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「秋良を連れ戻す手伝いを。」
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俺は、今まで自分が恨んできた叶芽さんが実は、兄ちゃんと同じ被害者だったことを知って、酷い罪悪感に苛まれていた。
そんな俺は、声が枯れるまで周りの目線なんか気にせず叫び続けていた。
こうしないと、きっと今にも正気を失って気が狂ってしまいそうだったから。
だから、俺はそんな脆い自分の心を何とか制御するために、必死だった。
一体、いつまで叫んでいたのだろうか。
もう声がかすれて、のどの奥からは、強い血の味がしてきていた。
やっと自分の心が落ち着きを取り戻した時、ずっと俺が叫び続けているのを見ていたのか、背後には、眉間にしわを寄せた青波さんが立っていた。
俺は、怒られると思い、とっさに頭を下げた。
「す...すみませんでした。場所も考えずに、叫んでしまって。俺は、少し頭を冷やしてきたいので、自室に戻ります。では『待て。お前に少し話がある。とにかく、もう一度そこのソファに腰を下ろせ。...ほら、特別にやるよ。のどにいいハバネロキャンディーだ。』えっ...その...。『青にー!!何渡してるの!???もう!!青にーは、味覚が他の人よりも何千倍もおかしいんだから!!ごめんね、䴇さん...。青にーは、こう見えても超がつくほどの辛党なんだよね...。だから、決して悪意があるわけではないから安心してね??』...はい...?分かりました...。」
はっきり言って、俺は辛いものが大の苦手なんだ。
だから、正直ハバネロキャンディーを青波さんに渡されたときは、本当に殺されるんじゃないのかと直感的に考えてしまった。
そんな俺に慌てた様子で、虎太郎君が割って入ってきた。
そうして、俺の手にかわいい包みに入ったりんごののど飴を、一粒おいてくれた。
その瞬間なんだか、兄ちゃんと喧嘩したときに、いつも兄ちゃんが俺に渡してくれた仲直りの印であるパインアメを思い出して、吹き出してしまった。
こんな俺の様子に、驚いた顔をしていた青波さんと虎太郎君に、俺は兄ちゃんとの思い出を何故か話してしまった。
俺の話を聞いた二人は、にっこり微笑むと、俺にこう言ってくれた。
「お兄ちゃんの事、第一に考えているんだね。」
「十希さん...、嫌われてるなんて嘘八百。...十分大事にされてるんじゃん。」
こう言われた俺は、なんだか急に恥ずかしくなり、二人の顔を直視することが出来なかった。
そんな時、背後から俺に声を掛けたのは、龍さんだった。
龍さんは、自らもソファに腰をかけると、俺の方を見て口を開いた。
「はぁ、青波さん。さっき、鈴斗さんから連絡来てたんでしょ??話...、逸れていっちゃってるけど...。」
「あっ...マジ...。ごめん。わるかった。...ゴホンッ、単刀直入に言う。秋良をこのシェアハウスに連れ戻す手伝いをして欲しい......らしい...って...。」
「えっと、それで......俺は...何をすればいいんですか???」
俺は、目の前の青波さんが言っている意味がよく分からなくて、思わず聞き返してしまった。
だって、秋良さんをこのシェアハウスから追い出したのは、そもそも俺だし。
俺が追い出しておいて、また連れ戻すって言うのは、どう考えてもおかしく無いかって思ったんだ。
でも、そんな俺に青波さんは、普通の顔をしてさっさと話を進めたんだ。
その時...もう俺には、拒否権はないのだと心の中で考え、仕方なく青波さんの言ってる内容を聞くことにした。
だって、また例のお仕置き部屋に入れられる様なことがあるかもしれないじゃん...??
