115 / 139
昭和90年代のストリップ劇場は2010年代アニソンかかりまくり
4、kawaii!オジョウズ!Motto!Motto!
しおりを挟む
「おはようございまーす。あ、さっきね」
順番が来ると、踊り子さんがシャオちゃんと自分とを交互に指差す。
どうやら見られていたようだ。
ステージからの客席は、客が思っている以上によく見える。
それ以前にあんな狭く、客も多くなかったら見えるだろ。
シャオちゃんが頭に手をやり、身体をくねらせウヘヘと照れ笑いをすると、
「かわいいっ」
クネクネ照れ笑いに踊り子さんが笑う。かわいいと。
kawaiiは今や万国共通だ。
すると、
「(訳)わたしもあのアニメ大好きです。特に三期シリーズが好きで、わたしはいつも敵キャラに注目して見ているのですが、三期は幹部クラスのキャラが」
と、突然シャオちゃんが母国語で語りだした。
しかも結構な文量で。
突然の異国語のシャワーに、踊り子さんは、えっ、あの、アワワと慌てる。
それを見て詩帆が、なんだ、と思う。
自分のキャラ付けのために連れてきただけか、やれやれと。
そして、まあ悪くないがと、踊り子さんに気づかれないよう小さくため息をつき、
「わたしもあのアニメ大好き、特に三期シリーズが好きと言ってます。敵キャラに注目して見てますが特に幹部クラスのキャラが好きで」
と、友人の通訳をかって出る。
それは、いつもの流れだった。
シャオちゃんはたまにこうして日本語が喋れない外国人キャラを演じ、詩帆に通訳をやらせる。
それは二人だけの楽しい遊びだったが、
「(訳)わたしはドイツ版はネットで知ったんですが、」
「わたしはドイツ版はネットで知ったんですが」
「あ、そうなんだ。あたしはドイツ行った時に現地のテレビで流れてるの見て知ったんだけど」
踊り子さんが喋るのをシャオちゃんがコクコク頷きながら聴く。
日本語は喋れないが言ってることはわかるという設定に基いて。
「あれ?ってことは向こうでも放送してるの?それとも日本版のを、ええとDVDとかで」
と、踊り子さんが向こう、とシャオちゃんの国での視聴環境について訊くと、シャオちゃんは突然すうっと息を吸い込み、
「わ、あ」
母国語で最新シリーズのエンディングのサビ部分を歌ってみせた。
突然のパフォーマンスに踊り子さんが驚きの声を上げる。
国によっては放送権の問題で最新の日本アニメが入ってくるのが遅い国もあるが、シャオちゃんの国はかなり早い方だ。
踊り子さんは驚いた声をあげたあと、嬉しそうな顔をし、
「すごいすごいっ!」
と、拍手した。
ゆったりしたメロディで、今週も楽しかったという余韻を残しつつ来週への期待とワクワクを想起させる歌。
実に正しき子供向けテレビアニメのエンディングらしい曲。
それを、シャオちゃんがお国の柔らかな言葉と発音で紡ぐ。
踊り子さんの反応を見てシャオちゃんは得意そうな顔でもう少し歌い、踊り子さんもウンウンと頷く。
周りのおじちゃん客もほお、という顔をする。
柔らかな声と発音で、同じアニソンなのに違う面を見せる。
区切りのいいところまで歌うとシャオちゃんはンフッと恥ずかしそうに、でも得意そうな顔で両肩を少し上げ、ぺこっと頭を下げた。
オソマツサマデシタと。
そんな異国の少女の歌声と姿に、場内が拍手に包まれる。
何の曲かはわからないがいいものを聴かせてくれた女の子に。
それを、詩帆は後ろに控えて聞いていた。
面映いがどこか誇らしい。
すごいね!と踊り子さんが褒め称え、
「今日歌うの!?」
と、訊いてきた。
「キョウ?」
「あれ?知らないで来たの?」
話がわからずシャオちゃんが首をひねると、
「今日三回目ラストのあとカラオケ大会だよっ」
「踊り子さん達が歌ったあとに客も参加できるからっ」
と、おじちゃん客達が教えてくれた。
「ソナンデスカ」
「出たらいいよっ」
踊り子さんも勧めてくれる。
ドウシヨウ、という目をシャオちゃんが詩帆に向けてくるが、詩帆はそれにうん、と軽く微笑んで頷く。
