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『片付けられない病』 4袋目
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「よっしゃやるか」
翌日。映実は櫻邸に来る前に買っておいたマスクと伊達眼鏡をして作業に取りかかる。
まずシーツをベッドから剥がし、タオルケットと一緒に洗濯機へ。
今日はスチールラックの雑貨から取りかかることにした。
ペットボトルジュースのおまけや、ケータイストラップ、使いかけのヘアワックス、1粒しかない頭痛薬、カラカラに乾いたメイク落としシート、ヘアブラシ、化粧水のボトル、リモコン、マウスパッド、バナナホルダー、小さなゴミ箱型小物入れ、ミントタブレットのケース、少ししかない目薬、使ってない携帯灰皿、スタンプカード、小説についてきた新刊案内の栞、ポストイット、祭りの出店で買ったようなちゃちなグラサン、キャップのないソックタッチ、リップクリーム、アメピンの束、シューズレースの束、貯金箱に使えるお菓子の空き箱。
詰め込まれたそれらを、いらないものをどんどん捨てる。
燃えるゴミか燃えないゴミかわからないが、とにかくゴミ袋に入れて櫻が開けないようきっちりと口を縛る。
昨日ほどではないが部屋の入口に櫻を置いておくと、物を捨てる際の視線が気になった。 だから今日は部屋自体に近付けないようにさせた。
映実を信頼しているのか、自分がいるとダメだとわかったのか、櫻は洗面所で綺麗にされていく洗濯物を見る係をかって出た。乱雑に置かれたCDを整理し、映実が壁に掛けられた時計で時間を確認する。
「5時か…」
部屋は粗方片付いてきた。ようやくフローリングの全体が見えてくる。
細々したものはソファに逃がし、床掃除に移る。
その前に古本の出張買取の電話を入れた。
「はい、どれぐらいで来れますか?あっ、じゃあお願いします。20分くらいで来れるってー」
鼻声で電話を済ませ、映実が洗面所にいる櫻に報告する。洗濯物は乾燥に移っていた。
「櫻、買取の人来たら対応できる?」
言って映実が外していたマスクを付け直す。買取業者が来るまで掃除をするつもりだった。
「うん、大丈夫」
そして各々が作業に戻る。櫻は洗濯機からほかほかのシーツとタオルケットを出して畳み、買取業者を出迎えるため制服と髪を整える。なぜだか新婚さんごっこみたいだと櫻は思った。
ほどなくして買取業者が来ると、櫻はにやける頬を叩き玄関まで出迎える。
ゴミ袋が積まれた広い玄関で、業者が紙袋の中の本を次々と出し、査定を始める。
「買い取り金額ですが、こちらになりますね」
提示された金額は申し分ない。最初から処分するのが目的だ。
「では、こちらにサインを。はい、結構です」
櫻が買い取り書にサインし、提示された額通りの金額を受け取る。ありがとうございましたっ、と気持ちのいい挨拶を残して、第一の買取業者は帰っていった。
「本の買い取り終わったよ」
「おー、いくらになった」
櫻が紙袋三袋分の紙幣と小銭を映実に見せる。
「そんなもんかあ。まあでもそれぐらいかな。あとはカバンとか服か」
さっきと同じようにリサイクルショップに出張買取の電話を入れ、30分程度で来れると櫻に伝えると映実は片付けに戻る。
「休憩しないの?」
「いや、今日中に終わらせたいから一気にやっちゃう」
マスク越しにそう言って戦場に戻る恋人を、櫻は頼もしくも申し訳ない気分で見送る。
30分より少し早く、本日二人目の買取業者がやって来た。玄関に積まれた袋が次々と開けられていく。袋は3割ほどが買取で、残りは傷みや古いものなどで拒否だった。
「こんな感じですがよろしいですか?」
「わっ、はい。よろしいです」
