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第11号 「新たなモデル活動。」

姫崎るか。

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 あの一件から1週間が経ち、琉架は今現在...大好評ですっかりシリーズ化と化しているファンタジアとのコラボレーション企画...の撮影真っ最中。
 今回のコンセプトは、「私と五人のお兄ちゃん!♡」というこれまた危険な匂いがぷんぷんする企画であった。
 「はーい!!撮影終了でーす!!お疲れ様でした!!!」
「あっ、ありがとうございました!!(笑)」
 琉架は、カメラマンの終了の声と同時にカメラマンに笑顔でお辞儀をすると、さっとスタジオ横にある休憩スペースに足を踏み入れた。
 休憩スペースにいた竹下は、琉架の姿に苦笑すると琉架の原動力でもあるミルクティーを差し出した。
「...琉架??大丈夫???(汗)...今日の撮影は、私もやりすぎだと思ったわ...。(笑)でも、人気企画だから無くすわけにも行かないのよね...。(笑)(というのは建前で本当は、琉架の女装姿が可愛すぎて周りから企画を続けて下さいという趣旨の半ば脅しと思えるような視線を事務所にいる時に向けられているなんてこと言えないけど...。)」
「はははっ、俺...もう無理かもしれないです...。(汗)今日の撮影で嫌だったのは、兄貴に組み敷かれたことですかね...。正直言うと恐怖を感じました...。(汗)(兄のまるで獣のような目を想像しただけでも...。)...あっ...思い出しただけで、吐き気が...。すみません...ちょっとお手洗い行ってきます。(汗)」
「ちょっ!??琉架??大丈夫!???(汗)(あの子、きっと最近差し入れのミルクティー飲み過ぎなのね。仕事に支障をきたしたら大変だわ。何とかしないと...。)」
 大好きなミルクティーを受け取ろうと手を差し出そうとしていた手で自らの口元を押さえて、スタジオから出ていった琉架の姿に竹下は、焦った顔で琉架を見送ったのだった。
 琉架がスタジオを飛び出した直後、竹下はある人に背後から声をかけられた。
「あの???竹下さん...、少しお時間よろしいですか??」
「...えっ、あっ、貴方は...琉架のお兄さんの聖真さん??...えっと、はい。大丈夫ですが...。(汗)」
「すみません...。少しお伺いしたいことがありまして...。」
 こう言った聖真の目は、どこか落ち着かない様子だった。
 竹下は不審に思いながらも、この後は午後まで琉架の仕事の予定がないこともあり、聖真の質問に了承した。
 こうして二人が来たのは、クロジカルの一階にあるすっかりこの物語ではおなじみとなったカフェスペースである。
 席につき、各自飲み物を注文するとおもむろに聖真が話し出した。
「...あの、最近クロジカルを辞められた会社関係者の方は、どなたかいらっしゃいますか...??(汗)」
「...えっ!...どうして急にそんなこと...??」
「いや...その...この際なので、単刀直入に言います。...琉架が誰かに狙われています...。(汗)」
「えっ!??...あっ、大きな声を出してしまってごめんなさい...。いや、でもびっくりしてしまって...。その話詳しく聞かせていただいても...??」
「そのつもりで声をかけさせてもらったので......。(汗)」
 丁度、各自の飲み物が席に運ばれてきた事から、互いに飲み物に口をつけると聖真は目の前に座る竹下に早速話し出した。
「実は...ここ二週間ほど前から、事務所から家に帰るまでの道中にやたら視線を感じるのと、誰かにつけられている気がすると琉架が話していまして...。その時は、俺もあんまり気にしてなくて...でも、一週間ほど前に郵便受けを開けに、玄関を出たんです。そしたら郵便受けに...こんなものが...。それから毎日のように...これが入ってて...。(汗)」
 こう言うと、袋に入った大量の赤に染った封筒を自らの鞄から取り出し、目の前にいる竹下に見せた。
 「...えっ...これって...。(汗)」
「はい...恐らく、何者かの血液で染められた封筒ですね...。その時点で気味が悪かったのですが、それが決まって毎日...しかも夕方にポストの方に投函されていて、これは流石にただ事ではないと思い...手袋をつけ、意を決して封を開けました。...そしたら...中には、赤い文字で書かれた気味の悪い...ファンレターが入っていて...。(汗)更にこの相手はたちが悪く、琉架が男であることを知っています。しかも、手紙と一緒に何かの紙の切れ端のようなものも入っていて、よく見ると文字が書いてあるんです...。これが一体なんの意味を持つのか...。」
 「...なるほど...熱狂的なファンってわけね...。(汗)でも、それで何故クロジカルの人間だってわかるの??今聞いたところだと、琉架の行き過ぎたファンということだけしかわからない気がするけれど...。(汗)」
「手紙の中に...『私は、ずっと琉架のことを見ていた。琉架がクロジカルの事務所で撮影している時も、1年間見続けていたのに...琉架は、私の気持ちに一向に気づいてくれないから私はある策を考えついたの。...会社を辞めて、もっと琉架に近づけるように頑張るからね。今度は気づいてね??私の愛おしい琉架。』と書いてあったので、恐らくクロジカルにいた人かと...。(汗)」
「はぁ...確かに、私も事務所で書類片付けている時とか琉架の熱狂的な男性ファンに、琉架の日常生活ってどんなの??とか聞いてくる人が沢山いるのよね...。全く...いつも適当にあしらって、情報を漏らしたことなんて一回もないはずだけど...。うーん、そうね...。とりあえず、社長に聞いてみるわね。」
「...はい、お願いします。あっ!まずい...。(汗)すみません、俺が時間頂いていたのに...これ飲み物代です。これから、ファンタジアのロケ撮影のために、ちょっと関西の方まで行かないと行けなくて...もう、迎えの車が来てるはずなので...あっ、電話の着歴が...10件以上...。(汗)すみません、このままだと本当に虎雅に雷落とされそうなので、お先に失礼します。...それでは。(汗)」
 こう言うと慌ただしく竹下に頭を下げて、聖真はクロジカルから出ていった。
 聖真が去った後で、竹下はひとり聖真のおいていったほとんど手のつけられていないカップを眺めていたが、ふとその隣に置かれている飲み物代の額をみて思わず、笑いを吹き出したのだった。。
「...って、2000円も...。(笑)こんなにいらないでしょ...。(笑)仕方ないから、琉架にでも返しておこうかしら??はぁ...それにしても...まずいわね...。(汗)早く犯人を見つけないと...琉架が大変な事件に巻き込まれるわ...。(汗)」
 こう言うと竹下は、カップに入ったホットコーヒーを飲み終え、聖真が置いていった手紙の入った袋を引っ掴むと、お会計を済ませ社長室へと向かったのだった。
 その頃琉架はというと、まだトイレに引きこもっていた。
「うっ...兄貴に...組み敷かれた...。きっ気持ち悪っ...。(汗)」
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