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二人の秘密

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「いいか、ジャンヌ。この牢獄ではな、一瞬だけ看守が抜けるときがある。どのタイミングかわかるか?」

 彼はそう問いかける。当然、入りたての私にわかるわけがない。だから、わからない。そう言って首を横に振った。
 そのタイミングでないと脱獄なんて夢のまた夢だ。彼はそう言っていた。脱獄のタイミングについて彼から説明を受ける。

「じゃあ、教えるぜ。まず、①、看守は飯の時間になると飯を受け取りに食堂に行く。②、看守は囚人の飯を見張るために30分だけ食堂に行く」

 それは、ただ単に飯を食いに行くときに脱獄しようぜ。そんな単純なことだった。しかし、難しいのはこれからだという。
 看守の目を盗んだからって油断するな。
 彼は、耳元でそうつぶやくと、牢の左隅にあるご飯用のトレイを取りに向かった。それを追いかけるように私もまた、食堂に向かう。今日は脱獄しない。そういう事だろうか? 取りあえず、彼についていく。何の目的で食堂に向かうのか。その真意を調べるために。

*     *

 食堂についてまず、彼のしたことは、周りの警戒だ。やはり、いくら囚人たちが集まっていても、脱獄はマナー違反だ。そういう連中もいるんだとか。まあ、そんなルールを守る連中がどうして牢獄に閉じ込められているのかも疑問だけれど。周りを見たあと、今日はいねえな。

 そういうと、彼は食堂の隅にあるタイルに向かった。何かがあるのだろうか? 思わずついて行きそうになったが、そんなあからさまな行動は周りがうるさいだろうと判断してか、フェルンフェンは私に来るな。そうアイコンタクトをした。彼の判断は正しいのだろうか。とりあえず、私は食堂でご飯を受け取った。あのまずいご飯を。どぶの味がしかねないあのご飯を。数年ここに居る囚人曰く、運が良ければ一流コックの飯が当たるぜ。らしい。そんな幸運を、こんな牢獄で使ったら絶対にいい事起きないだろうに。

 ご飯を受け取った後、フェルンフェンの方を見たが、何やらタイルをじっと見つめているようだった。やはり、何かある……? 数分私は彼を見つめたが、それに気づいた彼が、私のほうによって来る。やばい、怒られるかも。そう思っていたが、違った。

「あのタイル、妙にもろいらしい。あれされ壊せればおそらく、外に出れるだろう」

 そう説明すると、彼もご飯をもらいに食堂のカウンターに行く。
 ……いよいよ、脱獄が始まるんだ。
 
 見落としている点と言えば、どのタイミングで出るか。それだけだったが、彼はさっき、あそこの看守から鍵を取っておいた。そう言っていた。この人、盗賊で捕まったのだろうか? うーん、あまり、深いことは考えないほうがいいようだ。
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