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「はぁ...やっぱり一人はいいな。」
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「䴇ちゃん??...その飲み物、あのテーブル置いたら、今日は上がっていいよ。」
「あっ、はい。...分かりました!」
俺は、いつもの様に時給が高い居酒屋でバイトをしていた。
今日も、普段通り飲み物を出したら、上がっていいって言われたから、テーブルにビールを運びに行ったんだ。
「大変お待たせ致しました、生ビールでございます。」
こう言って、席を去ろうとした俺の腕を強引に掴み、引き止めたのは、俺がビールを運んでやった客だった。
俺は、イラッとしたが、バイト中であるため笑顔を崩さずに、腕を掴んできた客を振り返った。
「...あの~、なにか御用でしょうか...?『なぁ、ねぇちゃん...めっちゃ可愛い顔してんな~。ちょっと、飽きてたところやから、話し相手になってぇ~やぁ!』...いや、あの...大変申し訳ないのですが、仕事の最中ですので...『あ??...客の相手をすんのが仕事やろ??...俺の相手はできんゆうんか???』...いえ、決してそういう訳では無いのですが...その...。」
俺は、イライラしていたが、ぐっと怒りを抑えると、どうやってこの状況を切り抜けようか、必死で頭をフル回転させていた。
そんな俺の様子に構いもせず、男の客は、おもむろにズボンの上から俺の太ももを触ってきた。
俺は、全身鳥肌が走り、今すぐにでもこの客をぶっ叩きたかったが、ここは店で俺は、バイト...下手なことをすれば、バイトをクビにさせられることを考え、抵抗出来ずにいた。
すると...次の瞬間、男性客の腕をひっつかむと同時に、斜め上からとても低い声が男に向けられ、放たれたのを聞いた。
「...あの、うちの住人に何か御用でしょうか??...と言うよりも、おじさんも趣味が悪いですよね...??この子...男の子なのに...。(笑)」
「はぁ???...お前誰だよ??趣味が悪いだ~ぁ??ふん、てめぇに言われたかねぇよ!この若作り野郎が!!」
俺の目の前にいたのは、鈴斗さんだった。
なんで、鈴斗さんがここに居るのかは分からなかったが、それよりもさっきから男を睨みつける鋭い目と、威圧感が尋常ではなかった。
そんな鈴斗さんに、お酒に酔っているせいか、平気な顔をして反論してくる客に対して、鈴斗さんは男性客の耳元で何か囁くと、次の瞬間、男性客の腕を思い切り捻ったのだ。
「...っ!??痛っ...痛たたたた!!!!!...この馬鹿っ!離せ!!!...うっ...痛っ...おっ、折れる折れる!!!...馬鹿!!!シャレにならんわ!!!」
「...では、この男の子に謝って...とっととお金払って帰ってもらえますか??...ではないと、次はさっきあなたに耳うったこと...実行しますよ???『わっ...分かったよ!!!...姉ちゃんゴメンな。...ほら、代金...釣り要らないから!』...うん、よく出来ました!...もう、来んなよ??」
客は、鈴斗さんに腕を捻られ痛さのあまり、額から冷や汗をダラダラと流しだした。
そんな客の様子に、笑みを深くした鈴斗さんは、客に俺に謝罪することと、この店に来ないことを条件に腕を離すと言い出したため、客は、慌てて俺に謝罪をしてお金を机に置き、さっさと帰っていったのだった。
事が終わり、ただ、呆然と立ち尽くす俺に、鈴斗さんは、ニッコリと笑顔を作ると俺の頭を軽く撫でてこう言った。
「...無事でよかった。...そんな事よりも、バイト...大変だね。お疲れ様。...家に帰ってきたら、何か甘いものでも作っておくから、皆で食べようね。...じゃあ、俺は、会社の人待たせてるからまた後でね。」
こう言い残すとレジで会計をしていた先輩に頭を下げて、店を出ていった。
鈴斗さん...って、見かけによらずに強くて、いい人だな。
...って、俺。何考えてんだか...。
一人の方が、気楽だったのに...いや、今も一人の方が気楽だろ!?
