45 / 147
第7号 「琉架の気持ち。」
過去の話。その3
しおりを挟む
竹下に全てを話したSINは、ニコッと諦めた笑顔をしていた。
「...今まで...ありがとうございました、竹下さん...。あと...それから、竹下さんにお願いがあります。この間、アイドルになったばかりの、ファンタジアの冬月聖真の弟...あの子を、クロジカルでスカウトしてあげてください。あの子には...才能があります...!それに...約束しましたし...。(笑)」
こういってSINは、肩にかけているカバンについている、くまのキーホルダーをじっと愛おしそうに見つめていた。
そんなSINに竹下は、まだ納得のいっていない表情を浮かべていたが、最後には竹下が折れて渋々、了承した。
「...分かったわ。あなたが言うんだもの。...きっと、その子をこの会社で...立派なモデルにしてみせるわ!(笑)...それが...あなたにできる唯一の、償いな気がするもの!(泣)」
「...では、私は...これで。」
こう竹下に告げると、SINはそのまま店を出ていった...。
その後ろ姿が見えなくなっても、じっとドアの方から目が離せず、ぐっと唇を噛み締めて涙をこらえる、竹下なのであった。
それから半年後...竹下は、ふらふらと街を歩いていた。SINとの約束のことを、ずっと考えながら...。
曲がり角を曲がり、ふと前を見ると、そう...ファンタジアのメンバーの一人である、冬月聖真の姿を目に捉えた。まさかと思い、聖真の横に目を移すと、やはり予想は的中し、その横にいる女の子...いいや、男の子だ。こう思った竹下は、考えるよりも先に歩き出していた。
琉架たちに近づくと、声をかけ...これが、琉架と竹下の出会いだった。
「はい...おーしまい!(笑)...ど~お??竹下さんの過去話~!(笑)」
「はははっ、もうちょっと、苦しんでくれてもよかったけど...でも、あんな完璧そうな人が、仕えてるモデルひとりも守れないとか~、はっきりいって失格じゃん??(笑)よく、あんな偉そうに出来るよねぇ~!(笑)」
「うん、やっぱりそうだよね~!(笑)...はぁ、じゃあ、約束通り帰りのご飯代おごりね!!(笑)...さて、そろそろ休憩終わりだし??戻ろっか!(笑)」
「あー、そうだったぁ~...。(汗)...まぁ、いいわ??面白い話も聞けたし、という事で...おさき~!(笑)」
それまで自販機の前で話していた女の人2人が、話を終えて琉架の方に歩いてきた。
その様子に気がついた琉架は、咄嗟に今来ました風を装って、自販機のある方に歩いていった。
運良く、立ち聞きしていたことはバレずに、そのまま素通りされ、琉架は、女の人が去っていった後に、深い安堵のため息をついた。琉架は、自販機にお金を入れながら、さっき聞いた話を思い返して、ぐっと拳を握っていた。
「竹下さんは...確かに、分かってくれないこともあるけど...でも、あの女の人達には...あの女の人達だけには、馬鹿にされたくない!!(怒)...くそっ!あっ、まずい...ここ、事務所の中だった...。(汗)...誰も見てなかったよな...ホッ。...下手な言動や行動は慎まないと...俺も、さっきの話のSINさんみたいに...。(汗)何だか、鳥肌立ってきた...。早くスタジオに戻ろ。(汗)」
琉架は、何か嫌な感じがしたが、気のせいだと自分に言い聞かせ、もうすぐ撮影ということもあり、急いでスタジオに戻るのだった。
「...今まで...ありがとうございました、竹下さん...。あと...それから、竹下さんにお願いがあります。この間、アイドルになったばかりの、ファンタジアの冬月聖真の弟...あの子を、クロジカルでスカウトしてあげてください。あの子には...才能があります...!それに...約束しましたし...。(笑)」
こういってSINは、肩にかけているカバンについている、くまのキーホルダーをじっと愛おしそうに見つめていた。
そんなSINに竹下は、まだ納得のいっていない表情を浮かべていたが、最後には竹下が折れて渋々、了承した。
「...分かったわ。あなたが言うんだもの。...きっと、その子をこの会社で...立派なモデルにしてみせるわ!(笑)...それが...あなたにできる唯一の、償いな気がするもの!(泣)」
「...では、私は...これで。」
こう竹下に告げると、SINはそのまま店を出ていった...。
その後ろ姿が見えなくなっても、じっとドアの方から目が離せず、ぐっと唇を噛み締めて涙をこらえる、竹下なのであった。
それから半年後...竹下は、ふらふらと街を歩いていた。SINとの約束のことを、ずっと考えながら...。
曲がり角を曲がり、ふと前を見ると、そう...ファンタジアのメンバーの一人である、冬月聖真の姿を目に捉えた。まさかと思い、聖真の横に目を移すと、やはり予想は的中し、その横にいる女の子...いいや、男の子だ。こう思った竹下は、考えるよりも先に歩き出していた。
琉架たちに近づくと、声をかけ...これが、琉架と竹下の出会いだった。
「はい...おーしまい!(笑)...ど~お??竹下さんの過去話~!(笑)」
「はははっ、もうちょっと、苦しんでくれてもよかったけど...でも、あんな完璧そうな人が、仕えてるモデルひとりも守れないとか~、はっきりいって失格じゃん??(笑)よく、あんな偉そうに出来るよねぇ~!(笑)」
「うん、やっぱりそうだよね~!(笑)...はぁ、じゃあ、約束通り帰りのご飯代おごりね!!(笑)...さて、そろそろ休憩終わりだし??戻ろっか!(笑)」
「あー、そうだったぁ~...。(汗)...まぁ、いいわ??面白い話も聞けたし、という事で...おさき~!(笑)」
それまで自販機の前で話していた女の人2人が、話を終えて琉架の方に歩いてきた。
その様子に気がついた琉架は、咄嗟に今来ました風を装って、自販機のある方に歩いていった。
運良く、立ち聞きしていたことはバレずに、そのまま素通りされ、琉架は、女の人が去っていった後に、深い安堵のため息をついた。琉架は、自販機にお金を入れながら、さっき聞いた話を思い返して、ぐっと拳を握っていた。
「竹下さんは...確かに、分かってくれないこともあるけど...でも、あの女の人達には...あの女の人達だけには、馬鹿にされたくない!!(怒)...くそっ!あっ、まずい...ここ、事務所の中だった...。(汗)...誰も見てなかったよな...ホッ。...下手な言動や行動は慎まないと...俺も、さっきの話のSINさんみたいに...。(汗)何だか、鳥肌立ってきた...。早くスタジオに戻ろ。(汗)」
琉架は、何か嫌な感じがしたが、気のせいだと自分に言い聞かせ、もうすぐ撮影ということもあり、急いでスタジオに戻るのだった。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
華麗に素敵な俺様最高!
モカ
BL
俺は天才だ。
これは驕りでも、自惚れでもなく、紛れも無い事実だ。決してナルシストなどではない!
そんな俺に、成し遂げられないことなど、ないと思っていた。
……けれど、
「好きだよ、史彦」
何で、よりよってあんたがそんなこと言うんだ…!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる