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「叶芽ちゃんのことは...。」
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「なぁ、龍と秋良を別れさせて...お前らは、何がしたいんだ??」
「ん??...別に何も??...ただ、狩人の規則には、神楽はいかなる時も、狩人のもの。神楽に手を出すやつは、誰でも容赦せずに排除することって、決まりがあるからね!でもまぁ、確かにそうよね...。私たちの神楽様たちなんだから、手を出すことは誰であろうとこの手で排除することは、当然よ!...ねぇ??叶芽もこう思うでしょ??」
「...っ...あっ、あぁ、そうだな!...それよりも、さえちゃんとゆりちゃん、俺と遊ばん??『えー、もうやだ~!』」
俺は...いつまでこんなことをしなければならないんだろうか...??
そう...俺が、コイツらに手を貸すのは、十希(とき)を救うため...䴇ちゃんがこの大学に来て...狩人に入ったのも、きっと十希の復讐のためだろうな...。
でも、復習のターゲットは...きっと奴らじゃなくて...俺だ...。
ゴメンな...俺が弱いばかりに、十希を救えなくて...。
俺がまだ大学一年の時...海紗楽 十希(みさら とき)と俺...奎佐木 叶芽(ふみさき かなめ)は、仲のいいどこにでも居る普通の大学生だった。
なのにある日、そう...俺は神楽として狩人に狙われる存在になっていたのだった。
ストーカーまがいの狩人が、俺と十希の関係を知るのに、そう時間はかからなかった。
俺と十希は、恋人同士だったんだ。
告白してきたのは...十希だった。
でも、俺は十希の何倍も、十希のことが好きだったと思う。
俺達は、何度も身体を重ね...将来のことも真剣に考えていた。
そんな時...奴らが動き出したんだ、悪魔のような狩人たちが...。
俺と十希の関係を知ったヤツらは、訳の分からない規則の元で、俺たちを別れさせようといろんな手を使ってきた。
だが、俺達はそんな狩人の邪魔する隙さえないほど、互いに愛し合い...必要とし合っていたんだ。
俺が、十希に『十希...俺達は、このまま...この関係を続けても大丈夫なのだろうか...??』
と言った時、十希は、優しい顔をして俺の背中に手を回して、ギュッと抱きしめると
『...大丈夫だよ。何があっても...叶芽のことは、俺が守るから。ねぇ??だから、何も心配することは無いよ。』
と言ってくれたんだ。
俺は、その時初めて十希の前で泣いた...。
十希は、俺の全てを理解して優しい愛を与えてくれた、俺の大切な人だったんだ。
俺の家は、崩壊していたんだ。
いわゆる家庭崩壊ってやつ??
...母親は、仕事一筋の父親に嫌気がさし、愛情が欲しいとお金で愛と、うり二つのホストに金を貢ぎ出した。
そして、お金が無いからと...遂には闇の仕事にまで手を出し始めた。
...それを知った父親は、母親の気持ちを汲み取ろうともせず、離婚届を机の上に置いて、俺たちを捨てて、出ていった。
そして、俺の姉ちゃんは...母親と父親の様子に、心を病んで...逃げ道として薬物に手を出し始めた...。
そして、薬物の副作用で、いつしか不安に駆られた姉ちゃんは、俺の部屋に来ると...俺を、父親だと思いこみ、台所から包丁を持ってくると...俺を殺そうと襲いかかってくるようになった。
俺は...その状況に耐えられなくなり、母親と姉ちゃんを家に残し、大学に入学すると共に、奨学金制度を利用して、家を出た。
...いや、正確には...家族がどんどん変化していくことに、心が耐えられなくなり、逃げたんだ。
弱虫の俺は...逃げ出したんだ。
大学に入ってすぐに...俺は、生きている意味を考えるようになったんだ。
怖かった...いくら考えても...俺が、生きている意味が分からなかったから。
...俺は次第に、自分がこの人生において必要ないなら...死んで、この世界と別れを告げた方がいいのではないのか?
