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木山春斗の勇者録/花沢美雨の勇者録

山梨へ

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「運転は任せてくれや」
「うん」

 当時の僕はまだ10代で免許なんてとても持っていなかった。その為、運転などは2つ上のケビンがやってくれていた。……いずれ、免許取らなきゃな。おっと、そんな事よりはなしはまだまだ続くぞ。

「オッドアイ―― 一目でわかるかな?」
「わからねえ……でもな。言えることはこいつがまずいかもって事だ」
「え?」
「国の戦争を止める――それってまずい事じゃねえか? 最悪、目をつけられてもおかしくねえ」
「確かにそうだけど……」
「それにな。俺らは今危険って事忘れるなよ」
「そうなのか……?」

 確かに、今は危険な橋を渡っているのはわかる。でも――それでもやり遂げなきゃいけないことがある。やり遂げる――何をだ? 何をやり遂げるんだ?
 ……何を……? オクタヴィアを探し出すことを? それとも――いや、考えるのはやめておこう。この戦いを終わらせてからだ。

「なあ、春斗」
「なに?」
「仮にだ。俺が復讐鬼になった時、お前はどうする?」

「山梨……さて、どうなるか」
「まあ、蛇が出るよなあ、普通、は」
「そう言う事言うなよ……」

 山梨まで来た理由は当然オクタヴィアを探すため……だけれど、見つかるだろうか。わからないが――

「ところで――当てはないとか言ってたな」
「うん」
「昔ばあさんに聞いてみたんだが――」
「え?」
「そう言う情報に詳しい人がいるらしい」
「山梨に?」
「ああ」

 まずはその人を訪ねてみることにした――

「すいませーん!」
「……いねえのか?」
『あ? 誰だ。この時間にい!』
「え、えっとですね――」
『帰った帰った!』

 ……追い払われてしまった。だが、諦めるわけにもいかない。

「お願いです! あなたの力がいるんです!!」

 たいていの人間はこの言葉で何とかなる。はずだ。

「俺の力があ……?」
「はいっ!」
「……ちょっと入れや」

 やった!! 何とかなった!!
 山梨――まだこちらの方は安全区域だろう。安全区域と言っても――いつ海外の手が来るかはわからない。だけど、言えることは一つ。僕たちは出来ることをやるまで――だ。

「この辺で――左右で瞳の色の違う少女を見ませんでしたか?」
「瞳の左右で違う少女か……ちょっとまっとれ」

 そういって、写真を取り出す。何やら、珍しいものはすべて撮ってしまうような人柄らしい。

「おお、あったあった」
「本当ですか!?」
「だが、ただ――とはいかねえよなあ?」
「はは……ですよね……」

 解ける全財産。解ける僕の金。貴重なお金が……

「で、こいつでどうするつもりだい、坊や」
「坊やじゃないですっ!! ……このバカげた戦争を止めます」
「へえ……じゃあ、この情報は貴重だった――ってわけかい」
「はい」
「……金はとらねえよ」
「え?」
「その代わり、必ずこのバカげた争いを終わらせてくれ」
「……はいっ!!」

 あり難き幸せ……! って、そうじゃない。必ず終わらせて見せる。第二次世界大戦なんてバカげた争いを。そして、必ず日本をいい方向へ変えて見せる。その為に――僕は勇者にでもなってやる。
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