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「アンタら...馬鹿なの??」
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「話してくれてありがとう。䴇...君が自分の心の中で必死に悩んで考えて、苦しんでいたことがよく分かった。ごめんね、気付いてあげられなくて。ごめんね、今まで、力になってあげることが出来なくて。もしかしたら、こんなになる前に、君の現状...気持ちを知っていれば、もう少し早く䴇を救う事が出来たのかもしれない。...そう思うとね...胸が張り裂けそうなほど苦しくて。」
俺は、びっくりして固まってしまった。
だって、俺の事を抱きしめてくれている鈴斗さんは、あろう事か何度も俺に謝りながら、目から大粒の涙を流していたのだから。
俺は、戸惑った様子を悟られたくなくて、何も言わずに俯いていた。
すると今度は、俺の真正面から虎太郎がぎゅっと俺を抱きしめてきた。
そして何も発さない俺に向かってこう言ったんだ。
「うーん、抱き心地は正直...秋良の方が断然いいけど、でも、たまに無性に抱きしめたくなる感じだね。例えるなら...そう!青にーの他人を苛める激辛シチューみたいな......。っ...青にー目が怖いよ...。ちょっとした冗談じゃんか!!!...あっ、䴇にー??俺が他人に抱きつくときは、このシェアハウスの住人だって認めたときだけだからね??」
俺は、更に訳が分からなくなった。
だって、シェアハウスの大切な仲間を傷つけたこんな最低な俺の事を、あろう事か、この人達は家族だと言い出したんだ。
あり得ないだろ。
俺は、理解に苦しんだがやがて、どうしようもなくなり、じっとしていた。
すると今度は『便乗~』と言って、右側から俺を抱きしめてきたのは、青波さんだった。
青波さんは、虎太郎にゲンコツという制裁を加えた後、俺の耳元で静かに一言こう言ったんだ。
「守ってやれなくて...ごめんな。」
俺は、泣きそうだった。
でも、こんなところで涙を流すわけにはいかない。
だって、兄ちゃんと約束したから。
いい子にするって。
いつかの兄ちゃんが言ってた。
『いい子は、人に迷惑をかけるから、絶対に泣かないんだ。』って。
だから、俺はこぼれそうになる涙を必死に耐えていた。
そんな俺に追い打ちをかけるように、残った左側から俺の事を抱きしめてきたのは、龍さんだった。
秋良さんの事を奪って、このシェアハウスをめちゃくちゃにした俺を一番憎んでいるはずの龍さんが何故って思ったら、龍さんは、そんな俺に気がついたのか、俺の耳元でこう告げてきた。
「䴇、勘違いするなよ??...別に俺はお前のことを許したわけではないからな。今も、お前がこのシェアハウスに来なければ、秋良もこのシェアハウスも荒らされることはなかったんだ。でも、お前の過去の話を聞いて、俺たちと同じように、心に深い傷を負っていたんだって分かったら、今はお前を殴るよりも、抱きしめたくなった。もう一度言う。勘違いするなよ??お前がやったことは、決して許されることじゃないんだからな??」
こう言った龍さんの口調は、とても冷たかったが、俺の事を抱きしめる腕は、壊れている俺の心を治すかのように温かくて、優しかった。
その瞬間、俺の中で何かが壊れた。
流さないようにって必死だったのに、俺の目からは、今まで堪えていた寂しさが、一気に解放されて、大量の涙が次から次へとこぼれ落ちていった。
そんな俺の事を、シェアハウスの人たちは優しく、泣いている俺が落ち着くまでずっと抱きしめてくれていた。
俺は、このシェアハウスに来て良かった。
こんなに温かいぬくもりを与えてくれる人たちに出会うことが出来て......本当に良かった。
もう自分の心を誤魔化すことも出来ないだろう...。
と、こう無意識のうちに思ってしまっていたのだから。
今の俺には、こんなに温かい人たちを傷つけるなんてこと、二度と出来ないだろう。
いや正確には、二度としないの間違いだ。
それほどまでに、俺はこのシェアハウスの人たちに、崩壊していた心を、救われてしまったみたいだ。
俺は、びっくりして固まってしまった。
だって、俺の事を抱きしめてくれている鈴斗さんは、あろう事か何度も俺に謝りながら、目から大粒の涙を流していたのだから。
俺は、戸惑った様子を悟られたくなくて、何も言わずに俯いていた。
すると今度は、俺の真正面から虎太郎がぎゅっと俺を抱きしめてきた。
そして何も発さない俺に向かってこう言ったんだ。
「うーん、抱き心地は正直...秋良の方が断然いいけど、でも、たまに無性に抱きしめたくなる感じだね。例えるなら...そう!青にーの他人を苛める激辛シチューみたいな......。っ...青にー目が怖いよ...。ちょっとした冗談じゃんか!!!...あっ、䴇にー??俺が他人に抱きつくときは、このシェアハウスの住人だって認めたときだけだからね??」
俺は、更に訳が分からなくなった。
だって、シェアハウスの大切な仲間を傷つけたこんな最低な俺の事を、あろう事か、この人達は家族だと言い出したんだ。
あり得ないだろ。
俺は、理解に苦しんだがやがて、どうしようもなくなり、じっとしていた。
すると今度は『便乗~』と言って、右側から俺を抱きしめてきたのは、青波さんだった。
青波さんは、虎太郎にゲンコツという制裁を加えた後、俺の耳元で静かに一言こう言ったんだ。
「守ってやれなくて...ごめんな。」
俺は、泣きそうだった。
でも、こんなところで涙を流すわけにはいかない。
だって、兄ちゃんと約束したから。
いい子にするって。
いつかの兄ちゃんが言ってた。
『いい子は、人に迷惑をかけるから、絶対に泣かないんだ。』って。
だから、俺はこぼれそうになる涙を必死に耐えていた。
そんな俺に追い打ちをかけるように、残った左側から俺の事を抱きしめてきたのは、龍さんだった。
秋良さんの事を奪って、このシェアハウスをめちゃくちゃにした俺を一番憎んでいるはずの龍さんが何故って思ったら、龍さんは、そんな俺に気がついたのか、俺の耳元でこう告げてきた。
「䴇、勘違いするなよ??...別に俺はお前のことを許したわけではないからな。今も、お前がこのシェアハウスに来なければ、秋良もこのシェアハウスも荒らされることはなかったんだ。でも、お前の過去の話を聞いて、俺たちと同じように、心に深い傷を負っていたんだって分かったら、今はお前を殴るよりも、抱きしめたくなった。もう一度言う。勘違いするなよ??お前がやったことは、決して許されることじゃないんだからな??」
こう言った龍さんの口調は、とても冷たかったが、俺の事を抱きしめる腕は、壊れている俺の心を治すかのように温かくて、優しかった。
その瞬間、俺の中で何かが壊れた。
流さないようにって必死だったのに、俺の目からは、今まで堪えていた寂しさが、一気に解放されて、大量の涙が次から次へとこぼれ落ちていった。
そんな俺の事を、シェアハウスの人たちは優しく、泣いている俺が落ち着くまでずっと抱きしめてくれていた。
俺は、このシェアハウスに来て良かった。
こんなに温かいぬくもりを与えてくれる人たちに出会うことが出来て......本当に良かった。
もう自分の心を誤魔化すことも出来ないだろう...。
と、こう無意識のうちに思ってしまっていたのだから。
今の俺には、こんなに温かい人たちを傷つけるなんてこと、二度と出来ないだろう。
いや正確には、二度としないの間違いだ。
それほどまでに、俺はこのシェアハウスの人たちに、崩壊していた心を、救われてしまったみたいだ。
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