あと、50年以上も...生きるなんて、気が遠くなる...だったら、今楽に死んどいた方がいいのではないのか?
こう考えて遂に、今日...最高に美味しいものを食べて、最高に楽しい夢を見て、最高にあったかい気持ちになってから...この身を終わらせようと決意して、俺は...一番幸せだった時の家族で行った、ファミレスに足を運んだんだ。
そこなら、あの頃のあたたかかった家族の温もり...そして、姉ちゃんの面白い雑学...母さんの優しい話し声...父さんの、家族を思うあったかい目線...すべて...すべて、俺の記憶に残っている。
あぁ、あの頃は...毎日が幸せだった。
本当に...幸せだったんだ...。
俺はこんなことを考えながら、家族できた時と同じメニューを頼んだ。
姉ちゃんは、いっつもパスタを食べてたな...。
父さんは、和食が好きだから...食べるものに困って結局、ガッツリハンバーグ食べてたし。
...そして母さんは、いつもピザを頼んでいた。
俺がなんでいつもピザを頼むの??
って聞いた時、母さんは
『みんなで分け合えるからよ。』
って笑ってくれたっけ。
そして俺は...俺は、何を頼んでいたんだろうか...。
あっ、そうだ。
辛いカレーを頼んでいたんだ。
...俺は、辛いものが苦手で本当は、ドリアとかが食べたかったけど...。
わざと辛いものを食べていたんだ。
理由は...簡単、辛い辛いって言って...姉ちゃんからパスタを...父さんからハンバーグを...母さんから、ピザを貰うため。
何も、みんなの料理が食べたかったわけじゃない...ただ家族の愛を...実感していたかったから。
だから、俺は...一人で食べきれないにも関わらず、あの頃の家族で食べていた料理全てを頼んだ...スプーンやフォークも...家族分貰った。
バイトの人に...すごく変な顔されたのは、今でもよく覚えている。
...そんな俺の元に料理を運んできたのが、十希だったんだ。
「ん??...別に何も??...ただ、狩人の規則には、神楽はいかなる時も、狩人のもの。神楽に手を出すやつは、誰でも容赦せずに排除することって、決まりがあるからね!でもまぁ、確かにそうよね...。私たちの神楽様たちなんだから、手を出すことは誰であろうとこの手で排除することは、当然よ!...ねぇ??叶芽もこう思うでしょ??」
「...っ...あっ、あぁ、そうだな!...それよりも、さえちゃんとゆりちゃん、俺と遊ばん??『えー、もうやだ~!』」
俺は...いつまでこんなことをしなければならないんだろうか...??
そう...俺が、コイツらに手を貸すのは、十希(とき)を救うため...䴇ちゃんがこの大学に来て...狩人に入ったのも、きっと十希の復讐のためだろうな...。
でも、復習のターゲットは...きっと奴らじゃなくて...俺だ...。
ゴメンな...俺が弱いばかりに、十希を救えなくて...。
俺がまだ大学一年の時...海紗楽 十希(みさら とき)と俺...奎佐木 叶芽(ふみさき かなめ)は、仲のいいどこにでも居る普通の大学生だった。
なのにある日、そう...俺は神楽として狩人に狙われる存在になっていたのだった。
ストーカーまがいの狩人が、俺と十希の関係を知るのに、そう時間はかからなかった。
俺と十希は、恋人同士だったんだ。
告白してきたのは...十希だった。
でも、俺は十希の何倍も、十希のことが好きだったと思う。
俺達は、何度も身体を重ね...将来のことも真剣に考えていた。
そんな時...奴らが動き出したんだ、悪魔のような狩人たちが...。
俺と十希の関係を知ったヤツらは、訳の分からない規則の元で、俺たちを別れさせようといろんな手を使ってきた。
だが、俺達はそんな狩人の邪魔する隙さえないほど、互いに愛し合い...必要とし合っていたんだ。
俺が、十希に『十希...俺達は、このまま...この関係を続けても大丈夫なのだろうか...??』
と言った時、十希は、優しい顔をして俺の背中に手を回して、ギュッと抱きしめると
『...大丈夫だよ。何があっても...叶芽のことは、俺が守るから。ねぇ??だから、何も心配することは無いよ。』
と言ってくれたんだ。
俺は、その時初めて十希の前で泣いた...。
十希は、俺の全てを理解して優しい愛を与えてくれた、俺の大切な人だったんだ。
俺の家は、崩壊していたんだ。
いわゆる家庭崩壊ってやつ??
