俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

文字の大きさ
上 下
21 / 75

俺のヒロインはお前だけ!(恋目線です。)

しおりを挟む
 あれ??もう学校に来ていつものように机に突っ伏している時間なのに、尊がいない。
 一体どこに行ったんだろう??
 俺は、教室のドアを開けてクラスの子との挨拶もそこそこにあいつの席を見る。だが、いつもならいるはずの尊の姿がどこにも見えない...。もしかして今日は、休みなのかな...だとしたらテンションダダ下がりじゃん...。
 なんて考えていると、教室のドアが開いて俺のお目当ての尊がゆっくりと重々しい足取りで入ってきた。
 俺は、その姿を目で捉えると急いで自分の席を立ち尊の方へと駆け寄っていった。こういうところを、クラスの奴らからは尊のペットみたいとからかわれたことがあったが、あながち間違いでもない気がする。
尊に近づきながら
「おーい!!尊!!!おはよう!!!...ん??どうした...??いつもよりもなんか元気なさそうな気がするんだが...。」
 近づいてみてやっぱり思ったが、尊は、具合が悪そうだった。尊の肩を組み一緒に尊の席に向かいながら、尊の顔を覗き込んだ。
 すると尊は、困ったように
「...いや...何でもないよ...ただ、少し...悩み事があっただけ...。」
なんて言ってきた。尊を、直感で抱きしめたくなった俺は、尊の肩を掴んでいた手をグッと引っ張って、尊を背後からギュッと抱きしめた。
 尊は、そんな俺に対して
「...!?...おい!??恋!??ちょっ...からかってるならマジで怒るぞ!!」
って言ってきてますます可愛いと思ってしまい、声を低くして尊にしか聞こえないように耳元で
「...俺がもしからかってないって言ったら...どうする??」
 なんて我ながら羞恥心が試されるセリフを吐いてしまった...すると、尊が真っ赤になって勢いよく俺の足を踏みつけてきた。
 死ぬほど痛かった俺は
「...痛っ!!!???」
と叫んで飛び跳ねてしまった。
 流石にやりすぎたと思ったが、時すでに遅し。尊は、さっさと自分の席に座ってすぐに机に突っ伏していた。

俺は、さっきからずっと尊の前の椅子に座り何度も謝っているんだが、全く許してもらえる気配がなかった...。
 俺は諦めずに
「...だから!ごめんって!!なぁー、尊...冗談だから...いい加減機嫌直せって!!」
と謝って両手を顔の前で合わせていた。
 すると、尊は、諦めたように
「...もう...いいから。...だから、いい加減謝るのやめなよね...。」
 なんて言って、すぐに机に突っ伏した。
 そんな尊を見て、俺は無意識に尊の頭に手を伸ばしてクシャッと撫でていた。
 咄嗟に顔を上げる尊と目が合い、俺が笑いかけると、鋭い目付きで睨みつけてきた。
 そんな尊にまた可愛いと思ってしまい、意を決して尊に聞いてみた。
「...さっき...俺...お前を抱きしめたじゃんか...あれって、もしかして初めて??」
こう聞いたら、尊は、何を思い出したのか頬を赤らめて俯いてしまった。
 俺は、不安になり、尊を急かすように
「...おい...何も言わないってことは、もう既に誰かに抱きしめられたことがあるってこと??」
って聞いたんだ。尊は、暫く黙っていたが、やがて小さく頷いた。
 そんな尊を見た途端、重たい石が俺の上に乗っかったのかっていうぐらいのすごい衝撃が、俺の中を駆け巡っていった。
 俺は、
「...えっ...それって...一体...?」
と言って尊に聞いた。
 すると尊は、頬を真っ赤にしながら本当に小さな声で
「...えっと...あ...あにき...。」
...えっ!?...よりによって尊のお兄さん...!??...ってお兄さんって結構年上で確かもうすぐで30とかじゃなかったか!??...なんだか、モヤモヤするな...。
 なんて言いながら、尊が心配そうな顔を俺に向けるので、俺は
「...そっか...そうなんだな!愛されてて羨ましいな~!!!」
 なんて言って必死に俺をコントロールしようと頑張っていた。
 尊の心配そうな顔が、可愛すぎて俺はまた尊の頭をクシャクシャっとしてしまった。
 だが、尊も照れているのか俺を睨みつけてきた。
 そんな尊をみて、これ以上やったら本当に怒られそうだと思って、苦笑いしつつ手を引っ込めた。
そんな俺を見ると、またまた机に突っ伏した。

そんな尊をよそに俺は、尊のさっきの話を思い出して、尊のお兄さんにライバル心を燃やしていた。
 お兄さんの話をしている時の、尊は、頬を軽く赤らめてまるで恋をしている女の子のような顔をしているところを何回も見ていたためか、俺の胸は、酷くいたんでいた。
 
 例え尊のお兄さんでも、尊は渡さない...何があっても。
 なんて心の中で、ライバル宣言する恋なのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)
BL
悪役に好かれていますがどうやって逃げられますか!? ネヴィレントとラグザンドの間に生まれたホロとイディのお話。 「お父様とお母様本当に仲がいいね」 「良すぎて目の毒だ」 ーーーーーーーーーーー 「僕達の子ども達本当に可愛い!!」 「ゆっくりと見守って上げよう」 偶にネヴィレントとラグザンドも出てきます。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王

ミクリ21
BL
姫が拐われた! ……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。 しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。 誰が拐われたのかを調べる皆。 一方魔王は? 「姫じゃなくて勇者なんだが」 「え?」 姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

処理中です...