提示された金額は二日間のバイト代としても十分な値段だった。櫻は幼い頃からブランド物を買い与えてくれた両親に感謝した。
「じゃあこちらにサインを」
またよろしくお願いしますとにこやかな笑顔で業者が櫻邸をあとにする。玄関は元の広さを取り戻した。
「こんなもんかな」
映実が元の広さを取り戻した櫻の部屋を見回す。服やカバンの査定中に部屋の掃除も終わっていた。
とっておいても意味のない小学校と中学校の時の教科書とノートも紐できっちり縛り、フローリングも空拭きと水拭きを済ませた。洗えない布製品にはそれ用の除菌消臭スプレーを。仕上げに自分の手も手首から指の間まできっちりと洗った。
広い、一人部屋として充分過ぎる恋人の部屋で映実は大きく伸びをする。
「ふわーあ。終わったあー」
「すごい…」
昨日と今日の分の収穫を持って現れた櫻が、自分の部屋を見て目を丸くする。
床は見え、ベッドは寝る場所として機能し、服は、映実があるとは知らなかったクローゼットにすべて入りきった。
勉強机も主を待っている。ソファには今日の朝から昼間まで干されていたクッションと、恋人たちのためのスペース。
こんなもんかな、と呆けている櫻に映実が言う。
「ありがとう…。映実」
「いえいえ、恋人の一人部屋でエッチしたかっただけですし」
映実がまた軽口を叩く。
本来は確かにそうだった。しかし口ではそう言っているが、片付けることが目的に変わっていった。そして風邪程度の、けれど重症な恋人の病を治すのが目的だった。
「でも、果たしてこれがいつまで維持できるかねえ」
そう言って映実が腕組みをし、まだ部屋の入口に立っている櫻を見る。櫻は自分の部屋なのに、まるで聖域のように、踏み込むのが恐れ多いといった風に部屋に入ってこない。
「せっかく片付けても櫻さんはどうせしばらくしたら散らかすでしょうから」
映実が手招きして部屋の主を呼び寄せる。広い広いこの部屋では、恋人同士がお話するには今の距離では遠すぎる。
「定期的にあたしが櫻の部屋に来ればいい」
「片付けてくれるの?」
「オーウ、貴女は散らかった部屋で彼女にエッチさせるの?彼女が来るっていうならある程度は片付けるでしょ?これぐらいのマナー、男子高校生向けのオシャレ雑誌にも載ってるよ」
櫻がそんなこと言われても、という顔をする。そもそも片付けが出来ないのだ。
「片付けるのが嫌なら散らかさなきゃいい」
「散らかさないためには?」
「あんまり物を買わないことだね。雑誌とかやたらと。あとゴミはちゃんと溜まったら捨てる。曲かけて、時間決めて一週間に一度とかでいいからちょこちょこ片付けたり。それから服はちゃんと畳んでしまう」
映実が一つずつアドバイスするたびに、櫻が頷く。その仕草が可愛くて、映実は勤勉な恋人の髪を優しく撫でる。
「あとは散らかってると埃アレルギーの彼女が鼻ぐしゅぐしゅになっちゃうから、それが可哀想って思ったら散らかさない」
「…ごめん」
申し訳なさそうな顔をする櫻の頭を、映実がポンポンと叩く。昨日ほどではないが、片付けているうちはやはり辛かった。
「じゃあ散らかさない。散らかったら片付ける。片付けるのが嫌だったら散らかさない」
「…がんばる」
ロジックのような片付け論に、櫻はなんとか納得する。
「よし」
言って映実がソファに座り、手を引いて櫻も座らせる。そして疲れを癒すように、その身体を抱き締めた。恋人の、大好きな女の子の温かな身体と匂いは何よりの休息効果があった。
「映実」
「んー?」
「……する?」
「どうしよっかな」
二人がいるのはソファだ。ベッドには真新しいシーツ。しかし冬布団は用意し忘れていた。
「ここでしていい?」
訊かれた櫻は一瞬きょとんとしたが、すぐにクスクスと笑い出し、いいよとキスをした。
彼女の広い部屋の、大きなソファの上でイチャイチャ。