...母親は、仕事一筋の父親に嫌気がさし、愛情が欲しいとお金で愛と、うり二つのホストに金を貢ぎ出した。
そして、お金が無いからと...遂には闇の仕事にまで手を出し始めた。
...それを知った父親は、母親の気持ちを汲み取ろうともせず、離婚届を机の上に置いて、俺たちを捨てて、出ていった。
そして、俺の姉ちゃんは...母親と父親の様子に、心を病んで...逃げ道として薬物に手を出し始めた...。
そして、薬物の副作用で、いつしか不安に駆られた姉ちゃんは、俺の部屋に来ると...俺を、父親だと思いこみ、台所から包丁を持ってくると...俺を殺そうと襲いかかってくるようになった。
俺は...その状況に耐えられなくなり、母親と姉ちゃんを家に残し、大学に入学すると共に、奨学金制度を利用して、家を出た。
...いや、正確には...家族がどんどん変化していくことに、心が耐えられなくなり、逃げたんだ。
弱虫の俺は...逃げ出したんだ。
大学に入ってすぐに...俺は、生きている意味を考えるようになったんだ。
怖かった...いくら考えても...俺が、生きている意味が分からなかったから。
...俺は次第に、自分がこの人生において必要ないなら...死んで、この世界と別れを告げた方がいいのではないのか?
あと、50年以上も...生きるなんて、気が遠くなる...だったら、今楽に死んどいた方がいいのではないのか?
こう考えて遂に、今日...最高に美味しいものを食べて、最高に楽しい夢を見て、最高にあったかい気持ちになってから...この身を終わらせようと決意して、俺は...一番幸せだった時の家族で行った、ファミレスに足を運んだんだ。
そこなら、あの頃のあたたかかった家族の温もり...そして、姉ちゃんの面白い雑学...母さんの優しい話し声...父さんの、家族を思うあったかい目線...すべて...すべて、俺の記憶に残っている。
あぁ、あの頃は...毎日が幸せだった。
本当に...幸せだったんだ...。
俺はこんなことを考えながら、家族できた時と同じメニューを頼んだ。
姉ちゃんは、いっつもパスタを食べてたな...。
父さんは、和食が好きだから...食べるものに困って結局、ガッツリハンバーグ食べてたし。
...そして母さんは、いつもピザを頼んでいた。
俺がなんでいつもピザを頼むの??
って聞いた時、母さんは
『みんなで分け合えるからよ。』
って笑ってくれたっけ。
そして俺は...俺は、何を頼んでいたんだろうか...。
あっ、そうだ。
辛いカレーを頼んでいたんだ。
...俺は、辛いものが苦手で本当は、ドリアとかが食べたかったけど...。
わざと辛いものを食べていたんだ。
理由は...簡単、辛い辛いって言って...姉ちゃんからパスタを...父さんからハンバーグを...母さんから、ピザを貰うため。
何も、みんなの料理が食べたかったわけじゃない...ただ家族の愛を...実感していたかったから。
だから、俺は...一人で食べきれないにも関わらず、あの頃の家族で食べていた料理全てを頼んだ...スプーンやフォークも...家族分貰った。
バイトの人に...すごく変な顔されたのは、今でもよく覚えている。
...そんな俺の元に料理を運んできたのが、十希だったんだ。
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