11 / 53
『携帯ゲーム機型腱鞘炎』 7塗り目
しおりを挟む
願ってもないお誘いに汐音が承諾すると、すぐにお互いが横向きになり、向かい合わせの体勢で紗月が指を下へと向かわせた。これだと顔が近い分、汐音の反応が見やすかった。
それは汐音も同じで、紗月の表情が、指が、初めての時より緊張しているのがわかった。
初めての時はお互い失敗してもいいという気持ちだった。
しかしこれはわがままだ。エキシビションマッチ。ボーナスステージ。
紗月のわがままに付き合わせる形でする。
性に関して普段はあまり乗り気ではない恋人の、能動的な姿勢が汐音は嬉しかった。
どうでもいい遊びに紗月は夢中になり、攻略しようとする。
だが今回に限ってはどうでもいいことではなかった。
紗月が濡れた部分に触れると、しばらく馴らすようにそこを指でなぞる。
触れてくれた嬉しさに、汐音の浅瀬がひくりと反応する。
中には入れてこない。やはり違和感がある。
一週間前に、左手でしようとしたことを汐音は思い出した。
右手と同じように振舞おうとして、戸惑い、引っかかり、ぶつかってきた。
けれど今日は、きちんと初心者として腹をくくったうえでだ。
それでも指にはいつもはない、怯えがあった。
その辿々しさが、汐音は愛おしく思えた。それは自分を気遣っての辿々しさだ。
「紗月」
「えっ!?なに!?」
宙を見つめ、指に全神経を集中させていた紗月は驚いた声で返事をする。その真剣な姿が可笑しくて汐音が笑う。
「そんなに緊張しなくても」
「うん、ごめん。…ダメだ、やっぱ怖い」
そう言って紗月が左手を湿地帯から離す。そして相棒である右手を見つめる。
その目が、なにかを思い出したように左右に動いた。
「汐音」
「なに?」
「コンドームしてやっちゃだめ?」
本来それは二人には必要がない。もし使うとすれば、したことはないがよほど嫌な女の子とする時だ。
「薬塗ったけど、直接触れなきゃいいわけだし」
紗月が右手の指を開いたり閉じたりしてみせる。
そうだ、確か今日はそういう理由での上位プレイだった。
汐音は気持ちよさにそんなことすっかり忘れていた。
しかしそんなことより汐音が気になるのは、
「紗月、持ってる、の?」
なぜ恋人が自分達には必要のないものを持っているかだった。
「この前授業でもらったじゃん」
「ああ…、そうだったね」
確かに性教育の授業で生徒一人ずつに配られた。しかし、
「あたしどっかやっちゃった」
汐音があっけらかんと言う。とりあえず通学バッグに入れてはいたが、持ち主が必要ないと思っている物は勝手に向こうの方から何処かへと行ってしまった。
「もー。待って、私たぶんバッグの中に入れたままだから」
汐音をベッドに残し、紗月は自分のバッグから日本が誇るゴム製品を取りだすと、多少悪戦苦闘しながらも中指につけるが、
「…ゆるい」
紗月が指に装着したのは、膨張した標準男性器を想定した大きさだ。
女の子の小さな指には当然ぶかぶかだ。
中で動かしているうちにすっぽ抜けてしまいそうだった。紗月はしばらく考え、
「…二本にしていい?」
「えっ!?」
汐音と紗月の場合、いきなり二本からはいかない。
お互い男性のものを受け入れたことが無いうえに、一本で事足りるからだ。
「いい、よ」
だが汐音はそれを承諾する。
本当は怖かった。
いつもは一本だった指が二本入ってくるのが。二本も入ってくるのが。
でもそれ以上に、汐音は恋人の真剣なわがままに付き合いたかった。
「痛かったらやめるからすぐ言って」
紗月が覆いかぶさる姿勢をとると、まるで初めての時のような台詞のあと、いきなり侵入してきた。
そんなにすぐ入れるのか、と汐音が焦っていると
「早い?」
それを汲み取ったように紗月が心配そうに声をかけてくる。
「ううん、だいじょうぶ」
もっとゆっくり、と言えば紗月はキスをし、肌を隅々まで重ね、剣先を嘗めたりして緊張をほぐしてくれるだろう。しかし汐音はそれを断った。
