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「I'm home!」
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秋良は、進まない脚で...家に着くと、シェアハウスのドアを勢いよく開いた。
すると、ドアの音に気づいたのか、リビングからエプロン姿が、似合いすぎて逆に怖い鈴斗(すずと)が出てきた。
「あっ、おかえり~秋良!...もうすぐご飯できるから、お風呂にって思ったけど...今日は、青ちゃんと踊りに行くんだったね。...青ちゃん、秋良と踊るのすごく楽しいみたいだから、これからも青ちゃんと仲良くしてあげてね!...あっ、まずい、鍋を火にかけっぱなしだった...。吹きこぼれてないといいけど...。」
鈴斗は、こう言うと足早にリビングへと戻っていくのだった。
そんな鈴斗の様子を見ながら、秋良はさっきの鈴斗の言葉を思い出して、ほほ笑みを浮かべていたのだった。
「鈴斗さんは、ほんと...青波さんのこと大切に思ってるんだな...まぁ、小さい時からの馴染みだったら、そうなのかな...??...よし、俺も青波さんの足引っ張らないように振りの復習でもしとこうかな??」
秋良は、独りでこう呟くと玄関を上がり、服を着替えるために自室に戻るのだった。
「...ただいま。」
秋良が帰ってきて暫くしてから、再び玄関のドアが開いた。
その音に気づいた鈴斗は、料理の手を止めて、再び玄関へと足を向けた。
「あっ、青ちゃん!...おかえり。秋良なら、もう帰ってきてるよ??青ちゃんの足引っ張りたくないからって、さっきから家の庭で振りの練習してるみたい!」
「...そうなのか???...分かった、鈴にー、ありがとう。」
青波は、鈴斗にそれだけ言うと玄関でサッと靴を脱ぎ、リビングを抜けた先にある、大きな窓から庭の方へと向かっていった。
「...ん??...あれ??...嘘っ...さっき、青ちゃん...俺の事、鈴にーって...えっ...えええぇ!!!!!...ちょっと、青ちゃん!??...何っ、熱でもあるの!???昔の呼び方してくれるのは、嬉しいけど...いや、青ちゃんの柄じゃない!!!...ねぇ!?青ちゃん!!!!」
そんな青波に、ニッコリと笑みを向けていた鈴斗だったが、青波の言葉を思い出した途端、目を見開いて急いで青波を追いかけたのだった。
「いただきまーす!!!」
「あっ、鈴斗さん...また、俺の嫌いなトマト...『虎太郎??ちゃんと食べないと、秋良に嫌われちゃうよ???』...っ...ねぇ、秋良...秋良は、俺の事...嫌ったりなんかしないよね???」
秋良と青波が踊りから帰ってきて、みんなで夕飯を食べている時...虎太郎は、サラダにトマトが入っていることを、鈴斗に問いただした。
そんな虎太郎に、鈴斗は、困った顔をして秋良の方を見た。
秋良は、鈴斗の顔を見つめると、何かを納得したように、虎太郎に向かってこう話し出したのだった。
「虎ちゃん??...俺...好き嫌いせずになんでも食べる子...思わず撫でてあげたくなるんだけどなぁ...。(ごめんね、虎ちゃん。...でも、こうしないと...俺が後で鈴斗さんに虐められちゃうからさ...。という事で、頑張れ虎ちゃん。)」
「うっ...そうなの???...うっ...ううっ...それなら、頑張って食べ.........やっぱり食べられない!!!...そうだ!秋良が、食べさせてくれれば、食べられるかも!!『えっ!???』」
虎太郎の妙な提案に、その場にいた全員が、驚きの声を漏らした。
「...うーん、どうしようかな...。(あー、ほら...虎ちゃんってこういう時、無駄に頭が切れるからなぁ...。さぁて、どうしたものかな...でも、まぁ、食べさせてあげれば、済むことだし...仕方ないか...。)...分かった、食べさせてあげれば、食べてくれるんだね??」