なんて贅沢なんだろうと、服を脱がしあいながら映実は思った。
(了)
翌日。映実は櫻邸に来る前に買っておいたマスクと伊達眼鏡をして作業に取りかかる。
まずシーツをベッドから剥がし、タオルケットと一緒に洗濯機へ。
今日はスチールラックの雑貨から取りかかることにした。
ペットボトルジュースのおまけや、ケータイストラップ、使いかけのヘアワックス、1粒しかない頭痛薬、カラカラに乾いたメイク落としシート、ヘアブラシ、化粧水のボトル、リモコン、マウスパッド、バナナホルダー、小さなゴミ箱型小物入れ、ミントタブレットのケース、少ししかない目薬、使ってない携帯灰皿、スタンプカード、小説についてきた新刊案内の栞、ポストイット、祭りの出店で買ったようなちゃちなグラサン、キャップのないソックタッチ、リップクリーム、アメピンの束、シューズレースの束、貯金箱に使えるお菓子の空き箱。
詰め込まれたそれらを、いらないものをどんどん捨てる。
燃えるゴミか燃えないゴミかわからないが、とにかくゴミ袋に入れて櫻が開けないようきっちりと口を縛る。
昨日ほどではないが部屋の入口に櫻を置いておくと、物を捨てる際の視線が気になった。 だから今日は部屋自体に近付けないようにさせた。
映実を信頼しているのか、自分がいるとダメだとわかったのか、櫻は洗面所で綺麗にされていく洗濯物を見る係をかって出た。乱雑に置かれたCDを整理し、映実が壁に掛けられた時計で時間を確認する。
「5時か…」
部屋は粗方片付いてきた。ようやくフローリングの全体が見えてくる。
細々したものはソファに逃がし、床掃除に移る。
その前に古本の出張買取の電話を入れた。
「はい、どれぐらいで来れますか?あっ、じゃあお願いします。20分くらいで来れるってー」
鼻声で電話を済ませ、映実が洗面所にいる櫻に報告する。洗濯物は乾燥に移っていた。
「櫻、買取の人来たら対応できる?」
言って映実が外していたマスクを付け直す。買取業者が来るまで掃除をするつもりだった。
「うん、大丈夫」
そして各々が作業に戻る。櫻は洗濯機からほかほかのシーツとタオルケットを出して畳み、買取業者を出迎えるため制服と髪を整える。なぜだか新婚さんごっこみたいだと櫻は思った。
ほどなくして買取業者が来ると、櫻はにやける頬を叩き玄関まで出迎える。
ゴミ袋が積まれた広い玄関で、業者が紙袋の中の本を次々と出し、査定を始める。
「買い取り金額ですが、こちらになりますね」
提示された金額は申し分ない。最初から処分するのが目的だ。
「では、こちらにサインを。はい、結構です」
櫻が買い取り書にサインし、提示された額通りの金額を受け取る。ありがとうございましたっ、と気持ちのいい挨拶を残して、第一の買取業者は帰っていった。
「本の買い取り終わったよ」
「おー、いくらになった」
櫻が紙袋三袋分の紙幣と小銭を映実に見せる。
「そんなもんかあ。まあでもそれぐらいかな。あとはカバンとか服か」
さっきと同じようにリサイクルショップに出張買取の電話を入れ、30分程度で来れると櫻に伝えると映実は片付けに戻る。
「休憩しないの?」
「いや、今日中に終わらせたいから一気にやっちゃう」
マスク越しにそう言って戦場に戻る恋人を、櫻は頼もしくも申し訳ない気分で見送る。
30分より少し早く、本日二人目の買取業者がやって来た。玄関に積まれた袋が次々と開けられていく。袋は3割ほどが買取で、残りは傷みや古いものなどで拒否だった。
「こんな感じですがよろしいですか?」
「わっ、はい。よろしいです」
提示された金額は二日間のバイト代としても十分な値段だった。櫻は幼い頃からブランド物を買い与えてくれた両親に感謝した。
「じゃあこちらにサインを」
またよろしくお願いしますとにこやかな笑顔で業者が櫻邸をあとにする。玄関は元の広さを取り戻した。
