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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」
「父親<俺。」
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「...そんな......山...座頭さん......俺の事を慰めたから...親父に殺されたの???...山座頭さんは......それを知ってて俺を慰めたの???...ねぇ、山座頭さんなんで!!!...自分が死ぬことになるのに...なんで俺と一緒にいたんだよ!!!!...ねぇ、山座頭さん起きてよ!!!...死ぬなんて俺が許さない!!!山座頭さん...ねぇ、山座頭さん!!!!」
俺の呼びかけに、近くに立っていた憎い......憎くて仕方がない...オヤジが...冷めた声でこう言ってきた。
「お前が悪いんだろう。......俺の息子なら、人が死ぬことぐらいでグチグチ言うな。泣くな...目障りだ。それとお前、俺の事を...山座頭に愚痴るなんて、俺の顔に泥を塗りたいのか???......これは、お前が全て招いた結果だ。後悔するなら、同じ過ちを二度と繰り返さないように、せいぜい努力しろ。...以上だ。...お前もさっさと部屋に戻れ。」
こう言って、大きな部屋から出ていこうとしたオヤジに俺は、初めて楯を突いたんだ。
「...待てよ。山座頭さんに......俺が相談してたんなら...俺を殺せよ!!!!俺を殺すのが筋だろ!!...なんで、なんの罪もない山座頭さんを殺したんだよ!!!!!...おい、聞いてんのかよ!クソ親父がよ!!!!...俺が招いた結果だぁ????...てめぇが殺さなけりゃ、済んだことだろうがよ!!!クソ親父...人殺し!!!お前がマフィアだったから、俺は夢を追いかけることが素直にできないんだろ!!!...お前がマフィアだったから、俺が普通の家族みたく生活できないんだろ!!!!お前が...お前が!!!!!!『ふみ坊っちゃん!!!...いい加減に!!!バチンッ。』...っ!!!」
俺はオヤジの部下に頬を平手打ちされ、親父に吐いていた暴言をとめた。
俺が赤くなった頬を抑えながら、殴ってきた張本人である男をじっと睨みつけると......そいつも悲しそうな表情をしていた。
今にも、泣きそうな顔でぐっと歯を食いしばり、俺にしかわからない程度に首を左右に振ると、何も言わない俺をじっと見つめてきた。
そしてそのまま、俺の事を振り返ることも無く、サッと部屋を出ていったオヤジのあとを、静かな足取りで追いかけて行ったのだった。
部下の顔を見て思ったが......きっとその時、あの場にいた親父以外のみんなが、山座頭さんの死を...泣きたいほどに、思っていたんだろう。
さっき俺の頬を殴った男も...親父に文句のひとつぐらい言ってやりたいって...あの状況をおかしいと思っていたに違いない。
でも、マフィアのボスの部下だから......泣きたくても...苦しくても......どれだけ、あの状況をおかしいと思っていたとしても...あれが普通だと思わなければならない...。
その時、俺は思ったよ。
オヤジみたいなマフィアのボスを、俺の時代で変えようって...。
ボスも部下も関係なく...微笑みあえる...助け合えるような...そんな組織を作ろうって。
それが.........温かな人の優しさを教えてくれた山座頭さんに出来る......唯一の恩返しだと思うから。
俺は、あの日から必死に勉強もギターもマフィアの事だって。
どんなに辛くても...どんなに泣きたくても......山座頭さんの死を思えば...頑張れた。
なにも独りで頑張っていた......訳じゃない。
雅のおかげ...雅こそが俺に力をくれていたんだ。
山座頭さんが亡くなってから、一週間が経ったある日、俺は山座頭さんが褒めてくれたギターの練習を、いつもの公園で頑張っていた。
そんな俺の元にやってきたのが、滑り台の上から俺のことをじっと観察していた雅だった。
最近毎日だ。