「うん!!...秋良と一緒なら、どんなことでも出来るよ!」
秋良は、小さく息を吐くと、椅子から立ち上がり、右斜め前の虎太郎の席に歩いていった。
秋良にサラダの器を渡した虎太郎は、口を開けて、秋良に食べさせてもらう仕草をした。
「...秋良、あーん!!...はやく!!!」
「あー、分かったから...はい、あー『...ふぐっ!!??...ん......んんー!!......ゴクッ。...ちょっと!!!青にーなんで!!!』...えっ、青波さん!??」
「...ほら、秋良じゃなくても、食べられるじゃないか。...秋良も...気安く、虎太郎にあーんとかしてるんじゃない。」
「ちょっと...青波さん...離して...。」
「青ちゃん???...秋良が嫌がってるよ...。離してあげて...それに今は、夕飯の途中...行儀が悪いよ??」
虎太郎にトマトを、食べさせようとしていた秋良のお箸が、虎太郎の口に届く前に、虎太郎の隣の席に座っていた青波が、虎太郎の口に自分のお皿に乗ったトマトを思い切り突っ込んだ。
その瞬間、虎太郎が苦しそうな顔をして、素早くトマトを飲み込むと、青波にガンを飛ばして、怒り出した。
そんな虎太郎に、静かに言葉を返した青波は、虎太郎の隣で口をあんぐり開けている秋良のお腹に腕を回して、ぐっと自分の方に引き寄せた。
そんな青波の行動に、目の前で事の行方を見ていた鈴斗が、溜息をひとつつき、青波に秋良を離すように声をかけた。
青波は、呆れ顔の鈴斗をじっと見つめると...渋々、秋良を解放したのだった。
「全く...みんな秋良のこと好きすぎ。...秋良も大変だな。」
「そういう、龍は、違うの???」
「いや、違わなくはないけど...『じゃあ、龍にーは、今後一切秋良のお触り禁止ね??』...はぁ!??それとこれとは話が別だろ!?」
秋良は、自分の席に戻ると...みんなに気づかれないように、小さくため息をつくのだった。
すると、ドアの音に気づいたのか、リビングからエプロン姿が、似合いすぎて逆に怖い鈴斗(すずと)が出てきた。
「あっ、おかえり~秋良!...もうすぐご飯できるから、お風呂にって思ったけど...今日は、青ちゃんと踊りに行くんだったね。...青ちゃん、秋良と踊るのすごく楽しいみたいだから、これからも青ちゃんと仲良くしてあげてね!...あっ、まずい、鍋を火にかけっぱなしだった...。吹きこぼれてないといいけど...。」
鈴斗は、こう言うと足早にリビングへと戻っていくのだった。
そんな鈴斗の様子を見ながら、秋良はさっきの鈴斗の言葉を思い出して、ほほ笑みを浮かべていたのだった。
「鈴斗さんは、ほんと...青波さんのこと大切に思ってるんだな...まぁ、小さい時からの馴染みだったら、そうなのかな...??...よし、俺も青波さんの足引っ張らないように振りの復習でもしとこうかな??」
秋良は、独りでこう呟くと玄関を上がり、服を着替えるために自室に戻るのだった。
「...ただいま。」
秋良が帰ってきて暫くしてから、再び玄関のドアが開いた。
その音に気づいた鈴斗は、料理の手を止めて、再び玄関へと足を向けた。
「あっ、青ちゃん!...おかえり。秋良なら、もう帰ってきてるよ??青ちゃんの足引っ張りたくないからって、さっきから家の庭で振りの練習してるみたい!」
「...そうなのか???...分かった、鈴にー、ありがとう。」
青波は、鈴斗にそれだけ言うと玄関でサッと靴を脱ぎ、リビングを抜けた先にある、大きな窓から庭の方へと向かっていった。
「...ん??...あれ??...嘘っ...さっき、青ちゃん...俺の事、鈴にーって...えっ...えええぇ!!!!!...ちょっと、青ちゃん!??...何っ、熱でもあるの!???昔の呼び方してくれるのは、嬉しいけど...いや、青ちゃんの柄じゃない!!!...ねぇ!?青ちゃん!!!!」