はぁ...早くシェアハウスの自分の部屋に帰ろ...。
こう考えると、䴇は社員の人に『お疲れ様です!』と、100パーセント作り笑いで口にすると、帰路につくのであった。
「あっ、はい。...分かりました!」
俺は、いつもの様に時給が高い居酒屋でバイトをしていた。
今日も、普段通り飲み物を出したら、上がっていいって言われたから、テーブルにビールを運びに行ったんだ。
「大変お待たせ致しました、生ビールでございます。」
こう言って、席を去ろうとした俺の腕を強引に掴み、引き止めたのは、俺がビールを運んでやった客だった。
俺は、イラッとしたが、バイト中であるため笑顔を崩さずに、腕を掴んできた客を振り返った。
「...あの~、なにか御用でしょうか...?『なぁ、ねぇちゃん...めっちゃ可愛い顔してんな~。ちょっと、飽きてたところやから、話し相手になってぇ~やぁ!』...いや、あの...大変申し訳ないのですが、仕事の最中ですので...『あ??...客の相手をすんのが仕事やろ??...俺の相手はできんゆうんか???』...いえ、決してそういう訳では無いのですが...その...。」
俺は、イライラしていたが、ぐっと怒りを抑えると、どうやってこの状況を切り抜けようか、必死で頭をフル回転させていた。
そんな俺の様子に構いもせず、男の客は、おもむろにズボンの上から俺の太ももを触ってきた。
俺は、全身鳥肌が走り、今すぐにでもこの客をぶっ叩きたかったが、ここは店で俺は、バイト...下手なことをすれば、バイトをクビにさせられることを考え、抵抗出来ずにいた。
すると...次の瞬間、男性客の腕をひっつかむと同時に、斜め上からとても低い声が男に向けられ、放たれたのを聞いた。
「...あの、うちの住人に何か御用でしょうか??...と言うよりも、おじさんも趣味が悪いですよね...??この子...男の子なのに...。(笑)」
「はぁ???...お前誰だよ??趣味が悪いだ~ぁ??ふん、てめぇに言われたかねぇよ!この若作り野郎が!!」
俺の目の前にいたのは、鈴斗さんだった。
なんで、鈴斗さんがここに居るのかは分からなかったが、それよりもさっきから男を睨みつける鋭い目と、威圧感が尋常ではなかった。
そんな鈴斗さんに、お酒に酔っているせいか、平気な顔をして反論してくる客に対して、鈴斗さんは男性客の耳元で何か囁くと、次の瞬間、男性客の腕を思い切り捻ったのだ。
「...っ!??痛っ...痛たたたた!!!!!...この馬鹿っ!離せ!!!...うっ...痛っ...おっ、折れる折れる!!!...馬鹿!!!シャレにならんわ!!!」
「...では、この男の子に謝って...とっととお金払って帰ってもらえますか??...ではないと、次はさっきあなたに耳うったこと...実行しますよ???『わっ...分かったよ!!!...姉ちゃんゴメンな。...ほら、代金...釣り要らないから!』...うん、よく出来ました!...もう、来んなよ??」
客は、鈴斗さんに腕を捻られ痛さのあまり、額から冷や汗をダラダラと流しだした。
そんな客の様子に、笑みを深くした鈴斗さんは、客に俺に謝罪することと、この店に来ないことを条件に腕を離すと言い出したため、客は、慌てて俺に謝罪をしてお金を机に置き、さっさと帰っていったのだった。
事が終わり、ただ、呆然と立ち尽くす俺に、鈴斗さんは、ニッコリと笑顔を作ると俺の頭を軽く撫でてこう言った。
「...無事でよかった。...そんな事よりも、バイト...大変だね。お疲れ様。...家に帰ってきたら、何か甘いものでも作っておくから、皆で食べようね。...じゃあ、俺は、会社の人待たせてるからまた後でね。」
こう言い残すとレジで会計をしていた先輩に頭を下げて、店を出ていった。
鈴斗さん...って、見かけによらずに強くて、いい人だな。
...って、俺。何考えてんだか...。
一人の方が、気楽だったのに...いや、今も一人の方が気楽だろ!?
はぁ...早くシェアハウスの自分の部屋に帰ろ...。
こう考えると、䴇は社員の人に『お疲れ様です!』と、100パーセント作り笑いで口にすると、帰路につくのであった。
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