俺は、もう二度とあの部屋には入りたくない。
だから渋々、協力するしかなかったんだ。
...ここのシェアハウスの人優しいのか、ドSなのかよく分からないけど。
でも一つだけ、分かることがある。
それは......鈴斗さんは、紛れもない超ドSだということだ。
こんなこと、鈴斗さんには死んでも言えないけど。
仮に言う日が来るとしたら、それはこの世の終わりが来る10秒前ぐらいだろう。(笑)
こうして作戦を聞いた俺は、携帯で秋良さんに連絡を入れて、このシェアハウスに来るよう指示をしたのだった。
本当に、このシェアハウスの人たちには適わないな。
適わないけど、自然と嫌でない自分がいるのも、また事実なので困ったものである...皆には内緒だけどな...。
そんな俺は、声が枯れるまで周りの目線なんか気にせず叫び続けていた。
こうしないと、きっと今にも正気を失って気が狂ってしまいそうだったから。
だから、俺はそんな脆い自分の心を何とか制御するために、必死だった。
一体、いつまで叫んでいたのだろうか。
もう声がかすれて、のどの奥からは、強い血の味がしてきていた。
やっと自分の心が落ち着きを取り戻した時、ずっと俺が叫び続けているのを見ていたのか、背後には、眉間にしわを寄せた青波さんが立っていた。
俺は、怒られると思い、とっさに頭を下げた。
「す...すみませんでした。場所も考えずに、叫んでしまって。俺は、少し頭を冷やしてきたいので、自室に戻ります。では『待て。お前に少し話がある。とにかく、もう一度そこのソファに腰を下ろせ。...ほら、特別にやるよ。のどにいいハバネロキャンディーだ。』えっ...その...。『青にー!!何渡してるの!???もう!!青にーは、味覚が他の人よりも何千倍もおかしいんだから!!ごめんね、䴇さん...。青にーは、こう見えても超がつくほどの辛党なんだよね...。だから、決して悪意があるわけではないから安心してね??』...はい...?分かりました...。」
はっきり言って、俺は辛いものが大の苦手なんだ。
だから、正直ハバネロキャンディーを青波さんに渡されたときは、本当に殺されるんじゃないのかと直感的に考えてしまった。
そんな俺に慌てた様子で、虎太郎君が割って入ってきた。
そうして、俺の手にかわいい包みに入ったりんごののど飴を、一粒おいてくれた。
その瞬間なんだか、兄ちゃんと喧嘩したときに、いつも兄ちゃんが俺に渡してくれた仲直りの印であるパインアメを思い出して、吹き出してしまった。
こんな俺の様子に、驚いた顔をしていた青波さんと虎太郎君に、俺は兄ちゃんとの思い出を何故か話してしまった。
俺の話を聞いた二人は、にっこり微笑むと、俺にこう言ってくれた。
「お兄ちゃんの事、第一に考えているんだね。」
「十希さん...、嫌われてるなんて嘘八百。...十分大事にされてるんじゃん。」
こう言われた俺は、なんだか急に恥ずかしくなり、二人の顔を直視することが出来なかった。
そんな時、背後から俺に声を掛けたのは、龍さんだった。
龍さんは、自らもソファに腰をかけると、俺の方を見て口を開いた。
「はぁ、青波さん。さっき、鈴斗さんから連絡来てたんでしょ??話...、逸れていっちゃってるけど...。」
「あっ...マジ...。ごめん。わるかった。...ゴホンッ、単刀直入に言う。秋良をこのシェアハウスに連れ戻す手伝いをして欲しい......らしい...って...。」
「えっと、それで......俺は...何をすればいいんですか???」
俺は、目の前の青波さんが言っている意味がよく分からなくて、思わず聞き返してしまった。
だって、秋良さんをこのシェアハウスから追い出したのは、そもそも俺だし。
俺が追い出しておいて、また連れ戻すって言うのは、どう考えてもおかしく無いかって思ったんだ。
でも、そんな俺に青波さんは、普通の顔をしてさっさと話を進めたんだ。
その時...もう俺には、拒否権はないのだと心の中で考え、仕方なく青波さんの言ってる内容を聞くことにした。
だって、また例のお仕置き部屋に入れられる様なことがあるかもしれないじゃん...??
俺は、もう二度とあの部屋には入りたくない。
だから渋々、協力するしかなかったんだ。
...ここのシェアハウスの人優しいのか、ドSなのかよく分からないけど。
でも一つだけ、分かることがある。
それは......鈴斗さんは、紛れもない超ドSだということだ。
こんなこと、鈴斗さんには死んでも言えないけど。
仮に言う日が来るとしたら、それはこの世の終わりが来る10秒前ぐらいだろう。(笑)
こうして作戦を聞いた俺は、携帯で秋良さんに連絡を入れて、このシェアハウスに来るよう指示をしたのだった。
本当に、このシェアハウスの人たちには適わないな。
適わないけど、自然と嫌でない自分がいるのも、また事実なので困ったものである...皆には内緒だけどな...。
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