ロスト・チューン

ジャンマル

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それは過去の淀み

邂逅

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「あなたは......」
「私は味杭千佳。魔法少女で、あなたを呼んだ張本人」
「ああ、あなたが」
「でも今は時間が無い。黙ってついてきて」

 慌てた様子で私の手を引っ張ると、彼女はそのまま街から少し離れた所謂スラム街......とでも言うべきような少し質素な場所まで私を連れてきた。街に来たばかりで状況がよく理解出来ていない私に、彼女はコーヒーを用意しながら簡潔に説明してくれた。

「私達はこの国、日本の代理国としてこの歪んだ戦争に参加しているのですが......先日、御陰さんの残した最後の研究ノートにより戦争は一時凍結。冷戦が来るはずでした......」
「来るはずだったってことは予期せぬ事態が起きたのね?」
「はい。冷戦協定が研究ノートを巡り可決されようとする中、ノートがとある人物により盗まれ、ご覧の通りハザード状態に成り果てたのです」

 要は国からはこの中に盗んだ犯人がいる。見つけたヤツには多額な報酬を与えるからお前達で見つけてくれ。という言わばこの期に及んで人間を減らそうとするという手口だ。正直この国の首相はおそらく既に人間ではない。でなければ......こんな愚かな選択など出来ないはずなのだ。

「私達は騒ぎに便乗して魔法少女同士で極秘りに邂逅する予定でした」
「そこに私も呼ばれたのね?」
「はい。だけど彼らは私たちを狙っている。つまりはそういうことです」

 彼女ほ私の理解力ならこの程度話せば大まかには分かるだろう。と言うくらい簡潔に説明してくれた。そして、私はある程度理解した。
 この国は......最悪な方向に向かっているのだと。
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