出てみたらいいよと。
順番が来ると、踊り子さんがシャオちゃんと自分とを交互に指差す。
どうやら見られていたようだ。
ステージからの客席は、客が思っている以上によく見える。
それ以前にあんな狭く、客も多くなかったら見えるだろ。
シャオちゃんが頭に手をやり、身体をくねらせウヘヘと照れ笑いをすると、
「かわいいっ」
クネクネ照れ笑いに踊り子さんが笑う。かわいいと。
kawaiiは今や万国共通だ。
すると、
「(訳)わたしもあのアニメ大好きです。特に三期シリーズが好きで、わたしはいつも敵キャラに注目して見ているのですが、三期は幹部クラスのキャラが」
と、突然シャオちゃんが母国語で語りだした。
しかも結構な文量で。
突然の異国語のシャワーに、踊り子さんは、えっ、あの、アワワと慌てる。
それを見て詩帆が、なんだ、と思う。
自分のキャラ付けのために連れてきただけか、やれやれと。
そして、まあ悪くないがと、踊り子さんに気づかれないよう小さくため息をつき、
「わたしもあのアニメ大好き、特に三期シリーズが好きと言ってます。敵キャラに注目して見てますが特に幹部クラスのキャラが好きで」
と、友人の通訳をかって出る。
それは、いつもの流れだった。
シャオちゃんはたまにこうして日本語が喋れない外国人キャラを演じ、詩帆に通訳をやらせる。
それは二人だけの楽しい遊びだったが、
「(訳)わたしはドイツ版はネットで知ったんですが、」
「わたしはドイツ版はネットで知ったんですが」
「あ、そうなんだ。あたしはドイツ行った時に現地のテレビで流れてるの見て知ったんだけど」
踊り子さんが喋るのをシャオちゃんがコクコク頷きながら聴く。
日本語は喋れないが言ってることはわかるという設定に基いて。
「あれ?ってことは向こうでも放送してるの?それとも日本版のを、ええとDVDとかで」
と、踊り子さんが向こう、とシャオちゃんの国での視聴環境について訊くと、シャオちゃんは突然すうっと息を吸い込み、
「わ、あ」
母国語で最新シリーズのエンディングのサビ部分を歌ってみせた。
突然のパフォーマンスに踊り子さんが驚きの声を上げる。
国によっては放送権の問題で最新の日本アニメが入ってくるのが遅い国もあるが、シャオちゃんの国はかなり早い方だ。
踊り子さんは驚いた声をあげたあと、嬉しそうな顔をし、
「すごいすごいっ!」
と、拍手した。
ゆったりしたメロディで、今週も楽しかったという余韻を残しつつ来週への期待とワクワクを想起させる歌。
実に正しき子供向けテレビアニメのエンディングらしい曲。
それを、シャオちゃんがお国の柔らかな言葉と発音で紡ぐ。
踊り子さんの反応を見てシャオちゃんは得意そうな顔でもう少し歌い、踊り子さんもウンウンと頷く。
周りのおじちゃん客もほお、という顔をする。
柔らかな声と発音で、同じアニソンなのに違う面を見せる。
区切りのいいところまで歌うとシャオちゃんはンフッと恥ずかしそうに、でも得意そうな顔で両肩を少し上げ、ぺこっと頭を下げた。
オソマツサマデシタと。
そんな異国の少女の歌声と姿に、場内が拍手に包まれる。
何の曲かはわからないがいいものを聴かせてくれた女の子に。
それを、詩帆は後ろに控えて聞いていた。
面映いがどこか誇らしい。
すごいね!と踊り子さんが褒め称え、
「今日歌うの!?」
と、訊いてきた。
「キョウ?」
「あれ?知らないで来たの?」
話がわからずシャオちゃんが首をひねると、
「今日三回目ラストのあとカラオケ大会だよっ」
「踊り子さん達が歌ったあとに客も参加できるからっ」
と、おじちゃん客達が教えてくれた。
「ソナンデスカ」
「出たらいいよっ」
踊り子さんも勧めてくれる。
ドウシヨウ、という目をシャオちゃんが詩帆に向けてくるが、詩帆はそれにうん、と軽く微笑んで頷く。
出てみたらいいよと。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる