秋良のシェアハウス 2 〜新たな住人??〜

日向 ずい

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「俺も、分かっていた。」

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 俺は、久しぶりに鈴にーに反抗した。

 本当は、鈴にーの気持ちも痛いほど分かってはいたんだ。

 でもそれ以上に、弟のことを考えて、一生懸命にバイトや、日常生活のお世話をしてくれていた十希さんに対して、実際にその状況を体験していない俺たちが、偉そうにものを言うことは、違うと思った。

 でも鈴にーは、家族の愛情が受けられない悲しさを知っているからこそ、あの状況で十希さんの鈍感さを無視出来なかったんだと思う。

 そう、本当は分かっていたんだ。

 鈴にーと一緒に暮らしていたから、俺と遊んだり、会話をしたりしているときも、いつもさみしそうな顔をして、じっと玄関の方を気にしていた鈴にーを近くで見てきたから。

 だから、痛いほど気持ちも分かるんだ。

 多分、あの頃の鈴にーに嫉妬して、こんなことしてしまったんだろうな。

 はぁ、俺はまだまだ子供だな。

 鈴にー、家に帰ったら、俺のこと叱ってくれるかな??

 俺の事を育ててくれたのは、最初も最後も鈴にーただ一人だけだから。

  鈴にーにあんなことしておいて、俺って相当生意気なこと言っているよな。

 はぁ、明日シェアハウスに帰ったら、真っ先に鈴にーに謝ろう。

 そうしないと俺は、また子供の頃のような喪失感を感じなくてはいけなくなりそうで...、そんな目に見えない怖さに押しつぶされそうだったから。

 俺は、こう考えると明かりのある場所を目指して歩き出した。

 秋良と、また踊れる日が来ればいいのにな...。
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