「こんなもんかな」
映実が元の広さを取り戻した櫻の部屋を見回す。服やカバンの査定中に部屋の掃除も終わっていた。
とっておいても意味のない小学校と中学校の時の教科書とノートも紐できっちり縛り、フローリングも空拭きと水拭きを済ませた。洗えない布製品にはそれ用の除菌消臭スプレーを。仕上げに自分の手も手首から指の間まできっちりと洗った。
広い、一人部屋として充分過ぎる恋人の部屋で映実は大きく伸びをする。
「ふわーあ。終わったあー」
「すごい…」
昨日と今日の分の収穫を持って現れた櫻が、自分の部屋を見て目を丸くする。
床は見え、ベッドは寝る場所として機能し、服は、映実があるとは知らなかったクローゼットにすべて入りきった。
勉強机も主を待っている。ソファには今日の朝から昼間まで干されていたクッションと、恋人たちのためのスペース。
こんなもんかな、と呆けている櫻に映実が言う。
「ありがとう…。映実」
「いえいえ、恋人の一人部屋でエッチしたかっただけですし」
映実がまた軽口を叩く。
本来は確かにそうだった。しかし口ではそう言っているが、片付けることが目的に変わっていった。そして風邪程度の、けれど重症な恋人の病を治すのが目的だった。
「でも、果たしてこれがいつまで維持できるかねえ」
そう言って映実が腕組みをし、まだ部屋の入口に立っている櫻を見る。櫻は自分の部屋なのに、まるで聖域のように、踏み込むのが恐れ多いといった風に部屋に入ってこない。
「せっかく片付けても櫻さんはどうせしばらくしたら散らかすでしょうから」
映実が手招きして部屋の主を呼び寄せる。広い広いこの部屋では、恋人同士がお話するには今の距離では遠すぎる。
「定期的にあたしが櫻の部屋に来ればいい」
「片付けてくれるの?」
「オーウ、貴女は散らかった部屋で彼女にエッチさせるの?彼女が来るっていうならある程度は片付けるでしょ?これぐらいのマナー、男子高校生向けのオシャレ雑誌にも載ってるよ」
櫻がそんなこと言われても、という顔をする。そもそも片付けが出来ないのだ。
「片付けるのが嫌なら散らかさなきゃいい」
「散らかさないためには?」
「あんまり物を買わないことだね。雑誌とかやたらと。あとゴミはちゃんと溜まったら捨てる。曲かけて、時間決めて一週間に一度とかでいいからちょこちょこ片付けたり。それから服はちゃんと畳んでしまう」
映実が一つずつアドバイスするたびに、櫻が頷く。その仕草が可愛くて、映実は勤勉な恋人の髪を優しく撫でる。
「あとは散らかってると埃アレルギーの彼女が鼻ぐしゅぐしゅになっちゃうから、それが可哀想って思ったら散らかさない」
「…ごめん」
申し訳なさそうな顔をする櫻の頭を、映実がポンポンと叩く。昨日ほどではないが、片付けているうちはやはり辛かった。
「じゃあ散らかさない。散らかったら片付ける。片付けるのが嫌だったら散らかさない」
「…がんばる」
ロジックのような片付け論に、櫻はなんとか納得する。
「よし」
言って映実がソファに座り、手を引いて櫻も座らせる。そして疲れを癒すように、その身体を抱き締めた。恋人の、大好きな女の子の温かな身体と匂いは何よりの休息効果があった。
「映実」
「んー?」
「……する?」
「どうしよっかな」
二人がいるのはソファだ。ベッドには真新しいシーツ。しかし冬布団は用意し忘れていた。
「ここでしていい?」
訊かれた櫻は一瞬きょとんとしたが、すぐにクスクスと笑い出し、いいよとキスをした。
彼女の広い部屋の、大きなソファの上でイチャイチャ。
なんて贅沢なんだろうと、服を脱がしあいながら映実は思った。
(了)
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