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「俺たちの作戦実行ファイル。」
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俺は䴇の隣に座っている男の人と、女の子の事が気になったが、それはさておき、鈴斗さんの言葉で緊急作戦会議が始められることとなった。
「よし、秋良も無事このシェアハウスに帰ってきたことから、皆にはある作戦に参加してもらいたいと思っている。実は、秋良と龍の仲を引き裂こうとしていた奎佐木 叶芽さんなんだが、どうやら、䴇の兄である海紗良 十希さんの古くからの友人だそうで、奎佐木さんは、狩人に殺されかけた紛れもない被害者だったんだ。䴇も奎佐木さんも、自らに責任を感じ、狩人を潰そうと今も動いているんだ。そこで、みんなに協力して欲しい事なんだけど、俺たちの家族である䴇のことをこんなに苦しめ続けた狩人を、消滅させる。......えっと...続きは、十希さんに任せてもいいですか??」
「あっ、はい。えーっと......全く関係の無い皆さんにこんなことを頼むのは、おかしいかもしれませんが、どうか叶芽を救うために力を貸していただけないでしょうか???狩人を動かしているのは、あのころ叶芽を狙っていた咲季(さき)という女だ。咲季は、今もずっと叶芽の事を狙っている。叶芽が自分に復讐しようとしているのをいいことに、咲季は、叶芽を自分のものにしようと機会をうかがっているんだ。叶芽が彼女に復讐を果たすとき、それと同時に叶芽は、咲季の餌食となる。」
俺は、兄ちゃんの情報網の広さとそんな情報が、外には全く出回っていないのに、なんで遠くで暮らしていた兄ちゃんが知っているのか不思議に思い、俺はとっさに声を出していた。
「えっ、兄ちゃん。そんな情報一体どこから...。『俺もな......何度も叶芽を助けるために動こうとしたんだ。でも、あと一歩の勇気が出なくて、結局...果たせずじまい。』...兄ちゃん。大丈夫だよ。このシェアハウスの皆が力を貸してくれるんだ。一歩どころか100万歩以上踏み出して、狩人なんて滅亡させれるよ!ねっ!!!」
この会話を機に皆は、それぞれ目線を合わせると、作戦の内容を事細かにたてだしたのだった。
全ての作戦を立てた後、ちょうどお腹も空いてきて、夕飯にしようと鈴斗さんがキッチンに立ち、それに続くように青波さんもキッチンに入っていった。
各自夕飯が出来るまで、思い思いの時間を過ごしていたとき、俺は目の前に座る兄ちゃんとその横の女の子に話かけた。
「ねぇ、兄ちゃん。さっきから気になっていたんだけど...。その横にいる女の子は誰???」
「ん??あー、この子はね。...䴇の妹だよ??身寄りの無いこの子を、うちで引き取ったんだ。ほら、花??䴇兄ちゃんだぞ???ご挨拶は??」
こう言った兄ちゃんの横に座る、花と呼ばれた女の子は、俺の事を見るなり、目をキラキラさせて大声でこう叫んだんだ。
「うわー!!!!へなちょこ侍だー!!!『へっ!????何それっ!???』「何っ!?????(青波)」」
花は、俺に向かって目をキラキラさせていたから、てっきりお兄ちゃんとして認めてもらえたと思ったのに、あろう事か、彼女の口から飛び出た言葉は、馬鹿にしているとしか思えないワードであった。
そんな花の言葉にキッチンで料理をしていたはずの青波さんが、猛ダッシュで走ってきた。
「えっ、君!?へなちょこ侍知ってるの???」
「うん、知ってるよ??ねぇ、お兄ちゃんもへなちょこ侍好きなの???」
