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木山春斗の勇者録~オクタヴィアサンクチュアリ~

フレイア・ドミニオン

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「ライラさんが英雄ってどういう意味だ……?」
「まんまの意味だよ」

 いったい何が起きたっていうんだ。

「彼女は、町を救ったのさ。神からね」
「神から……町を……?」
「そう。町を救った英雄」
「じゃあ……やっぱり君は……」
「……?」
「君、もしかしてライラさんの娘なんじゃないか……?」
「え?」

 そうだ。それ以外ありえない。

「あ、あんた……何言ってんのさ……」
「いや、確かに君は、ライラ・フォーンの娘だ」
「何を証拠に……」
「だってほら。君のその首輪、ライラさんのと同じじゃないか」
「え……?」

 どうやら、彼女はそこに気付いてなかったらしい。

「あんた……ずっと気になってた。どこの人間だ……?」
「僕は……過去から来た」
「は……?」
「今から57年前。1984年から来た」
「今から57年前って……まさかあんたが!?」
「そうだ。ライラ・フォーン。彼女と共にこの町を救った人間だ」

 まあ、正確には、救うかもしれない。だが

「じゃあ……まだ、あんたのいた時代では、救えてないんだな?」
「ああ」
「じゃあ……こいつを持って過去に戻ってほしい」
「これは……?」
「ライラ……いや、母が生前、手に入れられなかった、菊の花だ」

 菊の花……?

「なんで菊の花……?」
「詳しくはわからない……ただ、彼女の事を調べてて分かった。彼女は生前ずっと菊の花を欲しがっていたらしいんだ。」

 そうだったのか……

「分かった」
「じゃあ……これで、お別れなんだな?」
「ああ……多分」
「多分……?」
「いや、実はね」
「まさか、帰り方が分からないとか?」
「そうなんだ……」―――――


 その後、色々あったが、しばらくした内に、謎の光に包まれ僕は過去に戻った。

――――

「ライラさん!」
「何……?」
「これ……」
「え……? これって…… 菊の花……?」
「はい」
「どうして……?」
「たまたま、そこに咲いてたんです」
「そう……」

 彼女は、どこか暖かい感じがしたといっていた。

 未来の出来事は、僕の中だけにとどめておこうと思う。
 もちろん、ヴィヴィアンたちに行ってもバカにされるだけだからだ。

 ドミニオン・フレイア。いや…… フレイヤ・フォーン。
 彼女との出来事は、少しだけ。僕に不安を与えた。
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