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「なんで、お前は冷静なんだよ。」
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「おい、龍。お前は、一体いつまでそうしているつもりなんだ。なんで、秋良がいなくなったのに、お前は外に探しにも行かず、ずっと自分の部屋にこもっている事が出来るんだよ!!」
俺は、普段シェアハウスの人にキレることなんてさらさら無いんだが...。
今日は、違った...純粋に腹が立った。
今まで他人に無関心だった俺が相手の行動に興味を示したのなんて、これが初めてなんじゃないのか。
秋良がいなくなってから、はや2週間が経とうとしていた。
毎日毎日、俺や虎太郎は秋良がいそうな所を、家に帰ってきてから、必死に捜している。
でも、一向に見つからなくて...。
何か事件に巻き込まれたんじゃないのかな...なんて最悪の事態を考え、日に日に不安が大きくなっていた。
そんなとき、いつものように会社から帰ってきた俺は、龍の部屋の前を通ったんだ。
疲れた俺の耳に聞こえてきたのは、龍の楽しそうな笑い声だったんだ...。
俺は耳を疑った。
どうして、秋良がいなくなったこんな時に、呑気に笑ってられるのか。
俺には理解できなかったし、あいつが一番秋良のことを大切にしていたはずなのに......。
秋良がいなくなってから、龍が一回も秋良を捜しにいく姿を、見たことがなかった。
だから俺は、龍に文句が言いたくなりキレてしまったんだ。
そんな俺の声に、龍は部屋の鍵を開けると、ニヤッとほほえみ、俺に挑発的な目を向けてきた。
「何??青波さん。俺は、今忙しいんだけど...。『はぁ??秋良がいなくなって、散々自室から出てこない癖に、何が忙しいんだよ!!お前、何企んでるのか知らないけど、秋良の家族じゃないのか!??秋良の事大切なんじゃないのか!??なんで、こんなに皆が...このシェアハウスが崩壊しかけているのに、お前は平気な顔していられるんだ!!!少なくとも俺は、この家の仲間が大好きだ。...でも、秋良がいないこのシェアハウスは、廃墟同然なんだよ。心地よさも温かさも、何一つ...今のこのシェアハウスには、何一ついい物なんて無い。』...だから??だから俺に、秋良を捜しに行けって言うのか??䴇が言っていただろ??俺が、秋良をこのシェアハウスから追い出した張本人なんだよ。そんな奴に、もう一回逢いたいと思うか??俺は、二度と逢いたいなんて思わない。だから俺は...近いうちに、このシェアハウスから出て行く。俺が出て行けば、秋良も今まで通りこのシェアハウスで暮らせるだろ。皆も、俺が居るより秋良が戻って来てくれる方がいいだろ??分かったら、そのいつまでも俺の胸ぐらを掴んでいる手を放してくれない??」
俺は、何も言えなかった。
だって、龍の目には、今にもこぼれ落ちそうなほどの涙が溜まっていたのだから。
俺はその瞬間、自らの無力さを感じてしまい、龍の部屋のドアが、冷たく閉ざされた後も、暫くその場所から離れることが出来なかった。
秋良が、戻ってくればいいだって??
そんなわけ無いだろ??
秋良が戻ってきて、龍がいなくなったんじゃ、結局、秋良がいない今と状況は、変わらない。
それどころか秋良は、正気を失ってしまうかもしれない。
だって、秋良はこのシェアハウスの誰よりも、人思いだから。
俺も、そんな秋良に助けられて、また踊ることを始めたんだ。
秋良のおかげで今の俺がある。
いいや、秋良だけじゃない。
このシェアハウス皆のお陰で、俺は、悲しい過去を塗り替えることが出来たんだ。
このシェアハウスの住人皆がいないと、俺はやっぱり...駄目だ...やっていけないよ。
俺は、普段シェアハウスの人にキレることなんてさらさら無いんだが...。
今日は、違った...純粋に腹が立った。
今まで他人に無関心だった俺が相手の行動に興味を示したのなんて、これが初めてなんじゃないのか。
秋良がいなくなってから、はや2週間が経とうとしていた。
毎日毎日、俺や虎太郎は秋良がいそうな所を、家に帰ってきてから、必死に捜している。
でも、一向に見つからなくて...。
何か事件に巻き込まれたんじゃないのかな...なんて最悪の事態を考え、日に日に不安が大きくなっていた。
そんなとき、いつものように会社から帰ってきた俺は、龍の部屋の前を通ったんだ。
疲れた俺の耳に聞こえてきたのは、龍の楽しそうな笑い声だったんだ...。
俺は耳を疑った。
どうして、秋良がいなくなったこんな時に、呑気に笑ってられるのか。
俺には理解できなかったし、あいつが一番秋良のことを大切にしていたはずなのに......。
秋良がいなくなってから、龍が一回も秋良を捜しにいく姿を、見たことがなかった。
だから俺は、龍に文句が言いたくなりキレてしまったんだ。
そんな俺の声に、龍は部屋の鍵を開けると、ニヤッとほほえみ、俺に挑発的な目を向けてきた。
「何??青波さん。俺は、今忙しいんだけど...。『はぁ??秋良がいなくなって、散々自室から出てこない癖に、何が忙しいんだよ!!お前、何企んでるのか知らないけど、秋良の家族じゃないのか!??秋良の事大切なんじゃないのか!??なんで、こんなに皆が...このシェアハウスが崩壊しかけているのに、お前は平気な顔していられるんだ!!!少なくとも俺は、この家の仲間が大好きだ。...でも、秋良がいないこのシェアハウスは、廃墟同然なんだよ。心地よさも温かさも、何一つ...今のこのシェアハウスには、何一ついい物なんて無い。』...だから??だから俺に、秋良を捜しに行けって言うのか??䴇が言っていただろ??俺が、秋良をこのシェアハウスから追い出した張本人なんだよ。そんな奴に、もう一回逢いたいと思うか??俺は、二度と逢いたいなんて思わない。だから俺は...近いうちに、このシェアハウスから出て行く。俺が出て行けば、秋良も今まで通りこのシェアハウスで暮らせるだろ。皆も、俺が居るより秋良が戻って来てくれる方がいいだろ??分かったら、そのいつまでも俺の胸ぐらを掴んでいる手を放してくれない??」
俺は、何も言えなかった。
だって、龍の目には、今にもこぼれ落ちそうなほどの涙が溜まっていたのだから。
俺はその瞬間、自らの無力さを感じてしまい、龍の部屋のドアが、冷たく閉ざされた後も、暫くその場所から離れることが出来なかった。
秋良が、戻ってくればいいだって??
そんなわけ無いだろ??
秋良が戻ってきて、龍がいなくなったんじゃ、結局、秋良がいない今と状況は、変わらない。
それどころか秋良は、正気を失ってしまうかもしれない。
だって、秋良はこのシェアハウスの誰よりも、人思いだから。
俺も、そんな秋良に助けられて、また踊ることを始めたんだ。
秋良のおかげで今の俺がある。
いいや、秋良だけじゃない。
このシェアハウス皆のお陰で、俺は、悲しい過去を塗り替えることが出来たんだ。
このシェアハウスの住人皆がいないと、俺はやっぱり...駄目だ...やっていけないよ。
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