「好きも何も、俺は隠れファンやってるくらいだから。グッズとかも、自室に収まりきらないから、龍の部屋に『おい!!!!誰だよ!!俺の部屋の、へんな落ち武者おいたの!!!!』...あっ、やばっ。...って!!!お前な、落ち武者とは何だ落ち武者とは!!!!あれはな、代々1858年の日本から現代に舞い降りた女神なんだぞ!!!それを、お前は落ち武者というのか!!!『どう見ても、落ち武者だろ!!!頭つるっぱげじゃねぇかよ!!!女神だなんてとんでもない。あれは、どうみても45歳の親父だ!!』はぁ!???お前いっぺん表に出ろ!!!俺のへなちょこんを馬鹿にするとは、命が惜しくないって事だろ????いいぞ...臨むところだ!!!」
こう言って俺の目の前では、今まさに取っ組み合いの喧嘩が始まろうとしていた。
いろいろまずいけど、みんなに考えて欲しい。
何気に二人の会話を聞いていて、一番ダメージを食らっているのは、おそらく俺だと思うんだ。
だって、へなちょこ侍に落ち武者...そしてつるっぱげ。
挙げ句の果てに、女神とおじさんの混合物だぞ...。
俺...、一体花にどんなもんに見られたんだよ。
そして花は、そんな二人の言い争いを見て、きゃっきゃしているのである。
全くもって俺はこの子と一緒に暮らしていける気がしない。
さてさて、楽しい解説のお時間だよ!
~へなちょこ侍について~
へなちょこ侍は、1858年の日本から舞い降りた(逃げてきた)おちむ...おさむらいさんである。
へなちょこ侍は、教育向け番組で放送されていた教育アニメなのだが、制作者の頭がおかしかったのか、道徳に反することを次々にしでかして、最終的には、なんか勝利した形で話が終わるのである。変わり者の青波は、ある時誤って床に落ちていたテレビのリモコンを足で踏んでしまい、チャンネルが教育番組に切り替わり...結果このへなちょこ侍が大好きになってしまった。だがこのアニメ...放送一週間という短い期間で、強制打ち切りとなった。そう...クレームが殺到したのである。そんなアニメのキャラに似ているなんて言われた䴇は、お気の毒としか言えないのだが...。
「よし、秋良も無事このシェアハウスに帰ってきたことから、皆にはある作戦に参加してもらいたいと思っている。実は、秋良と龍の仲を引き裂こうとしていた奎佐木 叶芽さんなんだが、どうやら、䴇の兄である海紗良 十希さんの古くからの友人だそうで、奎佐木さんは、狩人に殺されかけた紛れもない被害者だったんだ。䴇も奎佐木さんも、自らに責任を感じ、狩人を潰そうと今も動いているんだ。そこで、みんなに協力して欲しい事なんだけど、俺たちの家族である䴇のことをこんなに苦しめ続けた狩人を、消滅させる。......えっと...続きは、十希さんに任せてもいいですか??」
「あっ、はい。えーっと......全く関係の無い皆さんにこんなことを頼むのは、おかしいかもしれませんが、どうか叶芽を救うために力を貸していただけないでしょうか???狩人を動かしているのは、あのころ叶芽を狙っていた咲季(さき)という女だ。咲季は、今もずっと叶芽の事を狙っている。叶芽が自分に復讐しようとしているのをいいことに、咲季は、叶芽を自分のものにしようと機会をうかがっているんだ。叶芽が彼女に復讐を果たすとき、それと同時に叶芽は、咲季の餌食となる。」
俺は、兄ちゃんの情報網の広さとそんな情報が、外には全く出回っていないのに、なんで遠くで暮らしていた兄ちゃんが知っているのか不思議に思い、俺はとっさに声を出していた。
「えっ、兄ちゃん。そんな情報一体どこから...。『俺もな......何度も叶芽を助けるために動こうとしたんだ。でも、あと一歩の勇気が出なくて、結局...果たせずじまい。』...兄ちゃん。大丈夫だよ。このシェアハウスの皆が力を貸してくれるんだ。一歩どころか100万歩以上踏み出して、狩人なんて滅亡させれるよ!ねっ!!!」
この会話を機に皆は、それぞれ目線を合わせると、作戦の内容を事細かにたてだしたのだった。
全ての作戦を立てた後、ちょうどお腹も空いてきて、夕飯にしようと鈴斗さんがキッチンに立ち、それに続くように青波さんもキッチンに入っていった。
各自夕飯が出来るまで、思い思いの時間を過ごしていたとき、俺は目の前に座る兄ちゃんとその横の女の子に話かけた。
「ねぇ、兄ちゃん。さっきから気になっていたんだけど...。その横にいる女の子は誰???」
「ん??あー、この子はね。...䴇の妹だよ??身寄りの無いこの子を、うちで引き取ったんだ。ほら、花??䴇兄ちゃんだぞ???ご挨拶は??」
こう言った兄ちゃんの横に座る、花と呼ばれた女の子は、俺の事を見るなり、目をキラキラさせて大声でこう叫んだんだ。
「うわー!!!!へなちょこ侍だー!!!『へっ!????何それっ!???』「何っ!?????(青波)」」
花は、俺に向かって目をキラキラさせていたから、てっきりお兄ちゃんとして認めてもらえたと思ったのに、あろう事か、彼女の口から飛び出た言葉は、馬鹿にしているとしか思えないワードであった。
そんな花の言葉にキッチンで料理をしていたはずの青波さんが、猛ダッシュで走ってきた。
「えっ、君!?へなちょこ侍知ってるの???」
「うん、知ってるよ??ねぇ、お兄ちゃんもへなちょこ侍好きなの???」
「好きも何も、俺は隠れファンやってるくらいだから。グッズとかも、自室に収まりきらないから、龍の部屋に『おい!!!!誰だよ!!俺の部屋の、へんな落ち武者おいたの!!!!』...あっ、やばっ。...って!!!お前な、落ち武者とは何だ落ち武者とは!!!!あれはな、代々1858年の日本から現代に舞い降りた女神なんだぞ!!!それを、お前は落ち武者というのか!!!『どう見ても、落ち武者だろ!!!頭つるっぱげじゃねぇかよ!!!女神だなんてとんでもない。あれは、どうみても45歳の親父だ!!』はぁ!???お前いっぺん表に出ろ!!!俺のへなちょこんを馬鹿にするとは、命が惜しくないって事だろ????いいぞ...臨むところだ!!!」
こう言って俺の目の前では、今まさに取っ組み合いの喧嘩が始まろうとしていた。
いろいろまずいけど、みんなに考えて欲しい。
何気に二人の会話を聞いていて、一番ダメージを食らっているのは、おそらく俺だと思うんだ。
だって、へなちょこ侍に落ち武者...そしてつるっぱげ。
挙げ句の果てに、女神とおじさんの混合物だぞ...。
俺...、一体花にどんなもんに見られたんだよ。
そして花は、そんな二人の言い争いを見て、きゃっきゃしているのである。
全くもって俺はこの子と一緒に暮らしていける気がしない。
さてさて、楽しい解説のお時間だよ!
~へなちょこ侍について~
へなちょこ侍は、1858年の日本から舞い降りた(逃げてきた)おちむ...おさむらいさんである。
へなちょこ侍は、教育向け番組で放送されていた教育アニメなのだが、制作者の頭がおかしかったのか、道徳に反することを次々にしでかして、最終的には、なんか勝利した形で話が終わるのである。変わり者の青波は、ある時誤って床に落ちていたテレビのリモコンを足で踏んでしまい、チャンネルが教育番組に切り替わり...結果このへなちょこ侍が大好きになってしまった。だがこのアニメ...放送一週間という短い期間で、強制打ち切りとなった。そう...クレームが殺到したのである。そんなアニメのキャラに似ているなんて言われた䴇は、お気の毒としか言えないのだが...。
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