秋良のシェアハウス 2 〜新たな住人??〜

日向 ずい

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「シェアハウス...女子化事件...!」

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 講義を3限まで受けると秋良は、4限がある龍よりも、ひと足先にシェアハウスへと帰るのだった。

 家に帰ると、鈴斗は珍しく仕事に出ていたため、家には誰もいなかった。

 秋良は、久しぶりのひとりの時間に心を休ませながら、リビングのソファへと力なく倒れ込んだのだった。

「はぁ...やっとひとりの時間だ~...もう、やってられない...。うっ...うーん、何だか眠気が...。」

 秋良は、ソファでくつろぐなり、ひどい眠気に襲われ、次の瞬間...規則正しい寝息を立てながら、スヤスヤと夢の世界に落ちるのだった。

 ここは...??

「ちょっと...秋良??いつまで眠っているの??ほら、起きないと...。」

 ...あれ??俺っていつの間にか、眠っちゃった??...あー、やっちゃった...鈴斗さん怒ってるよ...。

「...うーん、鈴斗さんごめんなさい...ちょっと眠気に勝てなくて...って...えっ!????鈴斗さん!???」

 俺が驚いたのも当たり前...目を覚ました俺の目の前になんと...お下げ髪姿の鈴斗さんが、俺の顔を覗き込んでいたのだから...。

 俺は咄嗟に飛び起きて、辺りを見回したが...そこは、いつものシェアハウスのリビングだった。

 嘘だ...絶対、悪い夢だよな...。だって、鈴斗さんが...女の子に...。

 俺が、頭の中を必死に整理していると、玄関の扉が開いた音がして、すぐにリビングのドアが開かれた。

「...ただいま。鈴ねー。」

「...あぁ、おかえり!!青ちゃん!!秋良がね、リビングのソファで寝ちゃってたのよ???...青ちゃんからも、なんかいってやってちょうだい???」

「あー、分かったよ...、秋良??鈴ねーも大変なんだから、いつまでも心配かけたらいけないわよ??」

「...えっ...なんで女言葉...。」

 青波さん...嘘だと言ってくれ!!頼む!!キャラが違いすぎて、頭が本当に追いつかない...。

「...とにかく、鈴ねーのことを考えてあげてね??...それから、この後、次の動画の話があるから、私の部屋に来てちょうだい??」

「...って、はい...じゃなくて、私って!?」

 俺の問いかけも虚しく、青波さんは、疲れているのか、サッと二階にある自分の部屋へと帰っていった。

 そんな青波さんと同じく、キッチンに戻っていった鈴斗さんを見送ると、俺は...ひとり頭を項垂れるのだった。

 だって、どう考えてもおかしいだろ???目を覚ましたら、鈴斗さんも青波さんも...女の人になっちゃってるんだから!!!

 しかも、鈴斗さんはお下げ髪って...え!???戦時中の人???...何...しかも...エプロンの下にもんぺ着てたし...真面目に、昭和じゃん...。

 ...確かに、鈴斗さんは、逆算すると昭和生まれだけど...だからって...。

 俺は、頭をフル回転させると、理解不能なこの状況に嫌気がさし、思考を停止させ、青波さんに言われた通り、2階の青波さんの部屋へと足を運ぶことにしたのだった。

 ノックも早々に、部屋のドアを開けた青波さんに俺は、幻滅してしまった。

「...あのー、青波さん...お話って......いやー!!!!!ぎゃー!!!!!!」

「もう、うるさいわねぇ!!」

 ...ちょっと待って!!!変態がいるよ~!!!!

 ...なんで、青波さん...貴方、JK制服着てるんですか!??えっ!!!意味わからないでしょ!?

 しかも、何...何!?背後にあるのは...まさか、先週の講義でやった陶器製のトイレ第一号!?...えっ、俺...今からなんの話されるの!?

「はい...ではねぇ...教科書、157ページを開いて??...今日は、陶器製のトイレが、いかに有能かについて話していきますぅね~。難しいので、よーく聞いておいてくださいねぇ~。」

 ...いやいやいやいや、明らかトイレじーちゃんの講義じゃねぇかよ!!!!

 しかも、なんで???えっ...青波さんが...おじいちゃんに...なんで!?

「これっ!!...神代くん。トイレの復習をしてこなかっただろう??何故だ!?あれほど大切だと言ったのに。」

 いや、待って!!...じーちゃん、トイレの復習そんなに大事か!?

 俺は、訳が分からなくなり、目の前の青波さんではなくなった、トイレじーちゃんの講義を受けながら、必死に答えを探していた。

「神代くん、罰として君にはトイレの学習...5年の旅を命じる。さぁ、とっとと行ってくるのじゃ!!」

「ちょっ...ちょっと待ってくださいよ!!!さすがに...5年は長すぎます!!!」

「トイレマスターになるまでは、帰ってくることを、許さないからなぁ!?...ほら、早く行くんじゃ。このトイレが、トイレの国に通じる扉だ。さぁ、つべこべ言わずに、はよう行くんじゃ。」

 俺は、近づいてくるトイレの恐怖に思わず、絶叫すると...。

「ん!?...あれっ...はぁ...なんだ~、夢か...、たくっ...ひどい夢だな。...やっぱり...トイレの勉強復習しておこう...鈴斗さんや青波さんが、女の人になったら、嫌だし...トイレ5年の勉強会にも行きたくないしな...。」

 俺が目を覚ましたのは、いつの間にか眠りに落ちていたソファの上であった。

 この瞬間、秋良はさっきのは夢だったのだと悟り、深いため息をひとつつくと、さっきの夢を思い出し、独りでトイレの復習を行うことを決意したのであった。

「おじいちゃん...何だか、本当にトイレの世界に転送させれそうだし...。しっかり勉強しておくに越したことはないや...うん...きっとそうだ!!」

 こう言って、冷や汗をかいている秋良の様子を知るものは、現在ひとりのシェアハウスに誰もいないのであった。
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