たかが二本入れられるのが怖いと童顔な恋人に悟られたくなかった。
普通の女の子はもっと太くて長いものをいきなり、相手の都合で好き勝手に受け入れている。
あちらに比べたら自分達がしているのは初心者プレイだと汐音は言い聞かせた。
それでも紗月は一旦指を引き抜き、唇を重ね、子供みたいな柔らかな頬をすり寄せてくれた。
小柄な身体全部を使って愛情を降り注ぎ、緊張を取り除いてくれた。
それだけで充分過ぎるほど汐音は幸せだった。しかし安心出来る体温はいつしか離れていき、自分を見下ろす体勢になった。そしてもう一度、
「痛かったらすぐやめるから」
そう言って、再び進入してきた。いつもとは違う衣を纏った、いつもより質量のある指が汐音の中に入ってくる。
その恐怖に、汐音の手に力が入る。
握った拳に紗月が手を乗せると、二人はすぐに、不器用に握り合った。
それだけで汐音の恐怖が遠のくわけではないが、声に出さずともやめてほしいという意志が伝えられるようになった。
ゴム越しに、汐音の中に指が入ってくる。二本も。いつもの中指と、ほとんど馴染みのない薬指。
他の指や手のひらは粘膜に触れないようにしていた。だから揉みほぐしてはくれない。
「はっ」
汐音の肺から緊張の空気が漏れる。
なぜか心臓の下辺りがどくどくと脈打った。対していつも訪れる子宮の切なさがない。
今日は外側でしか達していないから、中には入れていない。
ゴムに塗られた潤滑剤と、自らの潤滑油のせいでか滑りはいい。
けれど薬が塗られたせいで紗月の親指はいつものように剣先を捉え、快感を引き出してはくれない。
あまりにもいつもと違い過ぎる。侵入してくるのは違和感、異物感。
ずぶずぶと内臓が押し広げていくような感覚。
自分というハードの容量に対して受け入れるソフトがいつもより大き過ぎる。
いつもはあんなにしっくり、ぴったり収まるのに。
しかし、嫌じゃない。
それは好きな人の指、いつも気持ちよくしてくれる指だからだ。
「大丈夫?」
全身を、内部を強張らせる汐音に紗月が声をかける。汐音が小さく頷く。
握り合った手からも拒否反応は無い。
ゴム素材に包まれたそれが壁を刺激する。
「あっ、あっ」
「痛い?」
訊かれた汐音が首を振る。しかし気持ちいいとも違う。わからない、わからない。
増幅する感情に恐怖し、汐音が握り合った手に力を込めた。
「やめる?」
気遣う声に、汐音が再度首を振り、ぎゅっと目を瞑った。
その瞼の裏に悲しみの涙を見た。
そして、説明書通りに愛し合うには、自分達はなんて都合が悪い身体なんだろうと思った。
指を使うと、その延長線上にある腕を使って抱きしめてくれない。
お互いが同時に気持ちよくなるということも困難だ。
別に挿入しなくてもいい。さっきまでの、ただ抱き合っているだけの方が幸福だったのに、なんで、と。
やめないで、と言葉に発せず言う恋人に戸惑い、紗月はゆっくりと指を動かしてみた。
蠢く質量はむしろ汐音の声を詰まらせるだけだった。
内側からくる、息の詰まる圧迫感。その正体が、汐音はようやくわかった。零れた涙とともに答えも溢れてきた。これはー、
充足感だ。相手を、愛する人の質量を受け入れることとの引き換えの。
「汐音」
名前を呼ばれ、汐音が目を開けると紗月の童顔には不安という感情だけが張り付いていた。
指の動きはすでに止めていた。嫌だと言えばすぐに行為そのものをやめてくれるだろう。
濡れていない左手で背中を撫でてくれるだろう。しかし汐音は首を振る。
押し開いてくる異物感を、圧迫感を受け入れる。
生殖には関係ない。性器ではないから指には気持ちよさはない。
快感にも繋がらない。意味などない、生産性とは無関係な行為。
許容し、受け入れるだけの儀式に近い行為。
その嬉しさと滑稽さに、汐音は握り合った手を離し、そっと強張った紗月の頬を撫でた。
そして内部にある指を締め付けた。
放したくないとばかりに。おしおきだとばかりに。
「痛い痛いっ、ちぎれちゃうっ」
解放された左手で、紗月が汐音の肩をタップする。
