秋良のシェアハウス 2 〜新たな住人??〜

日向 ずい

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「俺は...何を...どうしたいんだ?」

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 俺は鈴斗さんに言われて、モヤモヤする気持ちを洗い流すようにお風呂に入っていた。

 正直、鈴斗さんの話を聞くのは、とても心が辛かった。

 だって、俺が兄ちゃんの復讐をするために、このシェアハウスに来て秋良と龍の仲を引き裂けば、俺は叶芽に復讐を果たして、狩人をぶっ潰すことが出来る...そう思って...。

 ただ、この事だけを考えて、このシェアハウスに来たのに......。

 なんでだよ...。

 なんで、秋良も鈴斗さんもあんなに優しい人なんだよ。

 なんで龍は、俺が秋良を取ろうとしたのに、あっさり俺に譲ったみたいに言ってんだよ!!

 俺は、どうすれば良かったんだろう。

 もっと秋良や龍が...シェアハウスの住人みんなが、嫌な奴だったら良かったのに。

 叶芽みたいに復讐したくなるような...そんな男たちだったら良かったのに!!

 ...くそっ、俺はなんとしても、叶芽にも狩人にも復讐しなくちゃ、いけないんだよ!!

 例え、俺が...俺の人生が......他人の人生がぐちゃぐちゃになっても。

 俺は、嫌な考えを振るい捨てて湯船から上がると、風呂よりも熱いお湯をシャワーで浴びて、自らの心に芽生えかけた優しさというつぼみを、無理やり枯らしたのだった。

 こうでもしないと、このシェアハウスの住人に同情してしまいそうだったから。

 ため息をつきながら俺は服を着ると、冷たい水を洗面所で顔にかけ、お風呂場を後にし、二階の自室へと向かうのだった。

 俺は、この時初めて孤独の辛さ、寂しさ...心細さを感じたのだった。

 兄ちゃん、ごめんね。

 俺は、兄ちゃんの思っているような人思いのいい子じゃないんだよ...。

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