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「大学で見てしまった...真実。」

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 俺は、なんてことをしてしまったんだろう。

 秋良を連れ戻さないと...秋良を助けないと。

 俺が、こう考えるようになったきっかけは、すっかり崩壊してしまったシェアハウスから、大学に通っていたある日。

 講義と講義の空きコマの時間に俺は、なんとなく外をウロウロしたくなって、久々に一人で校内をのんびり歩いていたんだ。

 すると秋良と䴇が、一緒に歩いている姿を見つけてしまい、普段なら素通りするはずなのだが...。

 何故か今日は、妙な胸騒ぎがして、秋良と䴇の後をつけることにしたんだ。

 そしたら、二人がたどり着いた場所は、1年前...秋良と俺が狩人から...叶芽さんから脅された、狩人のアジトだったんだ。

 俺は、その瞬間嫌な汗が背中を伝うのか分かった。

 秋良と䴇が建物内に入っていったのを確認すると、危険を承知で、二人の後を追って、俺もアジトに足を踏み入れた。

 二人が、足を止めたのは...俺が1年前、叶芽さんにひどく殴られた部屋だった。

 俺は、部屋の中に入りたかったが、外から女の人の声が聞こえたため、危険を察知して、離れ難かったが一旦この建物から出ることにした。

 何とか、誰にも見つからずに建物の外に出ることは出来たけど...。

 俺の頭の中は、秋良と䴇の事でいっぱいだった。

 秋良と䴇が部屋で話していた内容を思い出して俺は、自分の手のひらを血がにじむほど、きつく握り、そして耐えきれずに叫んだんだ。

「それで、いつになったらあいつ...龍と別れてくれるわけ??俺、もうそろそろ時間が無いんだけど??」

「...俺が、シェアハウスを出たことで、龍とも縁を切ったことになるだろ??これじゃ不満か??龍とは会ってないんだよ!!もうこれで気が済んだだろ???一体何が不満なんだよ!!!」

「何が不満って...。お前たちが、毎日幸せそうににこにこ笑っているのが、気にくわないんだよ。あんなつまらない人間なんて見て、何が楽しいんだよ!!それに、お前がいっつもにこにこしているのが、気にくわない。分かったか??」

「そんなの、䴇くんの勝手じゃないか!!!俺が、シェアハウスを出て行けば、龍やあの人たちには、危害を加えないっていう約束だったんじゃないのかよ!!!これじゃ、話が違うじゃないか!!!」

「ハハハッ、お前...ほんものの馬鹿だな。俺が言ったこと全部鵜呑みにしたんだな。そんなの初めから、嘘に決まってんじゃん。なのに、素直に信じちゃってさ!」

「...なんで、シェアハウスの仲まで壊すんだよ!!!あの人たちは、無関係なんじゃないのか!!!おまえ悪趣味にも、限度があるだろ!!!人の人生めちゃくちゃにした上に、その人の人間関係まで壊すとか、何処までやれば気が済むんだよ!!!今すぐにでも、殺してやろうか???俺の、大切な人たちの人生返せよ!!!俺の大切な人たちの人間関係を元に戻せよ!!!後処理も出来ないのに、生意気抜かすな...この卑怯者!!!!」

「痛っ!!何すんだよ!!...あっ、ふ~ん、なるほどねぇ??俺さぁ、シェアハウスの奴に聞いたんだけど、お前は、拳は殴るためにあるんじゃ無いって。そんなきれい事言ってたみたいだけど、よく考えたら、お前...俺を殴っちゃってるじゃん。」

「あぁ、そうだよ。確かに言った。いかなる理由があろうとも、人を殴ったらいけないことは、俺が一番よく分かっている。それと引き換えに俺は...もう二度とシェアハウスに戻らない。つまり、お前の望む結果が得られるだろ??分かったら、お前も一週間以内にあのシェアハウスから出て行け。」

「はぁ、分かったよ。秋良くんにしたら、いい判断なんじゃないの??まぁ、そうだよねぇ。人間殴っちゃいけないとか言ってた奴が、平気で人間殴ってるし??いいよ。秋良くんのその歪んだ性格に免じて、俺は約束通り一週間以内にあのシェアハウスを出て行ってあげるよ。」

 この話を聞いた俺は、ぐっと唇をかみ、部屋の外に出て、秋良と䴇の真実を知ってしまったことから、ひどい罪悪感にさいなまれていた。

 苦しい胸に宿る様々な気持ち、あふれ出る感情を何とかしたくて、俺は声が枯れるほど、その場で泣き叫んでいたのだった。

 そうしないと、秋良の気持ちに気づかず、今までぼーっとしていた自分が憎たらしく感じ、今すぐにでも、自分の首を絞めて死のうとしてしまいそうだったから。
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