18 / 102
「俺たちの活動開始んげき。」
「勘違いは突然に...。」
しおりを挟む
俺が桜宮さん達のバンドに入ってから、一週間が経ったある日、いつものように曲の練習をしていた俺たちは、休憩がてら雑談をしていた。
「俺さ、思ったんだけど...大学での青春って一体何なんだろうな???」
「ん??それは勿論、大人な恋愛でしょ!!!」
「全く、奏也は...。そんなにお菓子ばっかり食べていたら、女の子にモテないぞ??」
「チッチッチッ!虎雅さんは、頭が古いな~。い~い??最近の女の子はギャップ萌えだよ??虎雅さんみたいに、いつまでも昭和脳なのは、婚期逃すことになるかもよ???」
「はぁ!?お前な...!!!これでも、俺の方が先輩なんだからな???もう少し、遠慮というものはないのか!?」
「残念ながら、この可愛い容姿の小宮山 奏也(こみやま かなや)の小さな脳みその中には、夢と希望とお菓子しか入っていないので、遠慮は生憎持ち合わせていないですね~。ハッハッハー!!」
「お前なぁ。はぁ、分かったよ。じゃあ、奏也のお菓子に手を出してもいいんだよな??だって、遠慮は持ち合わせていないんだろ??なら、別に俺たちがお前のお菓子を食べていても、問題ないっていうことだよな??『はぁ!?なんでそうなるわけ!??駄目に決まってるでしょ!!!』あっ、なーんだ。怒る脳は持ち合わせているんだな。『っ!!!くそっ...虎雅さんって、凄~く意地悪ですよね???』は?...お互い様だろ??」
こう言って、話をしている俺の目の前の桜宮さんと小宮山くんは、大学生活の中で青春とは何かという話題で、盛り上がっていた。
そんな二人の様子を微笑ましく見ていた俺は、ふと隣に座る鶴来 七緒(つるぎ なお)くんに目をやると、鶴来くんは二人の話を聞きながら、盛大にため息をついていた。
俺は、普段笑顔の鶴来くんらしくないと思い、咄嗟にこう声を掛けた。
「鶴来くん?どうかしたの??なんだか浮かない顔してるけど??」
そんな俺の言葉に、顔を上げた鶴来くんに俺と鶴来くんの背後から間に入ってきた冬月さんは、にやっといたずらそうな笑みを俺たちに向けると、大声でこう言ったのだ。
「おおお!???まさか、七緒...恋の悩みか???『えっ!???ちょっ!!!声でかすぎるよ翔真さん!!!』...否定しない!ということは、図星だーーーーー!!!!」
冬月さんの言葉に、それまで話をしていた桜宮さんと小宮山くんは、会話をやめて俺たちの方に注目した。
「...えっ。七緒が...まさか、七緒に春が来たのか!???」
「まずい、こうしちゃいられないぞ!!!おい、皆聞いたか!!ホーメーションBでいくぞ!!!『了解しました!』」
「はっ...いや、その...別に俺は...『大丈夫だ七緒!!!お前ならいけるぞ!!!さぁ、皆で七緒の恋が実るように今から作戦会議だ!!!』...まだ、告白するとか考えてないし...って、ねぇ!!!!待って!!!なんで俺担がれてるの????ちょっと!???」
桜宮さんの合図で、皆が一斉に鶴来くんをとり囲んだかと思ったら、次の瞬間、鶴来くんの事を担ぎ上げて、練習もそっちのけで部屋の外へと出て行ったのだった。
俺は、何処に行くのだろうと思いながら、好奇心に任せ、そろそろーっと彼らについて行った。
彼らが足を止めたのは、なんと水泳部のプール前で......まさかとは思ったが、担ぎ上げられていた鶴来くんは、目の前のプールに勢いよく落とされたのだった。
あとで、聞いたんだけど...鶴来くんが皆に取り囲まれたときに焦った顔をしていたのは、バンドの中で桜宮さんと小宮山くんが決めたルールの中に、バンドメンバーが恋愛に悩んでいるときは、水の中に投げ入れることによって身を極める効果がある。
等という...半ば妬みのようなルールが存在したからだそうだ。
しかも、今の時期を考えるとまだ少し肌寒いこともあり、水から顔を上げた鶴来くんは、俺たちを流し目で睨みつけると大声でこう怒鳴った。
「っ!!!!馬鹿か!!!!!今の時期...時期を考えろよ!!!!俺、これから濡れた服で、家まで歩いて帰らないといけないんだぞ!!!!...第一、俺は恋をしたんじゃなくて、告白されたんだよ!!!だから、水に放り込まれることもなかったんだ!!この早とちり目が!!!!『まずい、七緒が怒った!!!!みんな逃げろ!!!!(汗)殺されるぞ!!!!!』っ...あっ!おいこら待て!!!!(怒)」
俺たちが逃げたのもそのはず、目の前にいた鶴来くんの顔が豹変し、水の中からザバーっと上がると、背後に黒いオーラを纏いながら、俺たちの方にアルカイックスマイルで近づいてきたのだ。