雅は、滑り台から降りてくると決まって俺の横に腰をかけ、俺がギターを弾くのをじっと見つめるのだった。
俺は......いつも通りに暫く無言でギターを弾いていた。
普段なら、俺の演奏に飽き飽きして勝手にどこかにいなくなるのだが。
その日は、いくら時間が経っても雅は、一向に帰ろうとしなかった。
だから俺は、そんな雅に痺れを切らして気付いた時には、こう声をかけていた。
「ねぇ、君...いつまで俺の下手なギター聴いているわけ???」
そんな俺の声に雅は、首を傾げながらニコニコ微笑んでいた。
「うーんとね、今日のお兄ちゃんのギター...なんでか、とても悲しい音色がするの。お兄ちゃんのギター......誰かに強く訴えかけているように聴こえるの。...ねぇ、お兄ちゃん...何かあったの???」
「...っ。」
くそっ...なんでこんな小さい子に俺の心情がバレているんだ。
確かに俺は、ギターを弾くことで父親に対する怒り...山座頭さんを失った心の穴......いろんな感情を整理しようとしていた。
だが...それを、俺よりも5歳は年下の男の子に見透かされるなんて...思ってもみなかった。
正直...無性に腹が立った。
だから俺は、まだ純粋無垢だった雅に...心にも無いことを言ってしまったんだ。
「へぇ...俺の心の声...聞いてくれるの??嬉しいなぁ。...じゃあさ、俺といい事しよっか。」
「...???」
この時の俺は...いつも夢で見る奴らみたいに、殺してやりたいほどのクソ人間となんら変わらないと思った。
何も知らない雅に......こんなこと頼むなんて...ほんと情けねぇの。
雅は、俺の顔を見ると首をかしげながら...小さくこくりと頷きこう返してきた。
「お兄ちゃん悲しいの???...いいよ。...ボクがお兄ちゃんを慰めてあげる!!...お兄ちゃん...泣きそうな顔してるもん!!...ねぇ、お兄ちゃん...名前は???」
「俺の名前...??名前はね......俺の事を慰めてくれたら、教えてあげるよ。(笑)」
「えー、いま教えてくれないの???むぅ...分かった。ボク...お兄ちゃんのギター下手だけど、大好きだから......だから、お兄ちゃんのこと沢山知りたい!!...ボク、お兄ちゃんのこと一生懸命慰めるよ!!」
何も知らない雅のこの言葉に俺は、不敵な笑みを浮かべ...雅を公園のトイレ近くにあった物置小屋に連れていったのだった。
俺の呼びかけに、近くに立っていた憎い......憎くて仕方がない...オヤジが...冷めた声でこう言ってきた。
「お前が悪いんだろう。......俺の息子なら、人が死ぬことぐらいでグチグチ言うな。泣くな...目障りだ。それとお前、俺の事を...山座頭に愚痴るなんて、俺の顔に泥を塗りたいのか???......これは、お前が全て招いた結果だ。後悔するなら、同じ過ちを二度と繰り返さないように、せいぜい努力しろ。...以上だ。...お前もさっさと部屋に戻れ。」
こう言って、大きな部屋から出ていこうとしたオヤジに俺は、初めて楯を突いたんだ。
「...待てよ。山座頭さんに......俺が相談してたんなら...俺を殺せよ!!!!俺を殺すのが筋だろ!!...なんで、なんの罪もない山座頭さんを殺したんだよ!!!!!...おい、聞いてんのかよ!クソ親父がよ!!!!...俺が招いた結果だぁ????...てめぇが殺さなけりゃ、済んだことだろうがよ!!!クソ親父...人殺し!!!お前がマフィアだったから、俺は夢を追いかけることが素直にできないんだろ!!!...お前がマフィアだったから、俺が普通の家族みたく生活できないんだろ!!!!お前が...お前が!!!!!!『ふみ坊っちゃん!!!...いい加減に!!!バチンッ。』...っ!!!」
俺はオヤジの部下に頬を平手打ちされ、親父に吐いていた暴言をとめた。
俺が赤くなった頬を抑えながら、殴ってきた張本人である男をじっと睨みつけると......そいつも悲しそうな表情をしていた。
今にも、泣きそうな顔でぐっと歯を食いしばり、俺にしかわからない程度に首を左右に振ると、何も言わない俺をじっと見つめてきた。
