
「...いえいえ、そんな...。(汗)...頭上げてください...。分かりますよ...好きなものがあるときって、気がつけばそればかりを目で追ってることも...俺も...経験があるので...いや、じゃなかった!!(汗)...すみません、早く行きましょうか!!(照)」
琉架は、自分の思考が大樹にバレたくなくて...慌てた様子で、カフェの入り口へと向かっていった。
そんな琉架の様子に、琉架の考えていることが分かり、小さくクスッと笑うと、大樹は目の前を歩く琉架の後ろ姿を追いかけるのだった。
店に入り、席に着くと店員さんが注文を取りに来た。
二人は飲み物を適当に頼み、店員さんが去っていったあと、暫く沈黙に包まれていたが...そんな沈黙を撃ち破ったのは、他でもない大樹だった。
「なぁ、琉架くん...。琉架くんは、どうして亜衣希に、写真を撮ってもらうようになったんだ...??私は...まだそれを聞いたことがなくてね...。もし良かったら、この機会にでも教えて欲しいのだが...。」
「......亜衣希さんからは、何も聞いていないんですね...。分かりました、全てお話します。」
琉架は、真新しい水滴の付いた水のコップを手に取ると、それをひと口含み、話し始めた。
最後まで話を聞き終わった大樹は、目を丸くして琉架にこういった。
「...亜衣希がね...なるほど。琉架くん...それは、亜衣希の気まぐれなんかではないよ...。亜衣希は、昔から特定の誰かをそばに置いておく性分じゃなかった...。母さんが死んで、父さんが残ったあの頃...あの頃の我が家には、温もりという言葉は、似合わないほど冷め切っていた。...家族のね...会話がなかったんだ...。(汗)最初は、亜衣希のやつ...なんともなかったんだ...。学校でも友達と遊んで、それなりに充実していたみたいだった。だが、そんなある日、亜衣希は学校帰りに友達から突然縁を切られて家に帰ってきたんだ...。おそらく原因は、父親の会社がかなり不景気に立たされて行った...大幅なリストラによる、世間からの非難のせいだと思う...。(汗)その事件以来、学校の友達、クラスメイト...挙句の果てには、先生までもが...亜衣希を邪魔者扱いしたんだ...。(怒)そのせいで、あいつは居場所を失い...いつしか、自分の周りに人を置かなくなった...。また、裏切られ失望させられるのが、怖かったんだと思う...。(悔)だから、亜衣希が琉架くんに自分から声をかけたってことは、本来のあいつからは考えられないことだったんだ...。」
「...でも、それは亜衣希さんの中ではもう...『いいや、あの時の亜衣希は、魂が抜けた抜け殻のようだった。そんな状態で大人になるまで、毎日をただ...ぼーっと過ごしていたんだ...。でもそんなある日、いつものように父親が自社の雑誌を、家に沢山持って帰ってきた日があってね。父親は、相当疲労が溜まっていたようで、リビングの机に雑誌を置いたまま、寝室に向かっていってしまった。その雑誌をリビングに来た亜衣希は、いつもなら絶対に手を出しはしないのに...その日は何故か、何も言わずに雑誌を手に取り読み出したんだ...。数ページめくった後...亜衣希の顔に急に色が戻って、仕事から帰ってきた俺に対して、ニッコリとした笑みを向け一言「俺...写真撮るよ!!!俺...この子の写真が撮りたい!!!(笑)」...と言って、琉架くんのページを、私に見せてきた。』......それってつまり...『あぁ、あの頃から亜衣希を変えてくれていたのは...紛れもない琉架くんだったんだ。』...そんな...でも、その頃の亜衣希さんは、俺が男だってこと知らないはず...なのに、なんで...。(汗)」
そこでようやく各自が注文していたものが届き、一旦話が途切れた。
店員さんが注文した品を机に置き、さっと頭を下げて去っていったあと...運ばれてきたコーヒーを、一口飲んだ大樹がふぅっと息を吐くと動揺する琉架に目を向け、話を続けた。
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