上 下
180 / 271
LEVELZERO

新たな目標

しおりを挟む
「能力失ってもよかったって……本気で思ってます?」
「能力は平気だって……名越先生に教えてもらう」
「でも、レベル6って……危険分子じゃないですか……」
「戦いは終わってない。って事だな」

 レビスト財団はあくまで能力の研究をしていただけ――本当の敵は日本政府そのものだった。日本政府を止めない限り、まず、能力者の平和は訪れないだろう。しかし――本当に彼らに出来るのだろうか……?

「出来るんですか? 僕たちに」
「まあ、無理だろうな」
「な、む、無理って!?」
「まあ、無理だろ」

 はっきりと少年はいった。無理だろう、と。しかし、無理は無理なりにやるべきことがある。それが彼らの新たな目標だった。

「日本を裏から潰す」
「え?」
「能力者が一斉に暴れればそちらに視線が集まるだろう。その隙に叩く」
「確かに筋は通ってますけど……」
「でも、問題はいかに人数を集められるか、だ」
「そこですよね……」

 少年たちの疑問は、そこだった。人数をどうするか。人数をどう、いかに集めるか。

「なんかそう言うのに詳しい人知らない?」
「ふふ・・・・・・」
「な、なんだよ」
「いるじゃないですか!! 能力者に詳しい人が!!」
「あっ!? 先生か!」
「そうです!」

 柏樹――彼の集めていた能力者のリスト。それが今、役に立とうとしていた。

「前回のお前らの襲撃ってあれクラスでだもんな」
「そうですよ」
「んー、どうするか」
「集めましょう」
「集めるってあのリストの奴ら全員か!? 300は軽く超えてるぞ!?」
「それでもやるしかないじゃないですか!!」
「……そうだな」

 少年たちは、次のステージへ歩もうとしていた。

「柏樹先生!」
「ん?」
「リスト、もう一度ください」
「リスト?」
「はい」
「ああ。能力者リストか」
「はいっ!」
「ほらよ」

 受け取った能力者リスト。そして、二人は黙々と読み漁り――

「よし、こっちはOK」
「おう。こっちもOKだ」

 リストに記された名前をすべて暗記。所在も暗記――それだけ、熱心だった。記された名前をこぼさず拾い上げそして、そしてそれぞれがクラスの全員に配り、一人一人を当たるのだという。それが最善の手だというが……

「いいか、誰か一人でも協力しないと言ったらそこで諦めろ。無理強いはするな。命を……無駄にするな!」
「了解!!」

 クラスが一致団結する。そして、それぞれが目標に向かって歩み始めた。

 出席番号1番。相沢花楓。彼は、風使い。そして、クラスで唯一のレベル4である。故に、一人いるだけでも十分に戦力になりえた。
 得意技はかまいたち。風の力で切り裂く大技である。そして、それを成せる能力があるということは、相当な実力ということだ。

「相沢」
「……?」
「お前が一番頼りになる。いや、お前を一番頼りにしてるからな」
「おう!」
「作戦名はリベリオン!! 今こそレベル制度をなくし、すべてを取り戻せ!!」
「お―っ!!!」

 人類全員をレベル5以上にすればいい。そんな単純なことではあった。が、それでは物理演算ができるようになった瞬間にまた平和が崩れ去る。故に、それは出来なかった。人類の情理を覆してはいけない。あくまでも自分たちは人であるんだ、と。

「……憑、お前の本当にやりたかったこと、今成し遂げるからな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...