そんな青波に、ニッコリと笑みを向けていた鈴斗だったが、青波の言葉を思い出した途端、目を見開いて急いで青波を追いかけたのだった。
「いただきまーす!!!」
「あっ、鈴斗さん...また、俺の嫌いなトマト...『虎太郎??ちゃんと食べないと、秋良に嫌われちゃうよ???』...っ...ねぇ、秋良...秋良は、俺の事...嫌ったりなんかしないよね???」
秋良と青波が踊りから帰ってきて、みんなで夕飯を食べている時...虎太郎は、サラダにトマトが入っていることを、鈴斗に問いただした。
そんな虎太郎に、鈴斗は、困った顔をして秋良の方を見た。
秋良は、鈴斗の顔を見つめると、何かを納得したように、虎太郎に向かってこう話し出したのだった。
「虎ちゃん??...俺...好き嫌いせずになんでも食べる子...思わず撫でてあげたくなるんだけどなぁ...。(ごめんね、虎ちゃん。...でも、こうしないと...俺が後で鈴斗さんに虐められちゃうからさ...。という事で、頑張れ虎ちゃん。)」
「うっ...そうなの???...うっ...ううっ...それなら、頑張って食べ.........やっぱり食べられない!!!...そうだ!秋良が、食べさせてくれれば、食べられるかも!!『えっ!???』」
虎太郎の妙な提案に、その場にいた全員が、驚きの声を漏らした。
「...うーん、どうしようかな...。(あー、ほら...虎ちゃんってこういう時、無駄に頭が切れるからなぁ...。さぁて、どうしたものかな...でも、まぁ、食べさせてあげれば、済むことだし...仕方ないか...。)...分かった、食べさせてあげれば、食べてくれるんだね??」
「うん!!...秋良と一緒なら、どんなことでも出来るよ!」
秋良は、小さく息を吐くと、椅子から立ち上がり、右斜め前の虎太郎の席に歩いていった。
秋良にサラダの器を渡した虎太郎は、口を開けて、秋良に食べさせてもらう仕草をした。
「...秋良、あーん!!...はやく!!!」
「あー、分かったから...はい、あー『...ふぐっ!!??...ん......んんー!!......ゴクッ。...ちょっと!!!青にーなんで!!!』...えっ、青波さん!??」
「...ほら、秋良じゃなくても、食べられるじゃないか。...秋良も...気安く、虎太郎にあーんとかしてるんじゃない。」
「ちょっと...青波さん...離して...。」
「青ちゃん???...秋良が嫌がってるよ...。離してあげて...それに今は、夕飯の途中...行儀が悪いよ??」
虎太郎にトマトを、食べさせようとしていた秋良のお箸が、虎太郎の口に届く前に、虎太郎の隣の席に座っていた青波が、虎太郎の口に自分のお皿に乗ったトマトを思い切り突っ込んだ。
その瞬間、虎太郎が苦しそうな顔をして、素早くトマトを飲み込むと、青波にガンを飛ばして、怒り出した。
そんな虎太郎に、静かに言葉を返した青波は、虎太郎の隣で口をあんぐり開けている秋良のお腹に腕を回して、ぐっと自分の方に引き寄せた。
そんな青波の行動に、目の前で事の行方を見ていた鈴斗が、溜息をひとつつき、青波に秋良を離すように声をかけた。
青波は、呆れ顔の鈴斗をじっと見つめると...渋々、秋良を解放したのだった。
「全く...みんな秋良のこと好きすぎ。...秋良も大変だな。」
「そういう、龍は、違うの???」
「いや、違わなくはないけど...『じゃあ、龍にーは、今後一切秋良のお触り禁止ね??』...はぁ!??それとこれとは話が別だろ!?」
秋良は、自分の席に戻ると...みんなに気づかれないように、小さくため息をつくのだった。
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