弱い左手で叩かれながら、少女は泣きながら笑った。
(了)
それは汐音も同じで、紗月の表情が、指が、初めての時より緊張しているのがわかった。
初めての時はお互い失敗してもいいという気持ちだった。
しかしこれはわがままだ。エキシビションマッチ。ボーナスステージ。
紗月のわがままに付き合わせる形でする。
性に関して普段はあまり乗り気ではない恋人の、能動的な姿勢が汐音は嬉しかった。
どうでもいい遊びに紗月は夢中になり、攻略しようとする。
だが今回に限ってはどうでもいいことではなかった。
紗月が濡れた部分に触れると、しばらく馴らすようにそこを指でなぞる。
触れてくれた嬉しさに、汐音の浅瀬がひくりと反応する。
中には入れてこない。やはり違和感がある。
一週間前に、左手でしようとしたことを汐音は思い出した。
右手と同じように振舞おうとして、戸惑い、引っかかり、ぶつかってきた。
けれど今日は、きちんと初心者として腹をくくったうえでだ。
それでも指にはいつもはない、怯えがあった。
その辿々しさが、汐音は愛おしく思えた。それは自分を気遣っての辿々しさだ。
「紗月」
「えっ!?なに!?」
宙を見つめ、指に全神経を集中させていた紗月は驚いた声で返事をする。その真剣な姿が可笑しくて汐音が笑う。
「そんなに緊張しなくても」
「うん、ごめん。…ダメだ、やっぱ怖い」
そう言って紗月が左手を湿地帯から離す。そして相棒である右手を見つめる。
その目が、なにかを思い出したように左右に動いた。
「汐音」
「なに?」
「コンドームしてやっちゃだめ?」
本来それは二人には必要がない。もし使うとすれば、したことはないがよほど嫌な女の子とする時だ。
「薬塗ったけど、直接触れなきゃいいわけだし」
紗月が右手の指を開いたり閉じたりしてみせる。
そうだ、確か今日はそういう理由での上位プレイだった。
汐音は気持ちよさにそんなことすっかり忘れていた。
しかしそんなことより汐音が気になるのは、
「紗月、持ってる、の?」
なぜ恋人が自分達には必要のないものを持っているかだった。
「この前授業でもらったじゃん」
「ああ…、そうだったね」
確かに性教育の授業で生徒一人ずつに配られた。しかし、
「あたしどっかやっちゃった」
汐音があっけらかんと言う。とりあえず通学バッグに入れてはいたが、持ち主が必要ないと思っている物は勝手に向こうの方から何処かへと行ってしまった。
「もー。待って、私たぶんバッグの中に入れたままだから」
汐音をベッドに残し、紗月は自分のバッグから日本が誇るゴム製品を取りだすと、多少悪戦苦闘しながらも中指につけるが、
「…ゆるい」
紗月が指に装着したのは、膨張した標準男性器を想定した大きさだ。
女の子の小さな指には当然ぶかぶかだ。
中で動かしているうちにすっぽ抜けてしまいそうだった。紗月はしばらく考え、
「…二本にしていい?」
「えっ!?」
汐音と紗月の場合、いきなり二本からはいかない。
お互い男性のものを受け入れたことが無いうえに、一本で事足りるからだ。
「いい、よ」
だが汐音はそれを承諾する。
本当は怖かった。
いつもは一本だった指が二本入ってくるのが。二本も入ってくるのが。
でもそれ以上に、汐音は恋人の真剣なわがままに付き合いたかった。
「痛かったらやめるからすぐ言って」
紗月が覆いかぶさる姿勢をとると、まるで初めての時のような台詞のあと、いきなり侵入してきた。
そんなにすぐ入れるのか、と汐音が焦っていると
「早い?」
それを汲み取ったように紗月が心配そうに声をかけてくる。
「ううん、だいじょうぶ」
もっとゆっくり、と言えば紗月はキスをし、肌を隅々まで重ね、剣先を嘗めたりして緊張をほぐしてくれるだろう。しかし汐音はそれを断った。
たかが二本入れられるのが怖いと童顔な恋人に悟られたくなかった。
普通の女の子はもっと太くて長いものをいきなり、相手の都合で好き勝手に受け入れている。
あちらに比べたら自分達がしているのは初心者プレイだと汐音は言い聞かせた。
