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「秋良を捜して三千里。」
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結局、家出した秋良が見つからないまま、暫く時が経ち、シェアハウスの仲間から、完全に笑顔が消えた。
「...青にー、俺のヘアピンどこやったんだよ!!もぉ、時間ないのに...!!」
「はぁ??...俺は、知らないし。...と言うよりも、勝手に決めつけるなよ!!」
「んだと!?...やんのか!!」
「ふん、お前ごときが俺に勝てるはずないだろ??...孤児で弱虫だったお前に何が出来る。」
「っ...青にー、言っていい事と悪いことがあるだろ??」
こう言って、家に帰ってきて早々の青ちゃんに喧嘩をふっかけては、毎回泣かされている虎太郎。
前は、こんなこと無かったのに...。
原因は、秋良がいなくなって皆がむしゃくしゃしているからだと思うけど...。
俺は、もうどうしようもなくて...キッチンで見て見ぬふりをしている。
そんな事でいいのかって???
良いわけが無い...が、今の俺には何も出来ない。
そんな俺の心情を分かってくれているのは...䴇だけだ。
もう、このシェアハウスは修復不可能なところまで来てしまったんだ。
「...あの、鈴斗さん?少しいいですか??」
「ん??あぁ、䴇か。おかえり。」
俺に遠慮がちに声をかけたのは、バイトから帰ってきた䴇だった。
俺は、ニッコリと微笑むと䴇と共に外を散歩することにした。
「...それで、どうしたの??」
「あの...鈴斗さんにだけは、本当のこと話しておこうと思って...。俺...実は、龍さんと秋良さんの仲をわざと壊すために...このシェアハウスに来たんです。...本当は、言う気なんてさらさらなかった...。でも、シェアハウスの人は、みんないい人で...虎太郎くんは、ゲームのやり方を教えてくれた...青波さんは、大学の分からない問題を教えてくれた。...それに、龍さんは...大学でばったり会った時、俺に対して警戒心があったはずなのに...声をかけてくれた。『知ってたよ。...薄々...君が何か企み仕組んで、秋良と龍を離れさせたことは...分かってた。...でも、君は...なにか理由があって、秋良と龍を別れさせたんだよね...??...大丈夫。誰にも言わないから。だから、もし話せる時が来たら、相談してね。』...っ、怒らないんですか??『怒るって言ったって...。君がそんな顔してたら、怒るに怒れないんだよね...。』...っ。」
そう...本当は、俺たちのシェアハウスをめちゃくちゃにしたこの子の事を、今すぐに殴ってやりたいって思うんだけど...。
でもね、俺に話をしてくれていた時の、䴇の顔は、酷く歪んでて...自分がやったことが、いかに悪いことなのか、本当は、こんなことしたくないのに。
って、そう俺に語りかけてきていたから。
だから、俺は...この子の秘密を誰にも言わないと決めたんだ。
だって、もし俺がこの事を、シェアハウスのみんなに言ったら...きっと秋良だけじゃなく...この子までもが、心に深い傷を負ってしまう気がして...。
そんなの...嫌だろ...少なくとも俺はそう思った。
だから、こんな行動をとったんだろうな...。
「...青にー、俺のヘアピンどこやったんだよ!!もぉ、時間ないのに...!!」
「はぁ??...俺は、知らないし。...と言うよりも、勝手に決めつけるなよ!!」
「んだと!?...やんのか!!」
「ふん、お前ごときが俺に勝てるはずないだろ??...孤児で弱虫だったお前に何が出来る。」
「っ...青にー、言っていい事と悪いことがあるだろ??」
こう言って、家に帰ってきて早々の青ちゃんに喧嘩をふっかけては、毎回泣かされている虎太郎。
前は、こんなこと無かったのに...。
原因は、秋良がいなくなって皆がむしゃくしゃしているからだと思うけど...。
俺は、もうどうしようもなくて...キッチンで見て見ぬふりをしている。
そんな事でいいのかって???
良いわけが無い...が、今の俺には何も出来ない。
そんな俺の心情を分かってくれているのは...䴇だけだ。
もう、このシェアハウスは修復不可能なところまで来てしまったんだ。
「...あの、鈴斗さん?少しいいですか??」
「ん??あぁ、䴇か。おかえり。」
俺に遠慮がちに声をかけたのは、バイトから帰ってきた䴇だった。
俺は、ニッコリと微笑むと䴇と共に外を散歩することにした。
「...それで、どうしたの??」
「あの...鈴斗さんにだけは、本当のこと話しておこうと思って...。俺...実は、龍さんと秋良さんの仲をわざと壊すために...このシェアハウスに来たんです。...本当は、言う気なんてさらさらなかった...。でも、シェアハウスの人は、みんないい人で...虎太郎くんは、ゲームのやり方を教えてくれた...青波さんは、大学の分からない問題を教えてくれた。...それに、龍さんは...大学でばったり会った時、俺に対して警戒心があったはずなのに...声をかけてくれた。『知ってたよ。...薄々...君が何か企み仕組んで、秋良と龍を離れさせたことは...分かってた。...でも、君は...なにか理由があって、秋良と龍を別れさせたんだよね...??...大丈夫。誰にも言わないから。だから、もし話せる時が来たら、相談してね。』...っ、怒らないんですか??『怒るって言ったって...。君がそんな顔してたら、怒るに怒れないんだよね...。』...っ。」
そう...本当は、俺たちのシェアハウスをめちゃくちゃにしたこの子の事を、今すぐに殴ってやりたいって思うんだけど...。
でもね、俺に話をしてくれていた時の、䴇の顔は、酷く歪んでて...自分がやったことが、いかに悪いことなのか、本当は、こんなことしたくないのに。
って、そう俺に語りかけてきていたから。
だから、俺は...この子の秘密を誰にも言わないと決めたんだ。
だって、もし俺がこの事を、シェアハウスのみんなに言ったら...きっと秋良だけじゃなく...この子までもが、心に深い傷を負ってしまう気がして...。
そんなの...嫌だろ...少なくとも俺はそう思った。
だから、こんな行動をとったんだろうな...。
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