俺はとっさのことで動けなかったが、そんな俺に気がついたのか冬月さんが俺の背中を押しながら大きな声で『逃げないと、半殺しにされるぞ!!!』と言ってきたことにより、俺もみんなの後を追って逃げたのだった。
あとで聞いたんだが、鶴来くんは、怒ると目が全く笑わないらしく...あのまま俺たちがつかまっていたら、確実に病院送りになっていたらしい...。
実際、鶴来くんは大学に入る前...いじめられていたそうだが、その怒りを家に帰ってサンドバックを殴り沈めたいたら、いつの間にか凄い力がついていて、卒業前にいじめていた奴らをものの20秒たらずで戦闘不能にしたそうだ...。
って、小宮山くんから聞いたんだけど...。
だから、鶴来くんを怒らせることは絶対にしてはいけないことだったらしい。
そこまで聞いて俺は思った。
だったら...初めから誰でも怒るような事...プールに落とすなんて事しちゃいけないだろって...。
練習をきりやめて、鶴来くんから逃げるように家に帰った翌日...俺がサークル棟にいくと...メンバーがボコボコ二された状態で山積みにされていたのはいうまでもなく...。
部屋を訪れた俺を目に留めた瞬間...鶴来くんが微笑みを浮かべて『お疲れ様です、先輩。...昨日も大分お疲れのようでしたので...俺が日頃の感謝を込めてマッサージしますよ。さぁ、どうぞこちらに。』とこう言って近づいてきたんだ。
俺は、ゆっくりと鶴来くんと距離をとりながらこう言った。
「鶴来くん...落ち着こう???ほら、話せばわかり合えるよ...!!!『...???何、怖がってるんですか???マッサージ...するだけですよ???あくまで、ご奉仕の一環......ですよ?』」
俺は、身の危険を感じ、咄嗟に逃げようと、背後にあった部屋の扉に手を掛けたのだが、肩に凄い衝撃を感じて意識を失うはめにはなった。
目が覚めたとき...鶴来くんが笑っていたのが、何よりも一番の恐怖だった...。
もう二度と彼を怒らせてはならないと、直感でそう思ったのだった。
※アルカイックスマイルとは
古代ギリシアの時代の彫刻に見られる、口元だけ微笑しているのが特徴的な表情のことである。この表情は、生命感と幸福感を表現していると言われている。現在でもまだ生き残っている言葉である。
~参考文献~
アルカイク・スマイル-Wikipedia(https://www.wikipedia.org/)(2020年2月11日閲覧).
「俺さ、思ったんだけど...大学での青春って一体何なんだろうな???」
「ん??それは勿論、大人な恋愛でしょ!!!」
「全く、奏也は...。そんなにお菓子ばっかり食べていたら、女の子にモテないぞ??」
「チッチッチッ!虎雅さんは、頭が古いな~。い~い??最近の女の子はギャップ萌えだよ??虎雅さんみたいに、いつまでも昭和脳なのは、婚期逃すことになるかもよ???」
「はぁ!?お前な...!!!これでも、俺の方が先輩なんだからな???もう少し、遠慮というものはないのか!?」
「残念ながら、この可愛い容姿の小宮山 奏也(こみやま かなや)の小さな脳みその中には、夢と希望とお菓子しか入っていないので、遠慮は生憎持ち合わせていないですね~。ハッハッハー!!」
「お前なぁ。はぁ、分かったよ。じゃあ、奏也のお菓子に手を出してもいいんだよな??だって、遠慮は持ち合わせていないんだろ??なら、別に俺たちがお前のお菓子を食べていても、問題ないっていうことだよな??『はぁ!?なんでそうなるわけ!??駄目に決まってるでしょ!!!』あっ、なーんだ。怒る脳は持ち合わせているんだな。『っ!!!くそっ...虎雅さんって、凄~く意地悪ですよね???』は?...お互い様だろ??」
こう言って、話をしている俺の目の前の桜宮さんと小宮山くんは、大学生活の中で青春とは何かという話題で、盛り上がっていた。
そんな二人の様子を微笑ましく見ていた俺は、ふと隣に座る鶴来 七緒(つるぎ なお)くんに目をやると、鶴来くんは二人の話を聞きながら、盛大にため息をついていた。
俺は、普段笑顔の鶴来くんらしくないと思い、咄嗟にこう声を掛けた。
「鶴来くん?どうかしたの??なんだか浮かない顔してるけど??」
そんな俺の言葉に、顔を上げた鶴来くんに俺と鶴来くんの背後から間に入ってきた冬月さんは、にやっといたずらそうな笑みを俺たちに向けると、大声でこう言ったのだ。
「おおお!???まさか、七緒...恋の悩みか???『えっ!???ちょっ!!!声でかすぎるよ翔真さん!!!』...否定しない!ということは、図星だーーーーー!!!!」
冬月さんの言葉に、それまで話をしていた桜宮さんと小宮山くんは、会話をやめて俺たちの方に注目した。
「...えっ。七緒が...まさか、七緒に春が来たのか!???」
