秋良のシェアハウス 2 〜新たな住人??〜

日向 ずい

文字の大きさ
上 下
46 / 61

「修復活動開始だ。」

しおりを挟む
 俺は、䴇から話を聞いた次の日に、䴇のお兄さんである海紗良 十希(みさら とき)さんに龍と青ちゃん、そして虎太郎の四人で、会いに行くことにした。

 そう。䴇の話を聞いたことから、今の䴇に一番必要なのは、お兄さんであり、本当の家族である十希さんなんだと思ったからだ。

 だから今俺たちは、飛行機と電車を使い遠く離れた鹿児島県を目指していた。

 飛行機を降りて電車に乗った後...虎太郎が、道中でご当地のお菓子を堪能したせいで、鹿児島のお兄さんの家に着く頃には、すっかり夜になっていた。

「全く、虎太郎がいきなり団子食べたいとか言うから。本当は、夕方にはこっちに着く予定だったのに...。」

「何だよ、龍にーだって、ご当地酒を眺めてにやにやしていたじゃないか!!!『はぁ!?誰が、にやにやしていたって???お前の、下品な笑い方よりかは、ましだ!!!』あ???もう一回言ってみろよ!!!この隠れエロが!!!『おい、いい加減黙れ。鈴にーが...困ってる。」...あっ、ごめん。」

 俺が虎太郎と龍にしびれを切らして一喝しようとしたとき、隣で猫のマスコットを眺めながら、歩いていた青ちゃんが、二人の喧嘩を止めてくれた。

 こういうとき、やっぱり青ちゃんがいてくれて良かったって本当に思う。

 こんなこと、照れくさすぎて青ちゃんには面と向かって絶対言えないけど...。

 俺たちは、十希さんの家の前まで来ると、意を決してインターフォンを押した。

 すると暫くしてから、玄関の電気が灯り、中から女の子の声がした。

「はい、どちら様でしょうか??」

 俺は、一瞬声を発するのをためらったが、隣にいた青ちゃんが、大きな声でこういった。

「夜分遅くにすみません。こちらは、海紗良 十希さんのお宅で間違いありませんでしょうか??」

「...。あの、十希に何かご用ですか??十希は、今家にいないのですが...。」

「えっと...、そうなんですね。因みに...何時頃お戻りになられるかご存じですか??」

「いや、分からないです。あの、もういいですか。あなたたちのような人たちに、時間を割いている暇はないので。『おい、花(はな)やめないか!!その方達は、お客さんなんじゃないのか??いつまでも過去にとらわれるな!俺のことを気にしてくれてるのは分かるが、人間片っ端からそんな接し方をするもんじゃない。代われ。俺が、話を聞くから。お前は、部屋で頭を冷やしてこい。』っ......でも、父さん!!!『いいから。早く部屋に戻れ。』っ!!!分かったわよ...。」

 俺たちが、十希さんに会いたいと言った瞬間、目の前の花と呼ばれた女の子は、血相を変えて、俺たちを早くこの家から立ち去らせたいと言った行動を取り出したのだ。

 俺たちは、どうしたものかと困っていたそんなとき、玄関に出てきた男の人が、花という女の子を一喝した。

 そして花さんが去った後、玄関に出てきた男の人は、真っ先に俺たちに勢いよく頭を下げた。

「大変失礼を致しました。あの子は、花といって...捨て子なんです。あの子は小さい頃に、家族を皆殺しにされたんです。それが、家を訪ねてきた見ず知らずの男の人たちで...。心に深い傷を負った花は、あんな性格になってしまい、友達も出来ず、里親を探している時に出会ったんです。だから、さっきの失礼な態度をどうかお許しください。あっ、申し遅れました。私が、海紗良 十希です。...私にお話があったんですよね...??」

 俺は、戸惑ってしまった。

 だって、䴇には里親の女の子の話なんて一言も聞かなかったのだから。

 俺はそのことが気になったが、それよりも、今は䴇の事をこの人に伝える事が最優先だと考えて、目の前の十希さんにこう話を始めたのだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

秋良のシェアハウス。(ワケあり)

日向 ずい
BL
物語内容 俺は...大学1年生の神代 秋良(かみしろ あきら)。新しく住むところ...それは...男ばかりのシェアハウス!?5人暮らしのその家は...まるで地獄!プライバシーの欠けらも無い...。だが、俺はそこで禁断の恋に落ちる事となる...。 登場人物 ・神代 秋良(かみしろ あきら) 18歳 大学1年生。 この物語の主人公で、これからシェアハウスをする事となる。(シェアハウスは、両親からの願い。) ・阿久津 龍(あくつ りゅう) 21歳 大学3年生。 秋良と同じ大学に通う学生。 結構しっかりもので、お兄ちゃん見たいな存在。(兄みたいなのは、彼の過去に秘密があるみたいだが...。) ・水樹 虎太郎(みずき こたろう) 17歳 高校2年生。 すごく人懐っこい...。毎晩、誰かの布団で眠りにつく。シェアハウスしている仲間には、苦笑いされるほど...。容姿性格ともに可愛いから、男女ともにモテるが...腹黒い...。(それは、彼の過去に問題があるみたい...。) ・榛名 青波(はるな あおば) 29歳 社会人。 新しく入った秋良に何故か敵意むき出し...。どうやら榛名には、ある秘密があるみたいで...それがきっかけで秋良と仲良くなる...みたいだが…? ・加来 鈴斗(かく すずと) 34歳 社会人 既婚者。 シェアハウスのメンバーで最年長。完璧社会人で、大人の余裕をかましてくるが、何故か婚約相手の女性とは、別居しているようで...。その事は、シェアハウスの人にあんまり話さないようだ...。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

処理中です...