そしてそのまま、俺の事を振り返ることも無く、サッと部屋を出ていったオヤジのあとを、静かな足取りで追いかけて行ったのだった。
部下の顔を見て思ったが......きっとその時、あの場にいた親父以外のみんなが、山座頭さんの死を...泣きたいほどに、思っていたんだろう。
さっき俺の頬を殴った男も...親父に文句のひとつぐらい言ってやりたいって...あの状況をおかしいと思っていたに違いない。
でも、マフィアのボスの部下だから......泣きたくても...苦しくても......どれだけ、あの状況をおかしいと思っていたとしても...あれが普通だと思わなければならない...。
その時、俺は思ったよ。
オヤジみたいなマフィアのボスを、俺の時代で変えようって...。
ボスも部下も関係なく...微笑みあえる...助け合えるような...そんな組織を作ろうって。
それが.........温かな人の優しさを教えてくれた山座頭さんに出来る......唯一の恩返しだと思うから。
俺は、あの日から必死に勉強もギターもマフィアの事だって。
どんなに辛くても...どんなに泣きたくても......山座頭さんの死を思えば...頑張れた。
なにも独りで頑張っていた......訳じゃない。
雅のおかげ...雅こそが俺に力をくれていたんだ。
山座頭さんが亡くなってから、一週間が経ったある日、俺は山座頭さんが褒めてくれたギターの練習を、いつもの公園で頑張っていた。
そんな俺の元にやってきたのが、滑り台の上から俺のことをじっと観察していた雅だった。
最近毎日だ。
雅は、滑り台から降りてくると決まって俺の横に腰をかけ、俺がギターを弾くのをじっと見つめるのだった。
俺は......いつも通りに暫く無言でギターを弾いていた。
普段なら、俺の演奏に飽き飽きして勝手にどこかにいなくなるのだが。
その日は、いくら時間が経っても雅は、一向に帰ろうとしなかった。
だから俺は、そんな雅に痺れを切らして気付いた時には、こう声をかけていた。
「ねぇ、君...いつまで俺の下手なギター聴いているわけ???」
そんな俺の声に雅は、首を傾げながらニコニコ微笑んでいた。
「うーんとね、今日のお兄ちゃんのギター...なんでか、とても悲しい音色がするの。お兄ちゃんのギター......誰かに強く訴えかけているように聴こえるの。...ねぇ、お兄ちゃん...何かあったの???」
「...っ。」
くそっ...なんでこんな小さい子に俺の心情がバレているんだ。
確かに俺は、ギターを弾くことで父親に対する怒り...山座頭さんを失った心の穴......いろんな感情を整理しようとしていた。
だが...それを、俺よりも5歳は年下の男の子に見透かされるなんて...思ってもみなかった。
正直...無性に腹が立った。
だから俺は、まだ純粋無垢だった雅に...心にも無いことを言ってしまったんだ。
「へぇ...俺の心の声...聞いてくれるの??嬉しいなぁ。...じゃあさ、俺といい事しよっか。」
「...???」
この時の俺は...いつも夢で見る奴らみたいに、殺してやりたいほどのクソ人間となんら変わらないと思った。
何も知らない雅に......こんなこと頼むなんて...ほんと情けねぇの。
雅は、俺の顔を見ると首をかしげながら...小さくこくりと頷きこう返してきた。
「お兄ちゃん悲しいの???...いいよ。...ボクがお兄ちゃんを慰めてあげる!!...お兄ちゃん...泣きそうな顔してるもん!!...ねぇ、お兄ちゃん...名前は???」
「俺の名前...??名前はね......俺の事を慰めてくれたら、教えてあげるよ。(笑)」
「えー、いま教えてくれないの???むぅ...分かった。ボク...お兄ちゃんのギター下手だけど、大好きだから......だから、お兄ちゃんのこと沢山知りたい!!...ボク、お兄ちゃんのこと一生懸命慰めるよ!!」
何も知らない雅のこの言葉に俺は、不敵な笑みを浮かべ...雅を公園のトイレ近くにあった物置小屋に連れていったのだった。
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