それでも紗月は一旦指を引き抜き、唇を重ね、子供みたいな柔らかな頬をすり寄せてくれた。
小柄な身体全部を使って愛情を降り注ぎ、緊張を取り除いてくれた。
それだけで充分過ぎるほど汐音は幸せだった。しかし安心出来る体温はいつしか離れていき、自分を見下ろす体勢になった。そしてもう一度、
「痛かったらすぐやめるから」
そう言って、再び進入してきた。いつもとは違う衣を纏った、いつもより質量のある指が汐音の中に入ってくる。
その恐怖に、汐音の手に力が入る。
握った拳に紗月が手を乗せると、二人はすぐに、不器用に握り合った。
それだけで汐音の恐怖が遠のくわけではないが、声に出さずともやめてほしいという意志が伝えられるようになった。
ゴム越しに、汐音の中に指が入ってくる。二本も。いつもの中指と、ほとんど馴染みのない薬指。
他の指や手のひらは粘膜に触れないようにしていた。だから揉みほぐしてはくれない。
「はっ」
汐音の肺から緊張の空気が漏れる。
なぜか心臓の下辺りがどくどくと脈打った。対していつも訪れる子宮の切なさがない。
今日は外側でしか達していないから、中には入れていない。
ゴムに塗られた潤滑剤と、自らの潤滑油のせいでか滑りはいい。
けれど薬が塗られたせいで紗月の親指はいつものように剣先を捉え、快感を引き出してはくれない。
あまりにもいつもと違い過ぎる。侵入してくるのは違和感、異物感。
ずぶずぶと内臓が押し広げていくような感覚。
自分というハードの容量に対して受け入れるソフトがいつもより大き過ぎる。
いつもはあんなにしっくり、ぴったり収まるのに。
しかし、嫌じゃない。
それは好きな人の指、いつも気持ちよくしてくれる指だからだ。
「大丈夫?」
全身を、内部を強張らせる汐音に紗月が声をかける。汐音が小さく頷く。
握り合った手からも拒否反応は無い。
ゴム素材に包まれたそれが壁を刺激する。
「あっ、あっ」
「痛い?」
訊かれた汐音が首を振る。しかし気持ちいいとも違う。わからない、わからない。
増幅する感情に恐怖し、汐音が握り合った手に力を込めた。
「やめる?」
気遣う声に、汐音が再度首を振り、ぎゅっと目を瞑った。
その瞼の裏に悲しみの涙を見た。
そして、説明書通りに愛し合うには、自分達はなんて都合が悪い身体なんだろうと思った。
指を使うと、その延長線上にある腕を使って抱きしめてくれない。
お互いが同時に気持ちよくなるということも困難だ。
別に挿入しなくてもいい。さっきまでの、ただ抱き合っているだけの方が幸福だったのに、なんで、と。
やめないで、と言葉に発せず言う恋人に戸惑い、紗月はゆっくりと指を動かしてみた。
蠢く質量はむしろ汐音の声を詰まらせるだけだった。
内側からくる、息の詰まる圧迫感。その正体が、汐音はようやくわかった。零れた涙とともに答えも溢れてきた。これはー、
充足感だ。相手を、愛する人の質量を受け入れることとの引き換えの。
「汐音」
名前を呼ばれ、汐音が目を開けると紗月の童顔には不安という感情だけが張り付いていた。
指の動きはすでに止めていた。嫌だと言えばすぐに行為そのものをやめてくれるだろう。
濡れていない左手で背中を撫でてくれるだろう。しかし汐音は首を振る。
押し開いてくる異物感を、圧迫感を受け入れる。
生殖には関係ない。性器ではないから指には気持ちよさはない。
快感にも繋がらない。意味などない、生産性とは無関係な行為。
許容し、受け入れるだけの儀式に近い行為。
その嬉しさと滑稽さに、汐音は握り合った手を離し、そっと強張った紗月の頬を撫でた。
そして内部にある指を締め付けた。
放したくないとばかりに。おしおきだとばかりに。
「痛い痛いっ、ちぎれちゃうっ」
解放された左手で、紗月が汐音の肩をタップする。
弱い左手で叩かれながら、少女は泣きながら笑った。
(了)
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる