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引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由(続)

アトラス

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「忍法雲隠れ!」
 半蔵の姿が消える。そして、アトラスはなりふり構わずゲロビを乱発する。当然、それ相応の体力を使うだろう。だけど……なんだろう。置いて行かれてる気がして。なんだか情けなくて。私は……本当に伊勢谷さんの役に立ててるの? 私は、彼に手向けをできているの? 不安になる。心配になる。だからこそ、私はダメなやつなんだ……だめで、ダメなりに、頑張って。それから……それから……? いったいなんだっていうの? 私はダメなんかじゃないって自慢する気はない。けど、ダメはダメなりにやれることはある。
「アトラス!!」
「ああ? 失せてろよ、雑魚メスが」
「なめるんじゃ――ないわよ!」
 咄嗟に、地面に落ちていた石を投げつける。そして、注意を引く。これなら……いけるかも……しれない。なんて思うのは慢心につながるから駄目だ。しっかりしよう。うん。しっかりして――しっかりして? どうだっていうの? はあ……わけわからないよね。命かかってるのに。
「ナイス、美雨どの!」
「え?」
「三国流――亜空切断!」
「えええええええええ!?!?」
「……ふっ、すまないな。半蔵じゃ不安だったんだ」
 そういって、仮面をかぶっていた素顔がはがれ、三国さんの素顔が現れる。まさか――最初からだまされてた? 入れ替わってた? どこで? まったく見当つきません……
「話はあとだ」
「三国さん。やっちゃえ!」
「うむ!」
『なにを……ごちゃごちゃとおおおおおおおおお!』
 アトラス……いい奴だったよ。
 ざくっ。ものを切る音がした。切ったのは当然――
「私の剣は時空を断つ剣。不可能など……ないっ!」
『お、お見事だ……』
 見事にアトラスを破り、遺産を手にする権利を得たのだった。
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