「まずい、こうしちゃいられないぞ!!!おい、皆聞いたか!!ホーメーションBでいくぞ!!!『了解しました!』」
「はっ...いや、その...別に俺は...『大丈夫だ七緒!!!お前ならいけるぞ!!!さぁ、皆で七緒の恋が実るように今から作戦会議だ!!!』...まだ、告白するとか考えてないし...って、ねぇ!!!!待って!!!なんで俺担がれてるの????ちょっと!???」
桜宮さんの合図で、皆が一斉に鶴来くんをとり囲んだかと思ったら、次の瞬間、鶴来くんの事を担ぎ上げて、練習もそっちのけで部屋の外へと出て行ったのだった。
俺は、何処に行くのだろうと思いながら、好奇心に任せ、そろそろーっと彼らについて行った。
彼らが足を止めたのは、なんと水泳部のプール前で......まさかとは思ったが、担ぎ上げられていた鶴来くんは、目の前のプールに勢いよく落とされたのだった。
あとで、聞いたんだけど...鶴来くんが皆に取り囲まれたときに焦った顔をしていたのは、バンドの中で桜宮さんと小宮山くんが決めたルールの中に、バンドメンバーが恋愛に悩んでいるときは、水の中に投げ入れることによって身を極める効果がある。
等という...半ば妬みのようなルールが存在したからだそうだ。
しかも、今の時期を考えるとまだ少し肌寒いこともあり、水から顔を上げた鶴来くんは、俺たちを流し目で睨みつけると大声でこう怒鳴った。
「っ!!!!馬鹿か!!!!!今の時期...時期を考えろよ!!!!俺、これから濡れた服で、家まで歩いて帰らないといけないんだぞ!!!!...第一、俺は恋をしたんじゃなくて、告白されたんだよ!!!だから、水に放り込まれることもなかったんだ!!この早とちり目が!!!!『まずい、七緒が怒った!!!!みんな逃げろ!!!!(汗)殺されるぞ!!!!!』っ...あっ!おいこら待て!!!!(怒)」
俺たちが逃げたのもそのはず、目の前にいた鶴来くんの顔が豹変し、水の中からザバーっと上がると、背後に黒いオーラを纏いながら、俺たちの方にアルカイックスマイルで近づいてきたのだ。
俺はとっさのことで動けなかったが、そんな俺に気がついたのか冬月さんが俺の背中を押しながら大きな声で『逃げないと、半殺しにされるぞ!!!』と言ってきたことにより、俺もみんなの後を追って逃げたのだった。
あとで聞いたんだが、鶴来くんは、怒ると目が全く笑わないらしく...あのまま俺たちがつかまっていたら、確実に病院送りになっていたらしい...。
実際、鶴来くんは大学に入る前...いじめられていたそうだが、その怒りを家に帰ってサンドバックを殴り沈めたいたら、いつの間にか凄い力がついていて、卒業前にいじめていた奴らをものの20秒たらずで戦闘不能にしたそうだ...。
って、小宮山くんから聞いたんだけど...。
だから、鶴来くんを怒らせることは絶対にしてはいけないことだったらしい。
そこまで聞いて俺は思った。
だったら...初めから誰でも怒るような事...プールに落とすなんて事しちゃいけないだろって...。
練習をきりやめて、鶴来くんから逃げるように家に帰った翌日...俺がサークル棟にいくと...メンバーがボコボコ二された状態で山積みにされていたのはいうまでもなく...。
部屋を訪れた俺を目に留めた瞬間...鶴来くんが微笑みを浮かべて『お疲れ様です、先輩。...昨日も大分お疲れのようでしたので...俺が日頃の感謝を込めてマッサージしますよ。さぁ、どうぞこちらに。』とこう言って近づいてきたんだ。
俺は、ゆっくりと鶴来くんと距離をとりながらこう言った。
「鶴来くん...落ち着こう???ほら、話せばわかり合えるよ...!!!『...???何、怖がってるんですか???マッサージ...するだけですよ???あくまで、ご奉仕の一環......ですよ?』」
俺は、身の危険を感じ、咄嗟に逃げようと、背後にあった部屋の扉に手を掛けたのだが、肩に凄い衝撃を感じて意識を失うはめにはなった。
目が覚めたとき...鶴来くんが笑っていたのが、何よりも一番の恐怖だった...。
もう二度と彼を怒らせてはならないと、直感でそう思ったのだった。
※アルカイックスマイルとは
古代ギリシアの時代の彫刻に見られる、口元だけ微笑しているのが特徴的な表情のことである。この表情は、生命感と幸福感を表現していると言われている。現在でもまだ生き残っている言葉である。
~参考文献~
アルカイク・スマイル-Wikipedia(https://www.wikipedia.org/)(2020年2月11日閲覧).
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる