秋良のシェアハウス 2 〜新たな住人??〜

日向 ずい

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「秋良が帰ってきたけど...。」

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 俺は䴇からのメールにより、もう二度とシェアハウスには、帰らないつもりだったが、またここに戻ってくることになるなんて...。

 一体、䴇は何を考えているんだ。

 分からない...。

 俺を、このシェアハウスから追い出したくせに、また話がしたいから戻って来いなんて......。

 俺も、いい加減あいつの言うことを大人しく聞いてきたのだから、そろそろ勘弁して欲しいものだ。

 こう考えながら、俺はシェアハウスの懐かしい香りに包まれながら、シェアハウスの玄関の前に立っていた。

 何回か深い呼吸を繰り返すと、意を決してインターフォンを鳴らした。

 暫くして、玄関の鍵を開けたのは、䴇だった。

 䴇は、俺をリビングへと案内すると、ソファに座るように促した。

 俺は訝しげな顔をして、䴇の行動を伺っていた。
 だが䴇は次の瞬間、俺の目の前で、両膝を地面に付き、何をするかと思いきや...土下座してきたのである。

 俺は、突然の出来事に言葉を失い、無言で頭を下げる䴇を見つめていた。

 そんな俺に構うことなく、䴇は自ら話し始めた。

「この度は、私のわがままに振り回してしまい申し訳ありませんでした。秋良さんや龍さん、このシェアハウスに住んでいるみなさんにまで、私の勝手事に巻き込んでしまい、どれだけ謝っても許されないと分かっています。ですが、私は謝ることしか出来ません。あなた方が、許しの言葉を発してくれるまで謝り続けることしか出来ないです。」

 俺は、キャラが180度を通り超して一回転半ぐらいしてしまった䴇に口をぽかーんと開けて、唖然としていた。

 だが何故か俺は、䴇に優しい言葉を掛けたくなり、気がついた時には䴇に優しく話しかけていた。

「䴇??一体何があったのかは分からないけど...。君が、悪いと思ってくれていることだけは、確かに分かる。だけどね...。一度仕出かしたことは、一生自分の中で、背負っていかないといけないものになるんだ。

 いくらそのことに対しての思いが消えたとしても、心のどこかでは、記憶が残っていて、ふとした瞬間にその記憶は呼び起こされるんだ。

 例え、どんなに固く心を閉ざしていても。だから、君はこれからその苦しみを死ぬまで永遠に背負い続ける。俺は、それだけで、もう十分に俺やシェアハウスの人に対しての償いになると思うんだけど...。」

 こう言った俺の事を、どこに隠れていたのか背後から、龍が抱きしめてきた。

「秋良!!!それでこそ、俺の愛してるお前だよ!!!!おかえり、秋良。お前に話したいことは山ほどあるし、お前が出て行ったときに引き留める事が出来なかったのも、謝りたい。でも、そんなことよりも、今はお前に頼みたいことがあるんだ。」

「えっ、龍???一体いつから...。と言うよりも、何!??皆...もしかして、俺に何か話があるから、䴇を使ってわざと俺をここに呼び寄せたの???」

 こう言った俺に、物陰に隠れていた虎太郎が出てくると、こくりと頷き、妙に真剣なまなざしを向けられた。

 いやいやいや...虎ちゃん!??何か言ってよ!??

 でも...この様子だと、ただ事じゃなさそうだな...。

 こう思った俺は、皆の話を聞くために、改めてソファに座り直した。

 こんな時にあれかもしれないが、䴇の声が枯れていたのが、どことなくシマウマの鳴き声に似ている気がして、内心笑っていたなんて事、言ってはいけない気がする。

 全く...こんなことなら、昨日同期の友達の家で、動物おもしろTVなんて見なければ良かった。

 あっ、やばい。

 思い出したら、また笑いが...。

 とにかくみんなの話を聞かないと...。
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