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LEVELZEROafterSTORY~Venus Tune~

それでも彼女は止まらない

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 私を殺そうと、何度も千佳の持つ槍が私を襲う。その一撃は、音速と言ってもいいほど早かった。しかし、私にも意地がある。魔法は使ってしまうが、何とか回避を続けていた。そして、彼女が次の一撃を振るおうと魔法を使ったとき――そこで、魂の量が一定値を超え、魔法が使用できなくなった。もちろん、彼女が魔法を使った後だ。当然、彼女の魔法は適用され、私には対処しようがなかった。……殺せ。もう、そう言うしかなかった。
 でも、そう言う必要はなかった。
 彼女は、ギリギリのところで槍を止めた。やはり、私を殺すのをためらっているようだった。
「何故、手が動かない……!」
 彼女には私たちと過ごした記憶はない。でも、前の、私たちと過ごした千佳の思い出がそれを邪魔しているのだろう。だって、彼女は私たちの事をいつも優先してしまうほどやさしかったから……。
「それは、あなたにそのデータをくれた前の千佳の意志よ」
「前の……私……? 何を、言っている……?」
 やっぱり。生まれたばかりならおろか、彼女は私たちを殺すために御蔭が送り出してきたんだ。当然、このシステムの事を教えるなどしていなかったのだろう。御蔭は……自我も引き継がれることに気付いていたんだ。でも、ならなぜ私たちを殺そうとしなかったんだ……?
「あなた、あそこにいるのが誰だかわかる?」
 私は、彼女の視線をクローンの眠っているポッドに向けた。この真実は、多分千佳も知らされないで死んだだろう……だけども、今いる彼女にはそれを知る権利もあるはずだ。
「私……? なんで、なんで!? 私はここに居る! じゃああれは何!?」
 やはり私と同じような反応を示した。若干ではあるが、今いる私たちのデータも繁栄されているのだろう……
「あれが、あなたが体を失った後送られる予備の体」
 当然予備の体なんてものじゃない。記憶も消えるし、体の性能もちょっとづつ違ってくる。こうでもしないと、今の彼女にはきついだろう。
「私、あなたに負けたらあの体に移されるの……?」
「そう」
 でも、そうだとしても、記憶を消され、戦闘用として御蔭の手ごまにされ続けるだろう。でも、それじゃ駄目だ。彼女にも手伝ってもらわないと……
「私はあなたと戦いに来たんじゃない。あそこにいる、クローンたちを一人残さずに消すために来たの」
 そう言うと、千佳は固まり、私が通ろうとしても、邪魔をしてこなかった。でも、それは一時的なだけで、すぐに起き上がった。
「なら、私の予備の体を潰させない! やっぱり、お前らは私の敵だ!」
 どうしてわかってくれないの? やはり、一度殺す必要があるというのだろうか……
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